健康長寿ネット

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高齢者と家族

公開日:2019年5月31日 09時29分
更新日:2019年6月 3日 12時06分

家族の形態の変化

画像:三世代家族が居間でくつろぐ写真

 三世代世帯で大家族が多かった時代とは変わり、少子高齢化の進行とともに、高齢者のみの世帯が増加傾向にあります。昨今の高齢者の家族事情はどのようなものなのでしょうか。高齢者やその家族の生活における注意点などと合わせて見ていきましょう。

高齢者の家族と世帯1)

 少子高齢化に伴い、高齢者のいる世帯は全世帯の約半分を占めるようになりました。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、平成27年(2015年)、家族に65歳以上の高齢者のいる世帯数は、2,372万4千世帯と、全世帯の47.1%を占めています。さらに平成28年(2016年)になると、その世帯数は2,416万5千世帯で全世帯の48.4%と増加しており、1980年以降、ほぼ上昇し続けています。

 また、65歳以上の家族がいる世帯を「単独世帯」「夫婦のみ世帯」「親と未婚の子世帯」「三世代世帯」「その他」と世帯構造別に分けた場合、昔は当たり前だった「三世代世帯」、つまり祖父母やその子ども、孫などとの同居の割合は年々減少しています。昭和55年(1980年)では世帯の全体の半数を「三世代世帯」が占めていましたが、平成28年(2016年)では全世帯の10%程度となっています。逆に、昭和55年(1980年)にはたったの16%だった「夫婦のみの世帯」が平成28年(2016年)では最も多く、全世帯の約3割を占めています。この夫婦のみの世帯と、高齢者一人のみの単独世帯と合わせると半数を超えている状況となっています(図1)。

図1:65歳以上のものがいる世帯数及び構成割合と全世帯に占める65歳以上のものがいる世帯の割合を示す複合グラフ。全世帯のうち半数近くが65歳以上のものがいる世帯であることをあらわす
  • 平成7年の数値は兵庫県を除いたもの、平成23年の数値は岩手県、宮城県及び福島県を除いたもの、平成24年の数値は福島県を除いたもの、平成28年の数値は熊本県を除いたもの
  • かっこ内の数字は65歳以上の者のいる世帯総数に占める割合(%)
  • 四捨五入のため合計は必ずしも一致しない
図1:65歳以上のものがいる世帯数及び構成割合と、全世帯に占める65歳以上のものがいる世帯の割合
引用元:内閣府 平成30年版高齢社会白書内閣府 第1章 高齢化の状況 家族と世帯

子どもとの同居世帯

 子どもと同居している高齢者は、減り続けています。子どもと同居という状況の中でも、「親と未婚の子世帯」のみで見ると、近年増加傾向にありますが、やはり「三世代世帯」の減少が大きく、昭和55年(1980年)の子どもとの同居率はほぼ7割もありましたが、平成27年(2015年)には39.0%となっており1)、高齢者とその子どもとの同居の割合は、大幅に減少しているようです。

一人暮らし高齢者

 65歳以上の一人暮らし高齢者は増加しています。

 まず男性の一人暮らし高齢者ですが、昭和55年(1980年)には約19万人、高齢者人口に占める割合は4.3%でしたが、平成27年(2015年)には約192万人、高齢者人口に占める割合は13.3%と、増加しています。

 次に女性ですが、昭和55年(1980年)には約69万人で、高齢者人口に占める割合は11.2%、平成27年(2015年)には約400万人、高齢者人口に占める割合は21.1%となっています1)。男女ともに一人暮らしの世帯が増加していることが分かります。

高齢者の住まい1)

 65歳以上の高齢者がいる主世帯の住居は、8割以上が持家となっています。ただし、世帯別にみると、高齢者の単身主世帯の持家の割合は65.6%となり、高齢者のいる主世帯総数に比べて持ち家の割合が低いようです(図2)。

図2:住居の状況を示す図。高齢者のいる主世帯の80%程度、高齢者単身主世帯は65%が持ち家であることをあらわす。 (注)主世帯とは、住居と生計を共にしている家族や一戸を構えた単身者のうち、同居世帯(1つの住宅に2世帯以上居住している世帯のうち、家の持ち主や借り主でない世帯)以外の世帯を指す。
図2:住居の状況
引用元:内閣府 平成30年版高齢社会白書内閣府 第1章 高齢化の状況 高齢者の生活状況

高齢者とその家族の注意点1)

 高齢者とその家族には、同居か別居かに関わらず、注意すべき点がいくつかあります。

高齢者は家庭内事故が多い

 医療機関ネットワーク事業の参画医療機関から国民生活センターに提供された事故情報によると、20歳以上65歳未満の人と比較して、65歳以上の人が住宅内で事故に合う割合が高いということです。住宅内で事故が発生する場所としては、「居室」が45.0%と最も多く、次に「階段」18.7%、「台所・食堂」17.0%が多いようです。

 危険な場所や事故に繋がりやすいものがないか、あらかじめ意識しておく必要があります。

振り込め詐欺の被害者が多い

 振り込め詐欺とは、「オレオレ詐欺」、「架空請求詐欺」、「融資保証金詐欺」、「還付金等詐欺」の総称ですが、このうち、平成29年(2017年)の還付金等詐欺の認知件数は、3,137件と、前年から減少となりました。一方、高齢者が主なターゲットとされるオレオレ詐欺は8,475件と前年比で47.3%も増加しています。

 平成29年(2017年)中の振り込め詐欺の高齢者の被害状況を見ると、60歳以上の割合は77.9%と高く、さらにオレオレ詐欺については、60歳以上の割合は98.0%、その中でも70歳以上の女性は、オレオレ詐欺被害者の77.6%を占めています。また、還付金等詐欺の被害者についても、60歳以上の割合は98.0%となっており、特に70歳以上の女性は50.8%を占めています。振り込め詐欺の被害総額は約374億円に昇っており、深刻な社会問題となっています。

 特にオレオレ詐欺に関しては、普段から家族との連絡を取ることや、振り込みなどの行動に移す前に、家族に相談することを約束するなど、事前のコミュニケーションが重要です。

住宅火災

 65歳以上の高齢者の住宅火災による死者数(放火自殺者等を除く)についてみると、平成27年(2015年)は611人で、全死者数に占める割合は66.8%と高くなっています。

 燃えやすいものを室内に置かない、避難経路を決めておくなどの備えが必要です。

 高齢者のいる世帯のうち、高齢者夫婦のみの世帯や高齢者一人のみの単独世帯が半数を占める今、高齢者本人はもちろん、離れて暮らす家族や周囲の人がこのようなことに注意していくことが必要です。

参考文献

  1. 内閣府 平成30年版高齢社会白書(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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