高齢者の地域社会の関わり
公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2019年2月 1日 16時53分
高齢者の地域での付き合いの程度
高齢者になると、地域での付き合い方は変わってくるのでしょうか。
高齢者の「社会参加活動」の実態をみてみると、高齢者が参加しているグループ団体として最も多いのは町内会、自治会で、その割合は26.7%。約4人に1人が参加しているということになります。参加理由は強制、自発的と様々ですが、自治会や町内会に加入しているという点で、ある程度の「地域との付き合い」があると考えられます。しかし、近年では町内会や自治会への参加率は低下し、地域コミュニティから孤立する高齢者も増えてきているようです。
さらに、パソコンや携帯電話、スマートフォンが普及し、高齢者でも所持者が増加していることから、地域での「近隣との付き合い」よりも、遠方でも「昔ながらの友人」とのやり取りが、インターネット等を通じて増えつつあります。特に、大都市と町村地域と比較すると、いわゆる「近所付き合い」にはかなりの差があるようです。
もちろん、大都市だけでなく、町村地域での付き合いも、減少傾向にあることが分かります。例えば2004年の町村地域の近所付き合いレベルは、大都市の1975年と同レベルであるとされています。今後は、町村地域でも大都市のような変化が起こるかもしれません。
高齢者が頼りたい人
内閣府が行った「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」というアンケート調査によると、高齢者が支えられるべき年齢は70歳以上であるという意見が多く、さらに女性は支えられるべき年齢を80歳と回答しているものが最も多い、という結果が出ています(グラフ1)。
また、高齢者が誰に頼りたいかという調査では、子どもがいる人や女性では「子どもに頼りたい」との回答が多い傾向がありました。一方で、子どもの居ない人や男性では、「ちょっとした日常の用事などで誰かに頼りたいと思わない」という回答が多い傾向がありました。
また、子ども以外では親戚や友人以外の「その他の人」(17.4%)、「友人」(15.9%)、「兄弟姉妹、親戚」(12.8%)となっており、高齢者が頼りたいと考える相手は、人それぞれであることが分かりました。
高齢者のグループ活動の参加状況
高齢者がグループ活動に参加する割合は、年々増加傾向となっています。男女比では、男性が比較的多くなるようです。
どのようなグループ活動に参加しているのかをみると、健康やスポーツに関するものが最も多く、続いて趣味、地域行事が多いことが分かっています(グラフ2)。
地域社会の関わりの健康への影響
高齢者が地域社会との関わりをもつことは、健康へどのような影響を及ぼすのでしょうか。例えば、地域での近所付き合いの増加は、閉じこもりを回避し出かけるための理由となります。また、近所付き合いによる情報交換やグループ活動への参加は、生活への充実感を抱くことにつながるだけではなく、新しい友人を得るきっかけにもなります。さらに「地域社会に貢献できた」という満足感にもつながるでしょう。
そして、なによりも地域における「近所付き合い」を充実させるためには「健康である」ことが大切です。「近所付き合い」をすることは、自分自身だけではなく、一緒に活動する仲間の健康増進にもつながることとなるのです。