頭痛
公開日:2016年7月26日 20時00分
更新日:2019年6月19日 14時30分
頭痛は3人に1人に発症する身近な病態です。
頭痛の症状
同じ頭痛でも人によって表現は様々です。
頭痛を表現するときには以下の点に注意して記録してみましょう。
痛くなる部位
- おでこ
- 右のこめかみ
- 左の眼の奥など
痛みの性状
- 頭におもりがついたようにドーンと重い感じがする
- 血管の拍動に合わせてズキンズキンとする
- バットで殴られたような痛みなど
どんな時に痛くなるか
- 時間
- 朝起きたとき
- 夕方など
- 動作
- 運動したとき
- じっとしていても
- 食事したときなど
- 環境
- 寒い日
- 仕事のある日
- ケンカした日など
痛みの経過
- 1回の頭痛について
- 痛くなる予感がしてだんだん痛くなる
- 初めから痛みどめを飲むまで同じくらい痛いなど
- 続いたり繰り返す頭痛について
- だんだんと痛みが強くなっている
- 痛い時と全く痛くないときがあるなど
頭痛の時に一緒にみられる症状(随伴(ずいはん)症状)
- 目の前がチカチカ光る
- 吐き気があるなど
頭痛の原因
日常的な頭痛
風邪・二日酔いなどの原因が取り除かれて時間が経てば自然に改善する頭痛です。
慢性頭痛
頭痛の80%は慢性頭痛です。一次頭痛とも表現されます。
片頭痛
脳の血管が急に拡張して起きる頭痛。ズキズキと拍動するタイプの痛みで片側の場合も両側の場合もあります。体を動かすと痛みが増加しやすく、吐き気やおう吐といった随伴症状があります。症状が強いと1週間ほど続き、仕事もできなくなることがあります。こめかみの近くにある三叉神経が刺激されることで炎症物質が産生され、さらに血管が拡張し悪循環にいたります。ストレスから解放されたときに起きやすく、その他に寝すぎや寝不足、女性ホルモンの変動、空腹、疲労、光や音の刺激で発生することもあります。痛みが出る前に目の前がチカチカ光ったり肩こりを自覚することもあります。
緊張型頭痛
頭・首・肩の筋肉が緊張し、血流が悪くなるため、筋肉内に老廃物がたまり周囲の神経を刺激して発症します。夕方に現れやすい特徴があります。原因は精神的・身体的ストレスです。うつ病に併発することもあります。頭痛で最も多いと考えられています。
群発頭痛
片目の奥に耐え難い痛みが起きます。男性に多くみられます。
危険な頭痛
くも膜下出血
「何時何分から痛くなった」とはっきり発症時間がわかるような頭痛。頭をバットで殴られたような感じ、と表現されます。
脳出血
出血量によって全く症状がないものから、激しい頭痛や麻痺が出るものまで様々です。普段血圧が高い人に起きやすいと考えられます。
脳腫瘍
出血を伴わない限り突然の頭痛ではなく、早いものでも数週間程度かけて痛みが強くなっていきます。しびれや麻痺、けいれんなどの神経症状を伴います。
脳動脈解離
脳の中の血管が裂けた状態です。まれにその後くも膜下出血や脳梗塞を起こすことがあります。
髄膜炎
細菌や風邪のウイルスなどが脳を守っている髄液に侵入した状態です。脳に感染を起こして脳炎になれば意識障害やけいれんがでることもあります。
その他
薬物乱用頭痛
頭痛が1か月に15日以上起き、3か月以上鎮痛剤を定期的に使用し、対象となる薬物中止後2か月以内に頭痛が改善するものと定義されています。
他臓器からの頭痛
頭痛といっても痛みの原因が耳や鼻、歯の病気によるものもあります。
頭痛の診断
緊急で対応が必要な頭痛を区別するために行われる検査は頭部CTや頭部MRIといった画像検査です。脳出血やくも膜下出血、髄膜炎が疑われるのに画像検査で診断がつかない場合は、背骨から針を刺して脳とつながっている脳脊 髄液を採取して検査する腰椎穿刺を行うこともあります。
緊急の頭痛が否定できたら、症状で推測される病気に対して投薬を行い反応をみます。
頭痛の治療
緊急性のある頭痛に対しては直ちに治療が行われますが、中には安静と血圧の調整だけで経過をみるしかない場合もあります。
特に初期に注意が必要なのはくも膜下出血です。くも膜下出血は1回出血すると再出血しやすく、しかも再出血により命の危険性が上がります。再出血を防ぐ治療としては頭を開いて出血の原因となる動脈瘤をクリップではさむ方法や、血管から管を挿入して動脈瘤の中にコイルを詰め込む治療があります。さらに再出血なく経過しても発症後2週間以内に次は血管が縮んで狭くなる時期が訪れます。この時に脳梗塞を発症することもあります。できる限りの予防が行われますが、完全に予防しきれないのが現状です。
慢性頭痛は病気としては心配のない病気ですが、日常生活に支障がある場合は治療の対象になります。内服治療以外にもサプリメントや行動療法、鍼治療や電気刺激が使用される場合があります。
頭痛の予防、ケア
緊急で受診したほうがよいのは
- 突然で今まで経験したことのない頭痛
- しびれや麻痺、意識障害などの神経症状を伴う頭痛
- 嘔吐を伴う頭痛
です。高齢者の場合、症状がすべてあらわれないこともあるので、普段と違う頭痛は受診したほうがよいでしょう。
また、高齢者の場合、頭をぶつけていても覚えていないこともあります。2か月以内に頭をぶつけた、転んでいた、などのエピソードがあれば家族が必ず医師に伝えましょう。
頭痛に対し継続的に鎮痛剤を服用するときには胃薬を服用したほうがよい場合もあります。頓服であっても頻回に服用しているときには医師に胃薬について相談しましょう。