突然死
公開日:2016年7月24日 04時00分
更新日:2019年2月 1日 18時59分
高齢者の突然死の原因
突然死は、急激に疾患が発症し、急激に悪化し、24時間以内に死亡してしまうような状態のことです。
高齢者の突然死の原因の多くは、心臓などの循環器系の病気ですが、原因の解明が困難(原因不明)な場合もまれではありません。
突然死の生じる直前の身体活動では、就寝中が多く、ついで入浴中のことが多いようです。これは心筋梗塞や狭心症の発症が、明け方や入浴中に多いことと関連があるかもしれません。
心臓性突然死
心臓疾患による突然死を心臓性突然死といいます。その原因には急性心筋梗塞、致死性不整脈、心筋症、心臓サルコイドーシス、心筋炎などがあります。
急性心筋梗塞では、心臓そのものに血液を送る血管(冠動脈)が細くなったり詰まったりすることによって発症します。胸痛で発症することが多いですが、高齢者では痛みを伴わずに発症することもあり注意が必要です。心筋梗塞の結果、重篤な不整脈を生じたり、心臓の筋肉が壊死したりすれば突然死となります。
不整脈のうちでも、心室頻拍や心室細動は致死性不整脈の多くを占めます。しかし徐脈性(脈拍数が減る)不整脈から死に至る場合もあります。
心臓の壁の一部が厚くなる肥大型心筋症では、心臓から流れ出る血流が阻害され、意識障害や突然死を生じることがあります。心室内腔の拡張する拡張型心筋症でも、心不全や不整脈から突然死となることがあります。
心臓以外の突然死
心臓以外の循環器系による突然死として大動脈瘤の破裂があります。強い背部痛・胸痛や肩の痛みで発症することが多いですが、整形外科的な病気などと思われてしまう場合もあります。
心臓以外の原因による突然死では、脳血管障害が多くみられます。広範囲の脳出血や脳梗塞、脳幹部(後頭部の下の方で、呼吸や循環に必要な機能を司る部分)の病変では突然死を生じることがあります。
呼吸器に関連した突然死で、最近注目されているのは睡眠時無呼吸症候群です。体型と関係し、睡眠時に舌がのどの奥に落ち込むなどの原因で、呼吸数が減少し、しばらく呼吸が停止したのち、息苦しくなって再度呼吸をするようになる状態のことです。慢性的な血液中の酸素不足から心不全や肺水腫を生じ、突然死の原因になることがあります。
また再呼吸の時に重篤な不整脈を生じ、これが突然死の原因になることもあります。
入浴時の突然死
入浴時には、急激な温度変化にともなう血管の収縮・拡張のために血圧変動を繰り返し、また脱水などの影響もあり、心筋梗塞や脳血管障害を生じる危険が高くなります。特に冬季の熱い風呂への入浴は危険が高く、注意が必要です。