しびれ
公開日:2016年7月25日 21時00分
更新日:2019年8月 5日 16時48分
しびれの症状
しびれは感覚の障害が生じたときにおこる症状で"ジンジン"、"ピリピリ"、"ビリビリ"といった異常感覚や、"厚ぼったく触った感じがにぶい"などの症状です。同時に運動の麻痺(筋力の低下)を伴うこともしばしば見られます。
しびれの原因
しびれの原因となる部位は大きく分けて脳・脊髄・末梢(まっしょう)神経です。
脳の病変によるしびれ
最も典型的には、左右いずれかの半身(顔面、手、足、体幹)に限局したしびれです。これは大脳半球が、体の左右反対側の知覚機能を司っているために生ずるものです。一度に半身全体ではなく、片側の唇周囲と同側の手などのしびれが小さな脳病変で生ずることもあります。また、原因の部位により、顔面と首から下の感覚の障害が交差をして生ずる事もあります。
脊髄病変によるしびれ
脊髄は脳より続き、首より下へのすべての神経の出入り口となる神経の束で、首より腰にかけての背骨の中(椎体の後ろ)に存在します。背骨のひどい変形、椎間板ヘルニア、腫瘍性病変などでの圧迫、脊髄梗塞、炎症性疾患などで脊髄が原因のしびれが生ずることがあります。
脊髄は直径の小さな部位ですので、その障害では、しばしば障害部位に応じた高さより下側(足側)に左右両側性にしびれが生じ、運動の障害を伴う事も多く見られます。
頚椎の変形(頚椎症)では、脊髄の障害が直接出現しない場合でも、そこから出る上肢に行く末梢神経の根元の圧迫により手のしびれが出現する事がしばしば見られます。同様に腰椎の変形で足のしびれが出る事もあります。
末梢神経の障害によるしびれ
末梢神経とは、脊髄より先のレベルの全身に張り巡らされた糸状の神経です。末梢神経の病気は、脊椎(背骨)の変形による神経の根元での圧迫、糖尿病など全身の代謝性の病気、炎症性の病気、動脈硬化などによる足の血流障害、手足の中での神経圧迫などで生じます。
全身性の病気や末梢神経そのものの炎症性の病気による末梢神経障害では典型的には両手足の先のしびれが生じます。手をよく使う方の親指から中指にかけてのしびれは手首での神経圧迫により生ずるもので、手根管症候群といわれる比較的多い末梢神経障害の一つです
しびれの診断
しびれは、中枢神経(脳と脊髄)から末梢神経にいたるどの神経のレベルの病変でも生じます。しびれの発症の仕方やしびれる場所の分布、同時におこった筋力低下の分布より原因を探り診断・治療する事が重要となります。
検査は障害を受けていると考えられる神経周囲のレントゲンやCT・MRIを撮影したり、目に見えないような細い神経障害(末梢神経障害)の場合は神経の信号の伝わり方を確認する神経伝達速度の測定を行います。しびれの原因になる病気があればその病気の検査(糖尿病が疑われれば、糖尿病の検査など)も並行して行います。
しびれの治療
しびれの原因となる他の病気があればその治療を行いながら、しびれの程度が軽度であれば痛みどめや神経を修復する効果のあるビタミン剤の処方で経過をみます。場合によっては原因となる神経のブロック注射や血流を改善させるための温熱療法も行われます。神経の周囲の骨や筋肉が神経を圧迫している場合は病状により固定してその部分の安静をはかったり、逆に筋肉の緊張を取り除くためにストレッチを勧めることもあります。骨が強く神経を圧迫し、内服薬などで改善しない時には手術を勧めることもあります。
しびれのケア・予防
しびれの原因によって、しびれの原因となっている部分を動かさない方が良い時と、逆に軽く動かした方が良い場合があります。受診時にどのくらい動いてよいのか確認しておきましょう。