第32回 新型コロナのワクチン接種完了
公開日:2021年7月 9日 09時00分
更新日:2021年7月 9日 09時00分
宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業
新型コロナウイルス感染症は、変異株の広まりもあり、残念ながらまだ収束は見通せない。現状では、ワクチン接種の進捗が唯一の、明るい材料だと言えよう。実際、予想以上に多くの人が接種を希望し、予約が取れない事態も起きている。
そんな中、私は、全ての対象に先立って始まった医療関係者の優先枠に入り、すでに接種が終わっている。接種を待ちわびる人も多い現状では、申し訳なく、感謝に堪えない。
ワクチンの副反応は、若いほど、男性より女性の方が、強い傾向があり、注射部位の痛みと発熱、関節痛などが知られている。こうした症状には解熱鎮痛剤の使用が勧められていて、売薬のアセトアミノフェンが売り切れる地域もあるそうだ。私も、相談されれば、無理して我慢せず、薬を使うよう勧めている。
こうした副反応への不安や、効果への懐疑から消極的な人もいて、それもひとつの考え方だと思う。あくまでも個人の選択に基づく接種。打たない人を非難したり、強制するのは間違っている。
私自身は、いろいろな見解を参照した上で、"ワクチンは万能ではないにせよ、感染及び重症化のリスクを減らせるもの"と捉えている。求められるのは、リスクとメリットを理解した上での選択。感染の可能性はゼロにはできず、かつ特効薬がない事を考え、多少のリスクがあっても接種しようというのが、私の選択だった。
私の第1回目接種は4月23日、第2回の接種は5月14日。幸い副反応はごくごく軽く、注射した腕が翌日から3日ほど軽く痛んだのみ。打ち終わって、予想以上に気持ちが楽になったのが、自分でも驚きだった。
それというのも、私は感染への不安については、かなり鈍感な方だと自覚していたからだ。訪問看護の仕事をしていると、人の家に上がり込まないわけにはいかない。時には窓を開けても全く風が通らない家もあり、やれ換気だ、密を避けるだと言われても、難しい場合も多い。多少鈍感でないとやれない仕事なのではないか。
そんな、鈍感を自負する私でさえ、ワクチン接種で安心したのである。やはり無意識のうちに感染を恐れる気持ちがあったのだと思う。ならば、日々不安を感じている人であれば、どれだけ安心できることだろう。
強制があってはならない一方で、ワクチンによる集団免疫は、ワクチンの接種率が高いほど効果が上がるのも事実。有効と認められるラインはおおよそ7割程度と言われている。
今回接種に関わる知人によれば、日本において、副反応への不安などから、絶対にワクチンを打たないと考える人は、約1割とのこと。そして、積極的に打ちたい人は6割程度。残りの約3割は様子見で、接種する人が増えて、大丈夫そうなら打とうと思う人である。
この傾向であれば、強制することなく、打ちたい人だけ打ち、集団免疫ができるラインは越えられると予想できる。とにかく打ちたい人にどんどん打つのが大事。そして、周囲の人が打って大丈夫となれば、様子見の人も、打つ人が増えるだろう。
よって、私は、ワクチンについては、決して無理強いはせず、考えを聞かれれば、今日ここに書いたように、私自身の選択を話している。接種を希望する人が接種できますように。それが一番の願いである。
著者
- 宮子 あずさ(みやこ あずさ)
- 看護師・著述業
1963年生まれ。1983年、明治大学文学部中退。1987年、東京厚生年金看護専門学校卒業。1987~2009年、東京厚生年金病院勤務(内科、精神科、緩和ケア)。看護師長歴7年。在職中から大学通信教育で学び、短期大学1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得。2013年、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。
精神科病院で働きつつ、文筆活動、講演のほか、大学・大学院での学習支援を行う。
著書
『宮子式シンプル思考─主任看護師の役割・判断・行動1,600人の悩み解決の指針』(日総研)、『両親の送り方─死にゆく親とどうつきあうか』(さくら舎)など多数。ホームページ: