ICTを活用した介護 〜地域包括ケアシステム構築を補完するICTの活用〜
公開日:2016年8月26日 07時00分
更新日:2019年10月17日 14時12分
ICTとは
ICT (英:Information and Communication Technology)とはインフォメーション(情報)・アンド・コミュニケーション(相互の情報の交流と情報処理)・テクノロジー(技術)です。
そして、IT(英:Information technology)は情報処理技術を指し、日本においてはパソコンやスマートフォンなどのコンピューターを用いてインターネットを活用した情報処理と共有を指す場合が多いです。 ITを用いて相互の情報の共有をやり取りし、必要な情報を導き活用する道具としてICTという呼び方をしている場合が多いです。
近年、急速に広がり多くの方が日常的に利用する技術となっています。
地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムとは、住民が高齢になってもいつまでも住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域の体制・しくみのことを示します。
平成25年10月の人口統計によると日本の高齢化率(全体の人口における高齢者の割合)は25.1%であり、4人一人が65歳以上の高齢者です。(平成26年版高齢社会白書より) この高齢者の割合が今後更に増え、2025年には31%を超えると言われています。
高齢者の特徴は、体の機能が低くなってくることで生活のお手伝い(介護)が必要となってくる方が多いということです。同時に足腰の痛みなど体の不調や、認知症など治らない病気を複数持つ方が多くなります。暮らしを支えるために生活支援と予防(介護予防と病気の予防)が提供され、足腰等が弱ったら介護、病気になったら医療の支援が必要となります。高齢者が増えるという事で、住民の生活に応じて切れ目ない必要な支援を円滑に提供できるようにする必要があります。
生活については、各市町村の役所や社会福祉協議会、保健所や保健センターなどに相談窓口がある事が多いです。介護については、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどに、相談窓口があります。また、医療については多くは病院や診療所が相談に対応しています。
このように、地域で住民が住まい・医療・介護・予防・生活支援の相談をする際に、専門とする部署や相談窓口が離れている場合が多いですし、一人一人の住民を支援するために、住まい・医療・介護・予防・生活支援について様々な人や事業所が関わらなければならない事になります。
これから多くなる高齢者の地域での生活をささえるために、地域で活動する関係者は迅速かつ円滑に必要な情報をやり取りしながら支援を進めていく事が必要となります。忙しく活動する地域包括ケアに関わる人々が集まることは大変なことであり、近年活用が期待されているのがICTを活用した連携による支援です。
例えば、それぞれの地域に設置されている窓口をインターネット上で探すことができる取組みがあります。 厚生労働省では、公式ホームページ上で高齢者の生活支援窓口である地域包括支援センター(リンク1参照)の情報を一覧化し掲示しています。
ICTの活用例
国立長寿医療研究センターでは、テレビ電話を活用し、診療所と病院との間で担当患者の支援について話し合いを行っています。 詳しくは国立長寿医療研究センター在宅連携医療部ホームページ(リンク2参照)をご覧ください。 各地域で様々な方法や目的でICTを活用して、住民に必要な支援を迅速に提供できるように取組みが始まっています。
総務省によるICTの活用例
総務省の公式ホームページにはICTを活用した各地域の取組み(高齢者の見守りや医療・介護連携等)情報が一覧化(リンク3参照)されています。
地域ごとの人のつながりにICTの活用を
時代の変化に伴い、ICTを活用した地域包括ケアシステムを整備するための取組みはさらに進むことが見込まれています。同時に、顔の見える、声をかけあう関係をつくる取組みも積極的に進めるべき活動であることも、多くの地域から確認されています。
地域ごとの人と組織のつながりを作っていく取組みが、これからの社会づくりの基盤であり、ICTなどの道具をそれぞれの地域で円滑に有効活用していく事が強く求められています。