喘鳴(ぜんめい)
公開日:2016年7月26日 22時00分
更新日:2019年2月 1日 18時43分
喘鳴の症状
喘鳴とは呼吸をするときに、ヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がすることです。
この音は聴診器を使用しなくても聞こえます。基本的には空気の通り道である気道が狭くなったときに出る音です。
喘鳴の原因
息を吸うときに音がする場合と息を吐くときに音がする場合があります。息を吸うときには口に近いほうが狭くなり、息を吐くときには肺の中の気管支が狭くなるので、どのタイミングで喘鳴が聞こえるかによって、ある程度狭くなっている部位が推測できます。
息を吸うときに音がする場合は鼻からのどにかけて原因があることが多いです。
- アデノイド
- 扁桃肥大
- 舌根沈下
- 咽喉頭腫瘍
- 喉頭炎
- 喉頭クループ
- 声帯麻痺
- 喉頭外傷
- 異物
息を吐くときに聞こえる場合は気管支や肺が原因であることが多いです。
- 気管支ぜんそく
- 気管支炎
- 肺がん
- 気管支拡張症
- うっ血性心不全
- 塵肺(じんぱい)
肺がんのように治療をしなければ改善しない喘鳴もあれば、痰が気管支にたまっているときだけ聴取される一時的な喘鳴もあります。
気道が狭くなる原因としては癌のように病気が気道内にせり出してくる場合や周りから気道が押されて細くなる場合、アレルギーや炎症で気道の壁がむくむ場合や痰や異物が気道内にある場合などがあります。
喘鳴の診断
受診時に喘鳴が聴取されない場合でも、聴診器で胸の音を聞くと喘鳴と同じような音を聞くことができるときもあります。原因を検索するためには胸部レントゲンやCTを行います。
また、気道の狭さを診断したり、薬の効果を見るために肺活量などを測る肺機能検査を行うこともあります。
肺がんが疑われたり、気道内に異物がある場合は診断のために気管支鏡というカメラを気道に挿入して直接見ることもあります。
喘鳴の治療
喘鳴は気道が狭くなっていることを示しているので、肺のごく一部で聞こえる場合などを除いて早急に治療が必要なことが多いです。
ひとまず診断がつくまでは酸素投与を行い、少ない呼吸量であっても濃い酸素を吸うことで体内の酸素状態を改善させます。酸素マスクだけでは酸素はある程度の濃さまでにしか上げることができません。もし酸素マスクで十分に改善されない場合は100%酸素を投与できる人工呼吸器を装着するために気管支に管を入れる場合もあります。また、マスク型の人工呼吸器もあります。こちらは気道に管を入れなくてよいため、非侵襲的(ひしんしゅうてき)と表現されます。口と鼻をぴったり覆うマスクに機械をつなぎ、一定の酸素を追加しながら圧をかけて空気を押し込みます。ただし痰が多い場合は痰の排出を妨げるためこの方法が使えないこともあります。
気管支喘息の治療は吸入が主流です。原因や効果によっては内服薬を追加します。高齢者で吸入がうまくできない場合は内服薬のみでみることもあります。
高齢者でおきる舌根沈下はのどの周りの筋力の低下や麻痺によっておきます。特に寝ている間は全身が脱力するため、舌根沈下は起きやすくなっています。横向きに寝かせるといった姿勢で起きにくくはなりますが、場合によっては気管切開が考慮されます。
喘鳴の予防、ケア
喘鳴にはいろいろな原因があります。喘鳴がある場合は気管支が狭くなっていて、放置すると知らない間に悪化したり、早期に治療すれば治すことができたのに治療のタイミングを逃してしまうこともあります。ですからきちんと病院を受診して気道のどの部分に原因があって、それはどのような病気なのか説明を受けましょう。
喘息は喘鳴が聞かれる代表的な病気ですが、治療を始めても喘鳴がないから、呼吸が苦しくないからと言って途中で治療を自己判断でやめてしまう人がいます。しかし喘息は苦しくないときでも気道に炎症を起こしているときがあり、きちんと治療をしないと狭くなった気道がもとに戻らなくなってしまいます。症状だけで判断せず、きちんと医師の診療を受けましょう。