健康長寿ネット

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息切れ

公開日:2016年7月27日 02時00分
更新日:2019年6月19日 14時19分

息切れの症状

 息切れとは呼吸が苦しいと感じる状態です。病気ではありませんが、全速力で走った後の息がハアハアした状態を思い出すとイメージしやすいでしょう。人によって呼吸の回数が増えたり、時々深呼吸しないとつらい感じがしたり、寝ている間に苦しくなって起きてしまうこともあります。「息苦しさ」や「呼吸困難」も「息切れ」と同じ意味で使用されています。

MRC息切れスケール

 息切れの程度にはGrade0からGrade5までのスケールがあります。

Grade0
息切れを感じない
Grade1
強い労作で息切れを感じる
Grade2
平地を急ぎ足で移動する、または緩やかな坂を歩いて登るときに息切れを感じる
Grade3
平地歩行でも同年齢の人よりも歩くのが遅い、または自分のペースで平地歩行していても息継ぎのため休む
Grade4
約100ヤード(91.4m)歩行したあと息継ぎのため休む、または数分間、平地歩行したあと息継ぎのため休む
Grade5
息切れがひどくて外出できない、または衣服の着脱でも息切れがする

病院の受診を勧める目安としてはGrade2以上となっています。

息切れの原因

 肺は空気中の酸素を取り入れて、不要になった二酸化炭素を外に排出しています。肺で取り込まれた酸素は血液の中に取り込まれて全身に送られます。しかし、何かの原因で体に酸素がうまく届けられないと息切れがあらわれます。つまり、呼吸がうまくできないときだけではなく、肺はきちんと機能しているのに体に酸素が届けられないときや、きちんと酸素が行き届いているのに酸素が足りないと勘違いするような状況になっても息切れがおこります。

肺の病気

 肺炎・胸膜炎・慢性閉塞性肺疾患・びまん性汎細気管支炎・気胸・肺がん・異物誤嚥・縦隔腫瘍・気管支ぜんそく・過換気症候群など

心臓の病気

 急性心筋梗塞・急性心不全・急性心膜炎・心臓弁膜症・拡張型心筋症・不整脈など

血管の病気

 肺血栓塞栓症・肺梗塞など

血液の病気

 鉄欠乏性貧血・白血病・骨髄異形成症候群など

その他の病気

 甲状腺機能亢進症・ギランバレー症候群・全般性不安障害・自律神経失調症など

息切れの診断

 息切れは自覚症状です。本人が息が苦しいと感じていたら息切れです。ただし、うまく症状が言えない人などでは指先に体内の酸素濃度を測る器械を装着したり、血液検査で酸素濃度を測定して診断することもあります。

 他の症状や経過などから息切れが病気の一症状である可能性が高い時には、「原因」で挙げた病気を念頭に置きながら検査を行います。

 肺の病気では肺活量を測るような呼吸機能検査を行ったり、レントゲンやCTで肺の形に変化がないかをみます。

 心臓の病気では超音波検査で心臓の形や動きを確認したり、心電図検査が行われます。

 血管の異常を見るときには造影CTという血管が白く映る造影剤を点滴しながらCTを行うこともあります。

 血液の検査は一般的に採血で行います。

息切れの治療

 息切れの原因となる疾患には治療で改善が望めるものと、そうではないものがあります。治療で改善が望めないものについてはそれ以上症状が悪くならないようにする治療が中心となります。ですから、息切れを自覚したら早めに受診をすることが重要なのです。

 一時的な病気、たとえば肺炎や胸膜炎などは炎症が改善すれば改善が望めます。ただし肺炎の一部は肺の機能が完全に元通りにならないこともあり、誤嚥性肺炎など繰り返しやすい肺炎の場合は少しずつ肺機能が低下することもあります。

 慢性閉塞性肺疾患はタバコを現在もしくは過去に吸っていた人に多く見られる病気です。肺の機能の改善は難しいのですが、それ以上の悪化を防ぐためには禁煙が重要です。さらには感染症を防ぐためにインフルエンザや肺炎球菌の予防接種を行います。それでも日常生活に支障のある息切れが出てきたときには酸素ボンベを持ち歩いたり、家庭で酸素吸入を行う在宅酸素療法が必要になります。

 心臓が原因で息切れが出てきた場合は心臓の治療が必要になります。よく見られるのは心不全です。これは心臓が血液をうまく全身に送れなくなっているため、酸素を含んだ血液が全身に届かなくなっています。この場合は心臓の負担を取り除く治療を行ったり、不整脈が原因の場合は内服治療やペースメーカーなどを使用します。

 貧血の場合は出血する病気がないことを確認したうえで治療を開始します。鉄剤の投与で改善することもありますが、高齢者の場合血液を作る力が低下していることもあり、その場合輸血が必要になることもあります。また、がんが隠れていることもありますので、専門医の診察を受けることが重要です。

息切れの予防、ケア

 息切れの中には予防できない病気もあります。しかし肺の病気や心臓の病気の一部はタバコを吸うことにより起きやすくなる病気もあります。ご自身のために禁煙することはもちろん、副流煙で周りの人へも影響があることに留意しましょう。

 息切れが出ているときは病院で原因を明らかにすることはもちろん、日常生活でも以下の点に気を付けましょう。

  • インフルエンザなど予防できる病気は予防接種をきちんとうける
  • 風邪のはやる時期はマスクや手洗いなどで感染を防ぐ
  • 生活ではゆったりとしたスケジュールを心がける
  • 平地歩行やスクワットなど下肢を鍛える運動を毎日少しずつ続ける

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