健康長寿ネット

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口腔ケアの具体的方法

公開日:2016年7月25日 05時00分
更新日:2019年6月21日 13時06分

 健康な方の口腔の健康維持は、日々のブラッシングなどの自己管理が中心となります。しかし、要介護高齢者や障害者では介護者や看護師による口腔ケアが必要になります。

 こうした方々の口腔ケアは、歯科医師および歯科衛生士が専門的口腔ケアを行うことが望ましいと考えられてきました。しかし、現実には介護者や看護師などが全身的なケアに加え、口腔ケアに関与しているのが現状です。

 そこで国立長寿医療センター歯科では口腔を良好な状態に保ち、QOLを向上させるために、エビデンス(根拠に基づいた医療)に基づいたより科学的な口腔ケア、しかも一般の介護者が簡単に行え安全かつ効果的な口腔ケアの開発を行いました。

口腔ケアの方法

 国立長寿医療センターで開発した要介護者の口腔ケアの方法は、(1)口腔ケアシステムと(2)口腔ケア支援機器の2種類あります。うがい、意思疎通、協力度の面で良好な方を対象に、御家族、介護者が行える口腔ケアシステムと、それが困難で歯科医師など専門職が主に行う口腔ケア支援機器です。

 ここでは誰にでも可能な口腔ケアシステムをご紹介します。口腔ケアシステムは、「1日1回5分」で誰でも要介護高齢者の口を清潔にできるよう考え出されました。

写真:「口腔ケアシステム」で用意する器具 1. U字型のたらい 2. 口腔ケア用スポンジ 3. 舌ブラシ 4. 電動歯ブラシ 5. コップ 6. うがい薬 7. 口角鉤(こうかくこう)(唇にかけ、口の中を見やすくします。あると便利ですが、なくてもできます。)

「口腔ケアシステム」における要介護者の姿勢

 食べかすやうがい薬を誤嚥(誤って肺に飲み込むこと)させないよう、姿勢に気をつけましょう。座位(座った状態)が理想ですが、困難な場合、横向きの側臥位が安全です。片麻痺がある方の場合、麻痺のない方を下側にして下さい。

「口腔ケアシステム」の手順

写真:口腔ケアシステムを実際に行った際の写真

(1)水でうすめたうがい薬をスポンジに浸し、歯と口腔粘膜をやさしくこすり、食べかすや歯垢を取り除きます。(約1分)

 高齢者の口腔粘膜は薄くなって傷つきやすいので力を入れすぎないようにしましょう。

(2)舌ブラシを曲げて、舌の奥から手前へ10回位軽く擦り舌を清掃します。(約30秒)

 舌は傷つけないように気をつけましょう。口臭の原因の多くは舌の汚れにあります。舌の清掃も忘れずに行いましょう。

(3)うがい薬をつけた電動歯ブラシで歯を清掃します。必要に応じて粘膜も清掃します。(約2分30秒)

(4)うがい薬で十分うがいをします。(約1分)

 吐き出したうがい薬はU字型のたらい(洗面器や穴を空けたペットボトルでもよい)で受けましょう。

 誤嚥(ごえん:異物を誤って飲み込むこと)させないように十分注意して下さい。

 入れ歯がある場合は、電動歯ブラシで入れ歯の清掃を行います。 入れ歯は汚れが付きやすく、微生物の温床になっています。

 以上、口腔ケアシステムの具体的方法について簡単にご説明しました。 さらに詳細についてご興味のある方は以下の文献を参考にして下さい。

参考文献

  1. NHK出版 今日の健康2005年2月号 在宅介護:これなら出来る口腔ケアP103-109
  2. 角 保徳、植松 宏"5分でできる口腔ケア:介護のための普及型口腔ケアシステム" 医歯薬出版2004年
  3. 角 保徳"誰でもできる高齢者の口腔ケア"ビデオ 中央法規出版 2003年

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