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言語障害

公開日:2016年7月25日 20時00分
更新日:2019年6月19日 15時16分

言語障害の症状

 言語障害は、発声発語器官(唇、顎、舌、鼻からのど、気管・気管支から肺までつながる声を出すための器官)のどこかに異常が起こったために正しい発音ができなくなる「構音障害」と、大脳にある言語領域に異常が起こったために言葉を使うことができなくなる「失語症」の2つに分けられます。

 「構音障害」の症状としては、「声が出ない」「声はでるが、はっきりと発音できない」「特定の音(特にタ行・ラ行またはバ行・パ行)が出ない」「舌がもつれる」「ろれつが回らない」などがあります。通常、構語障害のみの場合には、字を書いてコミュニケーションをとることは可能とされています。

 「失語症」の症状は多岐にわたります。「言葉が出ない」「言い間違いが多い」「滑らかに言葉は出るものの、その場に適切な言葉が選べない」「意味不明な言葉を話す」などの「話す」障害、「音は聞こえるが、話しかけられた内容が理解できない」といった「聞く」障害、「文字が読めない・書けない」「文字は読めても内容は理解できない」などの「読む・書く」障害などがあり、これらはすべて失語症の症状として知られています。

言語障害の原因

 高齢者に言語障害が起きる原因としては、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の総称)や認知症があります。運動機能性構語障害の原因としては、そのほかにパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患があげられます。

 言語障害のその他の原因としては、難聴などの聴覚障害に伴うもの、発達障害あるいは知的障害に伴うものなどがあります。

言語障害の診断

 言語障害を診断する際には、構音・プロソディー検査、会話明瞭度検査・構音器官の検査、標準失語症検査(SLTA)・老研版失語症検査・国立リハ版失語症選別検査・BDAE 失語症重症度評価尺度などの失語症の重症度を知るための検査を用い、以下の状況について確認を行い、所見を総合して、言語障害の分類および重症度の診断を行います。

構(発)音の状態

母音、子音等の正確性、発話全体としての会話明瞭度及び自然性(抑揚、アクセント、発話速度等)

構音器官の所見

口唇、舌、下顎、口蓋、咽頭等の運動機能と形態

言語理解力

音声言語に関して、単語や文の理解ができるか否か(聴覚的理解)。日常的な単語、簡単な文、やや複雑な文等の視点から理解力の程度をみる。

言語表出力

単語や文が言えるか否か(音声言語の表出)。日常的な単語、簡単な文、やや複雑な文、文の形式(構文又は文法)、文による具体的情報伝達(実質語の有無)等の観点から表出力の程度をみる1)より引用、一部改変

言語障害の治療

 脳卒中や認知症などに伴う言語障害は、残念ながら多くの場合、特効薬や有効な治療法などはなく、元の状態にまで回復させることは困難です。

 言語障害の主な治療は、言語聴覚士によるリハビリテーションです。一口に言語障害といっても、症状の出方や重症度には個人差が大きく、個々人に合わせたリハビリテーションのプログラムが必要となります。

 構音障害が主体の場合には明瞭な発音ができるよう練習をしたり、ゆっくり区切るなど他人に伝わりやすい話し方の練習を行います。

 失語症がメインの場合には、残された機能を十分に活用し、実用的なコミュニケーションの方法が確立できるように訓練を行っていきます。

言語障害の予防・ケア

 認知症がベースとなっている場合以外の言語障害は、場に応じた適切な言葉が出てこないというだけのことであり、理解力の低下があるわけではありません。小さな子供に話しかけるような言葉がけや体動は、ご本人の自尊心を大きく傷つけ、リハビリテーションに対するやる気を削ぐことになりかねません。

 言語障害のある方に話しかける際には、ゆっくりとわかりやすい言葉を遣うこと、言葉が出てこない場合にはせかさないで待ってあげること、言葉が出にくい場合は「はい」「いいえ」で答えられる質問を用意することなどを心がけると良いでしょう。

 一番大切なことは、ご本人の気持ちに寄り添ってあげることです。言葉が思い通りに出ないということは、非常に焦りや苛立ちを覚えるものです。ご本人に可能なコミュニケーションの手段をゆっくり確立していきましょう。

参考文献

  1. 身体障害者福祉法第15条指定医の指定及び身体障害者診断書作成の手引きについて 神奈川県(外部リンク)(新しいウインドウが開きます)

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