日本の超高齢社会の特徴
公開日:2016年7月25日 18時00分
更新日:2019年8月 1日 13時41分
超高齢社会とは
超高齢社会とは、65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会を指します。この割合は、次の式で求めることができます。
老年人口(高齢者人口)÷総人口×100
国全体の高齢化率は、先進国の方が高く、発展途上国の方が低くなる傾向があります。高齢化率が高い国としては、スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ合衆国などが挙げられますが、これらのどの国よりも、日本の高齢化率は高いのです。現在の日本は、世界に先駆け、超高齢社会に突入していることになります。
日本の高齢化率の動向
高齢化の進行具合を示す言葉として、高齢化社会、高齢社会、超高齢社会という言葉があります。65歳以上の人口が、全人口に対して7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれます。
ではここで、日本の高齢化率の動向について、みてみましょう(グラフ)。
日本は、1970年に「高齢化社会」に突入しました。その後も高齢化率は急激に上昇し、1994年に高齢社会、2007年に超高齢社会へと突入しました2)。今後も高齢者率は高くなると予測されており、2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られています。
超高齢社会の問題
日本は現在、高齢人口の急速な増加の中で、医療、福祉など増加する高齢人口の問題に対応することが、喫緊の課題となっています。このような高齢社会の到来の中で、従来の医療制度、老人保険制度では対応しきれない問題が生じ、高齢者の医療は若年者の医療と異なった立場で取り組む必要性が生じてきています。
例えば、日本における急速な高齢化は、医療や福祉の分野でも非常に影響が大きい問題です。人口の比率が変わると、疾病構造が変化しますし、要介護者の数が急増することなどがわかっています。その上で、家族制度などを含めた「社会構造の変化」もあります。
例えば、家族構成についてみてみると、現在の日本は核家族化が進み、単独世帯、夫婦のみの世帯、夫婦ともに65歳以上の世帯などが増加しているのが現状です。特に都市部では、生涯未婚あるいは離婚による単身独居者が多く、都市部の高齢化が進んだことによって単身の高齢化率は上昇しました。そのため、介護できる者がいない、あるいは老いた者が老いた者の介護をする「老々介護」の世帯が多くなっています。結果的に、在宅で介護をすることが、難しくなっています。自宅における介護能力が、減少しているのです。
このような背景により、高齢者がいったん障害を抱えた場合には、自宅での生活を選択するのか、施設での生活を選択するのかが、重要な選択となります。
また、現行の社会保障制度は、負担を将来世代へ先送りしている点が問題であるという指摘もあります。そのため、現在の高齢者と将来世代が、ともに納得した不公平感のない「ヤング・オールド・バランス」の実現が、大きな課題となってきています。
超高齢社会を地域で支える
高度経済成長の流れによってより、都市でも地方でも、いわゆる「地域社会」が崩壊してしまったといわれています。そのため、地域社会の地縁や、地域で生活するインフラが、徐々に失われてきました。
地域住民同士の絆の希薄化、仲間力が弱体化し、孤立する方が多く見受けられるようになり、孤立死の問題などが出てきます。
こういった問題を解決していくためには、地域社会全体で超高齢社会を支えていく必要が出てきます3)。
高齢者を地域で支える「地域包括ケアシステム」とは
地域包括ケアシステムとは 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みのことを言います(図)。高齢者の尊厳の保持と、自立生活支援が目的です。
今後は、認知症高齢者が増えることも予測されていることから、地域包括ケアシステムの構築が重要となります。地域包括ケアシステムは、地域の自主性や主体性に基づいて地域の特性に応じて作り上げることが必要となります。