徘徊で、家族が行方不明になったら
公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2022年5月24日 14時00分
認知症の徘徊行方不明
認知症の家族が、徘徊で行方不明になり、側溝に転落したり、交通事故に巻き込まれて亡くなるという痛ましい報道がときどきあります。認知症のご家族にとって、不安、焦燥、罪悪感など心の大きな傷となります。
徘徊行方不明のリスクがある人の数はどれくらい
厚生労働省の研究班が行った調査では、認知症高齢者は高齢者の15%で、462万人が認知症高齢者と推定されました。その中で、徘徊行方不明のリスクがある高齢者は、認知症のある高齢者の2割くらいではないかといわれています。
もし徘徊で家族が行方不明となったら
まず地域の力を活用しよう
ご近所の方々に事情を話して「もしも、うちの人が一人で歩いていたら、連絡をください」とあらかじめお願いしておくことが大切です。また、本人がよく立ち寄りそうな場所やお店などにも事前に話をしておくとよいと思います。しかしこれには、家族の認知症に関する状況を説明しておく必要もあり、実際には近所の方に内緒にしている場合もあり、すぐに活用できない場合もあります。
制度を活用しよう
まず第一には、警察署に捜索依頼を出します。写真など不明者の情報を添えて届け出をしてください。自分たちで探し出そうと躊躇しがちですが、時間が経てばたつほど、認知症の人は遠くへ行ってしまう可能性があるので、捜査がより困難となります。行方不明に気づいたときは、自分たちだけで探そうとせず、すぐに警察に連絡することが大切です。
次に行うことは、近くの地域包括支援センターに相談してみることです。いくつかの市町村では図のような「認知症の人の見守り、SOSネットワーク」を構築しています。このネットワークは認知症の人などが行方不明になったときに素早く捜し始められるよう、行政・警察署・市民などが連携してつくった連絡網・捜索体制です。ネットワークは、各地域の事情に合わせた独自のものになりますが、事前登録制度など、あらかじめ登録や準備が必要なネットワークもありますので、詳しくはお住まいの行政や地域包括支援センターの窓口にお問い合わせください。ただし徘徊SOSネットワークは、まだ全国の市町村で整備されているところは少なく、また整備されていたとしても、ネットワークがしっかりと住民に周知されていないことが多いので、お住まいの行政や地域包括支援センターで確認するとよいでしょう。
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公益財団法人長寿科学振興財団は超高齢社会における喫緊の課題として認知症の実態、診断・予防・ケアについて学術的研究成果を「認知症の予防とケア」と題して研究業績集にまとめました。研究業績集の内容を財団ホームページにて公開しております。是非ご覧ください。