高齢者救急
公開日:2016年7月24日 01時00分
更新日:2019年2月 1日 18時59分
高齢者救急で多い病気
神経系の病気では、脳梗塞や脳出血といったいわゆる脳卒中、脳血管障害が多く発症しています。これらの病気は、一般に、話がしにくい(話せない、ろれつがまわらない)、手足の動きが悪い(力が入らない、動かない)、便や尿の失禁といった症状で発症します。クモ膜下出血など一部の疾患では、激しい頭痛や頚部痛が生じることもあります。
循環器の病気では、心筋梗塞、狭心症、不整脈が多く、この場合は胸部の痛みや締め付け感、動機、呼吸困難等を生じます。肩の痛みや上腹部の痛みなど、典型的でない症状が生じることもあります。また高齢者では、痛みのない心筋梗塞も少なくないため注意が必要です。
呼吸器の病気では、肺炎、誤嚥・窒息が多く発症しています。
高齢者救急疾患の特徴
高齢者救急疾患のもっとも大きな特徴は、もともと持っている背景疾患、つまり以前にかかった病気や過去の手術の影響が、現在の病状に影響していることがあげられます。このため、ひとつの臓器の障害だけでなく、別の複数の臓器障害をあわせて引き起こしていることがままあります。逆に、発症した救急疾患のために、以前から持っている病気が急に悪化することもあります。
また重症化した病気のために、精神や神経の症状を合併することもよくあります。
高齢者では、認知症や失語症※1・構語障害※2などのために、自覚症状がはっきりしなかったり、症状が十分説明できなかったり、訴えの内容が信頼できなかったりすることもあるため注意が必要です。
- ※1失語症:
- 失語症とは、脳梗塞などで、脳の言語中枢が障害され、思っていることを言葉にしたり、人が話している言葉を理解したりできなくなる状態のことです。
- ※2 構語障害:
- 構音障害とは、発声に係わる器官(唇、喉、声帯など)に麻痺などの障害がおきて、うまく発声や話ができにくくなることです。
救急車を要請する際の注意点
救急疾患のため、高齢者をかかりつけ以外の医院・病院に連れて行くときや、救急車を要請する際には、今回発生した病気の経過連絡に加え、以下の点に注意しましょう。
- 過去の病気や手術について報告する。
- 市販薬も含め現在飲んでいる薬を持参し、その内容や治療中の病気について報告する。
- 普段の生活状況(身の回りのことがどれくらいできるか。何をどれくらい食べているか。など)や活動状態(一人で外出できるか。どれくらい歩けるか。など)を説明することが大切です。