健康長寿ネット

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高齢者の社会的活動

公開日:2016年7月25日 09時00分
更新日:2020年5月15日 14時31分

高齢者の社会的活動とは

 価値観が多様化する現代の高齢社会においては、社会活動や学習活動を通じて、心の豊かさや生きがいの充足の機会が求められています。また、社会の変化に対応して、絶えず新たな知識や技術を習得する機会が必要とされています。さらに、高齢者が年齢や性別にとらわれることなく、他の世代とともに社会の重要な一員として、生きがいを持って活躍できるように、ボランティア活動を始めとした高齢者の社会参加活動を促進する動きが全国的に見られています。

 国は「社会参加・学習等分野に係る基本的施策」の中で、地域において、社会参加活動を総合的に実施している老人クラブに対し助成を行って振興を図ったり、シニア海外ボランティア事業に対し、独立行政法人国際協力機構を通じた推進を行い、高齢者による海外支援の促進を図っています。さらに情報通信技術の積極的な活用を促進するなどして多方面から高齢者の社会活動を支援しています 1)

高齢者の社会的活動を表す写真。高齢者が地域社会の一員として、社会的役割を担い、生きがいを持って活動していることを示す。

高齢者の社会活動の実態

 では、高齢者の現在の社会活動の実態はどうでしょうか。

 内閣府が公表している「平成27年版高齢社会白書」によると、およそ6割の高齢者が自主的に社会活動グループへの参加を経験しており、これは20年前に比べると18ポイントも上昇しています。

 主な参加状況は健康やスポーツに関する物への参加が最も多く、続いて、趣味や地域行事となります(グラフ1、表1)。

グラフ1:高齢者のグループ活動への参加状況を示す棒グラフ。健康やスポーツに関する物への参加が多いことを示す
グラフ1:高齢者の自主的なグループ活動への参加状況(複数回答)2)
表1:高齢者の自主的なグループ活動への参加状況(複数回答)2)
平成25年平成15年平成5年
参加したことがある 61 54.8 42.3
健康・スポーツ 33.7 25.3 18.9
趣味 21.4 24.8 17.9
地域行事 19 19.6 9.9
生活環境改善 9 9.1 5.6
生産・就業 8.4 6 3.9
教育・文化 6.8 6.7 4.7
安全管理 6.7 4.8 3.6
高齢者の支援 6.7 4.8 4.2
子育て支援 4.9 1.9
その他 3.6 3.7
資料:内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成25年)
(注1)調査対象は、全国の60歳以上の男女
(注2)※は、調査時に選択肢がないなどで、データが存在しないもの。

 また、高齢者のボランティア活動への参加意欲はとても高く、全国社会福祉協議会による「全国ボランティア活動者実態調査」(2014年)によれば、ボランティア活動従事者の中で60歳以上がグループの8割を占めるとの報告もみられます 3)。最近では、とくに高齢者による福祉関連のボランティア(例えば、高齢者等との話し相手、外出の手伝い、子育て支援など)への関心が高まっています。

社会活動を始めるきっかけ

 社会活動への参加のきっかけを調査したデータによると、現在参加している人では、「友人や地域住民と一緒に参加できた(友人や地域住民から誘われた)」が最も多く36.6%、次いで「自分がやりたいと思う活動があった」24.5%、「参加する時間的な余裕ができた」18.7%となっています。

 また、逆に社会活動に参加していない理由をみると、男女とも「仕事が忙しく時間がないから」が最も多く34.8%(男性40.3%、女性29.7%)、次いで「自分や家族のことを優先したいから」23.9%(男性20.0%、女性27.6%)、「何かしたいが、何をしていいのかわからないから」15.2%(男性16.1%、女性14.4%)の順となっています。ほかの理由として、男性では「普段付き合う機会がないから」、「あまり関わりを持ちたくないから」、女性では、「自分や家族があまり健康でないから」、「家事で忙しく時間がないから」となります4)

 これらのことから、やりたい社会活動内容があり、一緒にやる友人がいれば社会活動の参加率はますます上昇するものと考えられます。

 さらに家族で参加できる社会活動があれば、その参加率はもっと上がるものと考えられます。

 生涯現役、働けるまで働きたいという高齢者が多い一方、仕事を終了し、社会的役割を喪失し、余暇を持て余す高齢者もいます。

 社会活動をすることで家庭内役割の喪失や退職に代表される社会的役割の喪失感を埋めることにも繋がっていくものと考えられます。

 グループ活動に参加してよかったこと

 自主的なグループ活動に参加している高齢者の、活動全体を通じて参加してよかったことは、「新しい友人を得ることができた」(48.8%)が最も多く、次いで「生活に充実感ができた」(46.0%)、「健康や体力に自信がついた」(44.4%)の順となっています(グラフ2、表2)。

グラフ2:高齢者のグループ活動参加による結果を示す棒グラフ。活動を通じて新しい友人を得ることができたがもっとも多い。
グラフ2:高齢者のグループ活動参加による結果(複数回答)2)
表2:高齢者のグループ活動参加による結果(複数回答)2)
総数男性女性
新しい友人を得ることができた 48.8 44.6 52.4
生活に充実感ができた 46 41.7 49.6
健康や体力に自信がついた 44.4 41.7 46.6
お互いに助け合うことができた 33.9 30 37.2
地域社会に貢献できた 27.5 32.7 23.1
技術、経験を生かすことができた 20.5 21.7 19.4
社会への見方が広まった 16.8 16.5 17
その他 0.8 0.6 1
特にない 0.8 1 0.7
資料:内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成25年)
(注)調査対象は、全国の60歳以上の男女

 高齢者は新たな友人を得ることによって、生活に充実感ができると考える方が多くいます。社会活動への参加は、その手助けとなるのではないでしょうか。

参考文献

  1. 平成25年版 高齢社会白書(全体版)第2章 第3節 3 社会参加・学習等分野に係る基本的施策 内閣府(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 平成27年版 高齢社会白書(全体版) 第1章 高齢化の状況 内閣府(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 全国ボランティア活動実態調査 報告書 全国社会福祉協議会(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 平成25年版 高齢社会白書(全体版)第1章 第3節 3 団塊の世代の社会参加 内閣府(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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