高齢者の意識
公開日:2019年5月31日 09時21分
更新日:2019年6月 3日 11時30分
高齢者は自分が高齢だと感じているか、性別や年齢層、健康状態や仕事の有無との関連や、高齢だと感じるのはどのような時か、高齢者が今後取り組みたいと思っていることはどのようなことなのか、高齢者の意識をみていきましょう。
高齢者は自分が高齢と感じるか
内閣府による平成26(2014)年度高齢者の日常生活に関する意識調査結果をみると、60歳以上の高齢者で「あなたは、自分を高齢者だと感じていますか。」という質問に対して、「はい」と答えた人は全体の43.4%、「いいえ」と答えた人は51.3%という結果でした(図1、リンク1参照)。
男女別
男女別に「自分を高齢者だと感じているか」について調査結果をみてみると、「はい」と答えた人は男性40.4%、女性46.3%で、女性の方が男性よりも高齢者だと感じる割合が多いことがわかります(リンク1参照)。
年齢層別
年齢層別に「自分を高齢者だと感じているか」について調査結果をみてみると、60~64歳では「はい」と答えた人は10.3%に対し、年齢層が上がるごとに「はい」と答える人の割合は増えています。70~74歳では「はい」の割合は47.3%、「いいえ」の割合は48.2%となり、75歳以上では「いいえ(26.4%)」の割合よりも「はい(66.2%)」の割合が上回っています(リンク1参照)。
75歳を超えると6割以上が自分を高齢者だと認識していますが、70~74歳は、自分を高齢者だと感じる人と高齢者だとは感じない人と半分に意見が分かれる時期だと言えます。
就労や家庭での役割の有無別にみると、仕事をしていない、もしくは家庭での役割がないと答えた70~74歳の人は、男女とも自分が高齢だとは感じない人よりも高齢だと感じている人の割合が高い結果となっています(リンク1参照)。
健康状態別
健康状態別に「自分を高齢者だと感じているか」について調査結果をみてみると、健康な人ほど自分が高齢者だと感じる人は少なく、健康状態が良くない人ほど高齢だと感じる傾向にありました。要支援・要介護の人では8割が、自分が高齢であると感じているという結果でした(リンク1参照)。
就労の有無
仕事をしている人では自分を高齢者だと思っているのは24.5%に対し、仕事をしていない人は53.6%となっています。仕事をしている人の方が、自分が高齢だと感じる人が少ないことがわかります(リンク1参照)。
親しくしている友人や仲間の程度
親しくしている友人や仲間の程度別に自分が高齢者だと感じる割合を見てみると、親しくしている友人や仲間が多い人ほど自分が高齢であるとは感じにくい傾向にあり、親しくしている友人や仲間がいないと答えた人では約6割の人が自分を高齢者であると感じているという結果でした(リンク1参照)。
高齢者からみた「高齢者とは何歳以上か?」
平成26年(2014年)度の意識調査において、60歳以上の高齢者に「高齢者とは何歳以上か?」という質問をした回答では、70歳以上(29.1%)と75歳以上(27.9%)に回答の偏りがみられます。平成21年(2009年)と比べると、「高齢者とは70歳以上」と答えた人の割合は約13%減り、「高齢者とは75歳以上」と答えた人がわずかに増えています。
平成21年(2009年) | 平成26年(2014年) | |
---|---|---|
60歳以上 | 2.1 | 1.1 |
65歳以上 | 10.8 | 6.4 |
70歳以上 | 42.3 | 29.1 |
75歳以上 | 27.4 | 27.9 |
80歳以上 | 10.8 | 18.4 |
85歳以上 | 0.7 | 2.5 |
これ以外の年齢 | 0.1 | 0.3 |
年齢では判断できない | 4.5 | 10.4 |
わからない | 1.3 | 1.3 |
無回答 | - | 2.6 |
自分が高齢者だと感じるとき
自分が高齢者だと感じるときはどのようなときかという質問は、「体力が変化した時」の58.0%が最も多く、次に多かったのは「記憶力が変化したと感じた時」の18.6%でした(図2)。
仕事や家庭での役割を持っている人の70~74歳は、自分は高齢者だと感じる割合が低いことや、体力が落ちると高齢者だと感じる人の割合が多いことなどから、仕事や家庭での役割を持って、体力を維持しながら活発に過ごす70~74歳の高齢者が増えると、今後、自分が高齢者だと思う線引きが75歳以上に上がるかもしれません。
高齢者が今後取り組みたいこと
高齢者が今後取り組んでみたい活動について平成26年(2014年)の調査結果をみてみると、「仲間と集まったり、おしゃべりをすることや親しい友人、同じ趣味の人との交際」が39.1%、「旅行」が37.9%、「テレビ、ラジオ」が33.6%、「散歩、ウォーキング、ジョギング」が30.4%でした(グラフ2)。
平成21年(2009年) | 平成26年(2014年) | |
---|---|---|
仲間と集まったり、おしゃべりをすることや親しい友人、同じ趣味の人との交際 | 23.2 | 39.1 |
旅行 | 28.9 | 37.9 |
テレビ、ラジオ | 42.6 | 33.6 |
散歩、ウォーキング、ジョギング | 21.5 | 30.4 |
平成21年(2009年)の調査結果と比べると、「テレビ、ラジオ」は10%近く減り、「仲間と集まったり、おしゃべりをすることや親しい友人、同じ趣味の人との交際」は約16%、「旅行」と「散歩、ウォーキング、ジョギング」は約10%増えています。
「仲間と集まったり、おしゃべりをすることや親しい友人、同じ趣味の人との交際」は社会的な活動へ参加している人で割合が高く51.7%でした。
高齢者の普段の楽しみを見てみると、「テレビ、ラジオ(83.2%)」、「新聞、雑誌(55.0%)」、「仲間と集まったり、おしゃべりをすることや親しい友人、同じ趣味の人との交際(47.7%)」、「食事、飲食(47.5%)」、「旅行(41.2%)」の順に割合が多く、今後取り組みたいことで割合が高いものは普段の楽しみとしても割合が高いことがわかります(グラフ3)。
平成21年(2009年) | 平成26年(2014年) | |
---|---|---|
テレビ、ラジオ | 79.3 | 83.2 |
新聞、雑誌 | 49.6 | 55 |
仲間と集まったり、おしゃべりをすることや親しい友人、同じ趣味の人との交際 | 35.6 | 47.7 |
食事、飲食 | 32.8 | 47.5 |
旅行 | 32 | 41.2 |
これらの結果から、高齢者が今後取り組みたいことは日常的な楽しみを見出しているものであり、テレビやラジオ、新聞、雑誌、食事などの家で静かに行うことができることがある一方で、旅行や同じ趣味の仲間や親しい友人との交際など、外で活発に行う活動を行いたいという希望が増えていることが伺えます。