アルツハイマー病のもつれ:タウ凝集の微細構造をみる
公開日:2017年10月19日 14時00分
更新日:2022年12月 2日 14時21分
アルツハイマー病の患者の脳のニューロンには神経原線維変化とよばれる凝集体がある。タングルともいうニューロンの中の微小管のリン酸化タウの凝集体だ。その構造がぼんやりみえたのはもう25年も前のこと。今回、英国のMRCの研究者たちが急速凍結電子顕微鏡法で原子レベルの微細構造を明らかにした。直鎖(SF)とねじれ(PHF)の両方についていずれも2つの「C文字」が対合した形状として表された。認知度の低下に直結する凝集物の構造が鮮明にみえる。これを手がかりに他の神経変性疾患での凝集体の構造解析も可能だろうし、この構造を指標に薬剤候補の分子デザインへも応用できるだろう。
文献
Fitzpatrick AWP, et al. Nature 2017 ; 547 : 185-190
転載元
公益財団法人長寿科学振興財団発行 機関誌 Aging&Health No.83