新オレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年11月 8日 15時48分
新オレンジプランとは
高齢化社会の日本にとって認知症は身近な疾患となり、平成37年には65歳以上の約5人に1人が認知症高齢者となると推定されています。
増加する認知症高齢者への対策は、これまでの「オレンジプラン」の認知症を支える側の視点だけではなく、認知症の方自身の視点が重要とされ、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で 自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。」1)という考え方の基に、厚生労働省と関係府省庁によって、平成27年1月27日、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)が策定されました。
新オレンジプランの7つの施策
1.認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
社会全体へ認知症の理解を深めるための取り組みとして、全国的な普及活動や学校での教育推進、認知症サポーターの養成(平成29年度末までに800万人を目標)を実施します。
2.認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
認知症発症前から人生の最終段階まで、認知症の進行状態に合わせた適切な医療・介護が受けられるように循環型の仕組み(図1参照)を構築し、地域や関係機関との有機的な連携を図り、本人主体の対応、サービスを提供します。
- かかりつけ医、歯科医師、薬剤師、看護・介護職員の認知症対応力の向上と認知症サポート医の養成
- 認知症の早期診断や支援を行う認知症疾患医療センター、認知症初期集中支援チームの整備・設置
- 認知症ケアパス※1の発行
- 全市町村に認知症地域支援推進員を配置
- ※1 認知症ケアパス:
- 認知症ケアパスとは認知症の容態ごとにいつ、どこで、どのような医療・介護サービスが受けられるかを示したもの
3. 若年性認知症施策の強化
65歳未満で発症する若年性認知症の方への就労や社会参加の支援を推進します。
4. 認知症の人の介護者への支援
認知症の方の家族など、介護者の負担軽減や生活と介護の両立を推進します。
5. 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
生活の支援、生活しやすい環境の整備、就労・社会参加支援、安全確保を行います。
- 家事や買い物などの支援サービスの提供
- 高齢者向け住宅の確保、バリアフリー化の推進
- 独居の方を地域で見守る体制の整備、虐待や身体拘束の防止
6. 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等 の研究開発及びその成果の普及の推進
いまだに明らかとなっていない認知症のメカニズムの解明を進め、予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発と普及促進を行います。
7.認知症の人やご家族の視点の重視
認知症の方とご家族の視点に立った取り組みを行うことは、全ての施策において共通する理念です。
これから先も増え行く認知症高齢者にやさしい地域づくりは、医療・看護・介護などを担う行政、生活支援サービスを行う民間、地域のそれぞれが自発的に役割を果たしながら連携し、地域社会全体が一体となって認知症高齢者を支えていくという地域包括ケアシステムの実現を目指す中にあります。認知症の方、高齢者に限らず、地域が住民個人を見守るという地域コミュニティ機能の再生が重要となります。
関連書籍
公益財団法人長寿科学振興財団は超高齢社会における喫緊の課題として認知症の実態、診断・予防・ケアについて学術的研究成果を「認知症の予防とケア」と題して研究業績集にまとめました。研究業績集の内容を財団ホームページにて公開しております。是非ご覧ください。
公益財団法人長寿科学振興財団 「認知症の予防とケア」平成30年度 業績集