日本は世界一の高齢社会
公開日:2016年7月25日 20時00分
更新日:2023年6月 1日 13時02分
日本は高齢化率が世界一
日本は現在、世界一の高齢社会を迎えているといわれています。では、一体何が世界一なのでしょうか。
まず、「高齢社会」であることを表す数値として、「高齢化率」があります。高齢化率とは、そのエリアに住む全人口のうち、65才以上の人口が占める割合のことで、%(パーセンテージ)で表します。
世界の高齢化率
2020年の世界の主要国における高齢化率をみてみます(図1)。高齢化率の世界のトップ3は、日本(28.6%)、ドイツ(21.7%)、フランス(20.8%)です。いずれの国もいわゆる先進諸国であり、バリアフリー化をした建物が多いなど、高齢者が暮らしやすい国づくりを行っているということが特徴です。
アジア諸国だけをみると、日本についで韓国、シンガポール、タイ、中国などで、高齢化率が高いことがわかります(表1)。
国 | 高齢化率 |
---|---|
日本 | 28.6% |
中国 | 12.0% |
インド | 6.6% |
インドネシア | 6.3% |
フィリピン | 5.5% |
韓国 | 15.8% |
シンガポール | 13.4% |
タイ | 13.0% |
もう一つ注目すべきなのが、高齢化率が上昇するスピードです。高齢化率は、世界保健機構(WHO)や国連の定義によると、3段階に分けることができます。
- 65歳以上の人口が7%を超える:高齢化社会
- 65歳以上の人口が14%を超える:高齢社会
- 65歳以上の人口が21%を超える:超高齢社会
高齢化のスピードは、高齢化社会から高齢社会、高齢社会から超高齢社会に至るまでの期間で表すことができます。日本の場合、1970年から1994年までの24年間で高齢化社会から高齢社会に、1994年から2007年までの7年間で高齢社会から超高齢社会に移行していることになります。
高齢化速度の国際比較
日本の高齢化の速度がどれほど早いものなのか、高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に到達するまでの所要年数を他国と比較してみます(表2)。フランスが126年、スウェーデンが85年、比較的短い英国が46年、ドイツが40年であるのに対し、日本は、昭和45年(1970年)に7%を超えると、その24年後の平成6年(1994年)には14%に達しています。著しく速いスピードで進展してきたことがわかります。さらに、シンガポールは17年、韓国は18年と日本を上回るペースで高齢化が進展しています。
国 | 老齢人口の到達年 7%(年) | 老年人口の到達年 14%(年) | 所要年数 |
---|---|---|---|
日本 | 1970 | 1994 | 24 |
韓国 | 2000 | 2018 | 18 |
シンガポール | 2004 | 2021 | 17 |
ドイツ | 1932 | 1972 | 40 |
イギリス | 1929 | 1975 | 46 |
アメリカ | 1942 | 2014 | 72 |
スウェーデン | 1887 | 1972 | 85 |
フランス | 1864 | 1990 | 126 |
なぜ日本は世界一の高齢社会になったのか
日本人が世界一の高齢社会になった理由は、いくつかありますが、国の社会保障制度のうち、以下の理由により、平均寿命が延び、世界一の高齢社会につながったものと考えられます。
医療制度の充実
まずは、医療制度の充実です。日本には「国民皆保険制度」があり、高齢者に対する医療制度が比較的整備されていることから、医療機関を受診しやすい環境にあります。
また、高齢者に対する健康診断の制度もあるため、病気を未然に防ぐ、早期発見、早期治療を実行することが可能です。
生活保障制度の充実
さらに、日本には年金制度などの各種生活保障制度があることから、高齢者の貧富の差が少ないという特徴もあります。劣悪な健康状況を強いられることも無く、皆が等しく長生きすることができる環境にあるのです。
学校教育の充実
また、日本では諸外国に較べ学校教育が充実しています。教育によって国民全体の健康に関する知識や関心が高まっている可能性があります。
平均寿命の国際比較
表3は、令和元年(2019年)の簡易生命表より男性、女性のそれぞれの平均寿命の国際比較を1位から5位まで表したものです。
順位(男性) | 国・地域名 | 平均寿命(歳) | 順位(女性) | 国・地域名 | 平均寿命(歳) |
---|---|---|---|---|---|
1 | スイス | 81.8 | 1 | 日本 | 86.9 |
2 | 日本 | 81.5 | 2 | 韓国 | 86.1 |
3 | オーストラリア | 81.3 | 3 | スペイン | 85.7 |
4 | キプロス共和国 | 81.1 | 4 | シンガポール | 85.5 |
4 | ノルウェー | 81.1 | 5 | スイス |
85.1 |
5 | シンガポール | 81.0 | 5 | キプロス共和国 | 85.1 |
5 | フランス | 85.1 |
寿命にはもう一つ、健康寿命というものがあります。健康寿命は「日常生活に支障のない期間」を表します。日本人の健康寿命は、令和元年(2019年)時点では男性72.68歳、女性で75.38歳でした。健康寿命も世界のトップクラスです2)。健康寿命と平均寿命の関係は、健康寿命(平均自立期間)=平均寿命-非自立期間(健康を損ない自立して生活できない期間)という表し方をします。平均寿命も重要な数値ではありますが、何よりも健康寿命が重要です。日本の「健康日本21(第2次)」という政策における目標にも、健康寿命の延長を挙げています。