リアリティ・オリエンテーション
公開日:2016年7月26日 07時00分
更新日:2019年11月 8日 15時55分
リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)は、1968年にアメリカのFolsomらの提唱から始まりました。
リアリティ・オリエンテーションとは、今は、何月何日なのかとか、季節はいつなのかといった時間や今いる場所等が判らないなどの見当識障害(けんとうしきしょうがい)を解消するための訓練で、現実認識を深めることを目的とします。
個人情報に関する質問に始まり、今居る場所や日付などの質問を繰り返し、また日常生活で当たり前に行ってきた動作を通じ、対人関係・協調性を取り戻すことや、残存機能に働きかけることで認知症の進行を遅らせることを期待する療法です。
リアリティ・オリエンテーションの種類
リアリティ・オリエンテーションには2種類の方法があり、一つは24時間リアリティ・オリエンテーションで、もう一つはクラスルームリアリティ・オリエンテーションです。
クラスルームリアリティ・オリエンテーション
クラスルームリアリティ・オリエンテーションでは、少人数の患者が会合しスタッフの進行のもと決められたプログラムにそって個人および現在の基本的情報(名前、場所、時間、日時、人物など)が提供され訓練されます。
24時間リアリティ・オリエンテーション
24時間リアリティ・オリエンテーションでは、認知症高齢者とスタッフとの日常生活における基本的なコミュニケーションの中で、認知症高齢者に「自分は誰であるのか」「自分は現在どこにいるのか」「今はいったい何時か」といった事柄に対する現実認識の機会を提供します。
例えば、着替えや排泄の介助など、日々のケアの中で、スタッフが意図的に、認知症高齢者の注意や関心を、天気、曜日、時間に向けたり、室内に飾られた季節の花、朝食のみそ汁のにおい、旬の魚を焼く香り、登校中の子どもたちの声などを用いて、見当識を補う手がかりを与える療法です。
この療法を受けられる病院もしくは施設は、限られていますので一度かかりつけの医師もしくは施設に問い合わせてください。
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公益財団法人長寿科学振興財団は超高齢社会における喫緊の課題として認知症の実態、診断・予防・ケアについて学術的研究成果を「認知症の予防とケア」と題して研究業績集にまとめました。研究業績集の内容を財団ホームページにて公開しております。是非ご覧ください。