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リンパ節腫脹

公開日:2016年7月26日 14時00分
更新日:2019年5月30日 13時44分

高齢者におけるリンパ節腫脹

 リンパ節は、リンパ液の通り道で免疫に関わっています。首やわきの下、足のつけ根などに多く存在しています。正常のリンパ節の大きさは直径1cm以下で、それ以上に腫れている時にリンパ節腫脹があると判断します。

 高齢者におけるリンパ節腫脹の特徴、症状や原因、診断方法などについてまとめます。

高齢者におけるリンパ節腫脹の特徴

 リンパ節腫脹は、感染や膠原病、腫瘍などにより起こるといわれていますが、若年者では良性の病気が多く、高齢者では悪性疾患いわゆるがんが多いといわれています。30歳以下のリンパ節腫脹では約80%を良性の病気が占め、50歳以上では約40%という報告もあります。

高齢者におけるリンパ節腫脹の症状

 リンパ節腫脹の症状は、自分でリンパ節の腫れを感じることが多いです。ぐりぐりしたものが触れる、またはころっと触れるなどと表現する方もいます。感染症などの反応性の場合には痛みを伴い、悪性の場合には痛みを伴わないことが多いといわれています。原因によって違いますが、発熱や発汗、貧血、体重減少など全身性の症状を伴うこともあります。

 高齢者のリンパ節腫脹の原因は、悪性疾患が多いので痛みを伴わないリンパ節の腫れを自覚することが多いかもしれません。悪性腫瘍によるリンパ節腫脹は、がんの転移である可能性が最も高く、次に悪性リンパ腫といわれています。悪性リンパ腫では、首のリンパ節が腫れることが最も多く、次にわきの下、足のつけねです。

 いずれにしても6週間以上持続するリンパ節の腫れを自覚している場合は、早めに病院を受診しましょう。

高齢者におけるリンパ節腫脹の原因

 高齢者において起きる可能性の高いリンパ節腫脹の原因についてまとめます。

感染性リンパ節腫脹

 感染によるリンパ節腫脹は、ウィルス、細菌、結核菌、梅毒、トキソプラズマなどによって起こることがあります。ウィルスによる感染性リンパ節腫脹は、伝染性単核球症や風疹、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘などで起きます。ブドウ球菌などによるリンパ節腫脹の場合には、うみを認めることもあります。

 高齢者において気をつけなければいけないのが、結核性リンパ節腫脹です。結核は、免疫力が低下していると感染する可能性が高くなります。糖尿病や心臓病などの持病のある方や高齢者の方が感染しやすいので注意が必要です。

悪性リンパ腫

 悪性リンパ腫とは、腫瘍化したリンパ球が全身にあるリンパ節を壊しながら進行する病気です。発熱、寝汗、体重減少が起きることが多く、診察の時にはどのリンパ節まで病気が進行しているか把握します。高齢者に多い病気として知られていますが、抗がん剤による副作用も出やすいため治療は慎重に行います。

多発性骨髄腫

 体に侵入した異物を攻撃する細胞のことをリンパ球または形質細胞とよびます。普段は良いはたらきをしている形質細胞も悪性化し異常に増えるとがんと同じ状態になります。骨の中で形質細胞が増えると骨が溶け、痛みや骨折などを起こします。また、異常な細胞が増えるので血液の粘度が増し、腎臓などの臓器がうまく機能しなくなります。高齢者に多く、進行がゆっくりで、貧血や骨折で精密検査をしたら多発性骨髄腫だったということもあります。

リンパ節腫脹の診断

 リンパ節が腫れている場合には、まず血液検査や胸や腹部のCTを行います。血液検査では、白血球、赤血球、ヘモグロビン、血小板に加えて、炎症反応や肝機能、各種の感染症や膠原病に関連する抗体などを調べます。CT検査では、体の表面から見えない部分のリンパ節腫脹がないか確認します。

 多発性骨髄腫などの血液疾患が疑われる時には血液を作っている骨髄に細い針を刺して異常がないか調べる骨髄穿刺を行います。また、腫れているリンパ節自体を細い針で刺して、原因を調べるリンパ節針生検やリンパ節を摘出して検査するリンパ節生検を行うことも多いです。

リンパ節腫脹の治療

 リンパ節腫脹の治療は原因によって異なります。
ウィルスによるものの場合には、対症療法のみで経過をみるしかありません。細菌や結核による場合は、抗菌薬や抗結核薬で治療をします。がんの転移によるリンパ節腫脹や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の場合には、抗がん剤を中心とした治療をします。

リンパ節腫脹に対する予防法

 リンパ節腫脹の原因で予防できるのは、感染症による場合です。普段からウィルスや細菌に対して免疫力を上げるために、バランスのよい食事や適度な運動、十分な睡眠は大切です。

 がんや悪性リンパ腫、多発性骨髄腫は、明らかな要因が分かっていない部分もあるため、自分で予防するのは難しいです。しかし、急速に腫れるリンパ節腫脹などに早く気付くことができれば、病気が進行する前に治療を開始できる可能性もあります。普段から、体調の変化やリンパ節の腫れがないか気にしておくとよいかもしれません。

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