尿失禁の看護
公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年5月10日 10時43分
尿失禁とはおしっこをしようとしていないのにおしっこが出てしまう、いわゆる尿もれのことです。
尿失禁には4つのタイプがあり、それぞれケアが違います。(リンク1参照)
腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁とは、おなかに力が入ったときにもれてしまうタイプです。
そのケアとしては、動く前(おなかに力が入る前)におしっこをしたり、咳やくしゃみが出そうなときに、男性では陰部のつけ根を女性では尿道口のあたりを押さえるよう指導します。このタイプでは骨盤底筋体操がおすすめです。
骨盤底筋体操は尿道と肛門周囲の括約筋をしめたりゆるめたりする体操です。いつでもどこでもできることやお金がかからないことが利点ですが、効果がすぐには表れず、継続することが難しいことが欠点です。
手術による治療も体への負担が少なく効果があるとされています。
切迫性尿失禁
切迫性尿失禁とは、おしっこがしたいと感じるとトイレまで間に合わずもれてしまうタイプです。
そのケアとしては、脱ぎやすい服にしたり、トイレに行きやすい部屋で過ごすなど、すぐにおしっこができるように生活環境を調整します。
また排尿日誌(何時にどれだけおしっこが出たか、尿もれはどれだけだったかなどを記載したもの)をつけてみて時間ごとにおしっこに行くよう指導します。骨盤底筋体操も有効とされています。現在良い薬がありますので医療機関への受診をすすめることも良いでしょう。
いつ流性尿失禁
いつ流性尿失禁とは、おしっこがうまく出せずに、いつもちょろちょろあふれて出てくるタイプです。
これは放っておくと熱がでたり、腎臓の機能が悪くなる合併症を生じる恐れがあるので治療が必要です。かかりつけ医へ相談した方が良いでしょう。
ケアとしてはおしっこが出やすい体勢、環境を調整することです。例えば、いつもベッドで寝たままおしっこをしている人は、可能ならトイレで座っておしっこをしてもらうなどです。
機能性尿失禁
機能性尿失禁とは、おしっこをする機能自体に問題はなく、認知症や体の動きが悪くて尿もれするタイプです。
トイレへ行くことを忘れてしまったり、トイレへ行きたくてもそれをうまく人に伝えられずに尿もれします。従って、おしっこがしたいというサインや排尿のリズムをみつけ、もれてしまう前にトイレへ誘導しましょう。
わかりにくい場合は時間を決めておしっこを促すと良いでしょう。
高齢者には尿失禁で困っている人は多いと思いますが、年のせいだとあきらめている人や恥ずかしくて誰にも相談できない人が多いようです。押し売りになってはいけませんが、おしっこのことで困っていないか周りの人が気にかけることが始めの一歩です。
オムツ=悪いものという印象がありますがそうではありません。オムツはいろんな種類があり、その人にあった使い方をすることで快適に日常生活を送ることができます。
尿失禁の看護で大切なことは失禁を減らすことやなくすことではありません。本人が日常生活を送るうえで困ることがないように、コントロールできることが大切です。