骨関節変形
公開日:2016年7月26日 03時00分
更新日:2019年6月19日 14時49分
骨関節変形とは
骨や関節は、身体を動かすために必要な「運動器」の主要な部分です。人間は二本足で立つために運動器を自在に動かし、他の動物に比べて非常に複雑で緻密な動作を行っています。その分だけ、骨と関節にかかる負担は大きく、また社会の高齢化の進行に伴い、これまでには見られなかった運動器の障害がみられるようになりました。そのうちの一つが、骨や関節の変形です。
骨関節変形の症状
骨や関節は、変形しているだけでは症状がないことも少なくありません。骨の変形の場合、病的突出(びょうてきとっしゅつ;骨が皮膚から飛び出した状態)があれば、その場所に痛みや床ずれによる皮膚のただれなどが出てくることがあります。
関節の変形の場合も、病気が進行すれば痛みや腫れが出てくることが多いです。また、関節を動かしたときに引っかかる感じがあったり、違和感を感じたりすることがあります。リウマチが原因で骨関節変形が起こっている場合には、手指や関節の朝のこわばりがみられます。
骨関節変形の原因
骨や関節が変形する原因の一つは加齢です。年をとると骨はもろくなり、折れやすくなります。これを骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と呼んでいます。骨粗鬆症が原因となった骨折、特に背骨の骨折(椎体骨折;ついたいこっせつ)の場合には、痛みが軽く、折れたことに気が付かないことがよくあります。骨折の場合、すぐに治療すると骨は元通りにくっつきますが、痛みの程度が軽く治療が遅れたり、骨のつきが良くなかったりした場合には、曲がったまま骨がくっついてしまうことがあります。そうなると、最終的には骨が変形し、腰や背中が曲がってしまいます。
また、年を取るとともに関節の表面の軟骨が固くなり、すり減ってきます。変形性関節症と呼ばれます。この病気の最も多い原因は加齢ですが、そのほかにも女性に多く、体重が重い人、スポーツや仕事で関節をよく使っていた人などに多いと言われています。
そのほかに、慢性関節リウマチも忘れてはいけない病気です。中年の女性に比較的多い病気ですが、はっきりとした原因はわかっていません。
骨関節変形の診断
骨や関節に変形があるかどうかは、レントゲン写真を撮るとすぐにわかります。骨粗鬆症による骨折が原因と思われる骨の変形については、骨密度を測定します。
変形性関節症が疑われる場合には、血液検査で炎症の有無やリウマトイド因子などを確認し、慢性関節リウマチなど他の病気がないかどうかを確認します。また、場合によっては関節にたまっている液を抜いて、関節液の量や色などを確認します。
骨関節変形の治療
一度変形してしまった骨を元の形に完全に戻す治療法はありません。骨の変形の原因となる骨粗鬆症に対しては、骨の吸収を押さえたり、骨の形成を助けたりする薬を用いて、これ以上変形がひどくならないように対処します。
変形性関節症の場合は、まず運動療法を行います。関節の周りにある筋肉を鍛えること、さらに関節の柔軟性を高めることで、関節にかかる負担を減らすことが目的です。それと同時に、必要に応じて装具や補助具を利用すると、痛みなどの症状を軽くすることができます。それでも症状が良くならず日常生活に支障が出るような場合は、手術を行うこともあります。手術には、関節鏡で軟骨のかけらを取り出す手術のほか、部位によっては人工関節置換術を行います。
関節リウマチの場合には、抗リウマチ薬や生物学的製剤と呼ばれる薬を使用します。以前は関節の変形を止めることができませんでしたが、今は早期に診断がついて適切な治療をすれば、病気を良好にコントロールすることができます。
骨関節変形の予防・ケア
骨関節変形がある方の場合、どの部位に変形があっても体重を増やさないことが非常に重要です。体重が重くなればなるほど、変形した部位にかかる負担が大きくなります。それは痛みの原因になるとともに変形の程度がひどくなります。また重いものを持つのも、同じように負担がかかるのでよくありません。さらに、仕事やスポーツなどで関節に過度に負担をかけないように心がけましょう。
膝関節に変形のある方は、膝を曲げすぎると負担がかかるため、正座はお勧めしません。どうしても正座しなければならないような場合を除いて、できるだけ椅子に座る生活スタイルとすることをお勧めします。和式トイレは使用せず、洋式トイレを使用しましょう。