介護保険の福祉用具:床ずれ防止用具とは
公開日:2019年2月13日 17時20分
更新日:2019年2月21日 16時40分
床ずれとは1)
床ずれとは、同じ姿勢で寝た時間が長くなるなど、皮膚が床(あるはベッドマットレスや布団)に接して、圧迫されている時間が長くなることで圧迫されている部分に損傷が生じた状態です。特に、お尻や踵(かかと)など、寝た姿勢の時に、圧迫をうけやすい部位にできます。高齢となり、栄養状態が悪くなると、やせて、骨の形が分かるようになることがありますが、この場合はさらに圧迫やずれが生じやすくなります。なお、床ずれは医学的に褥瘡(じょくそう)といいます。
床ずれ防止用具とは2)
床ずれを防止するためには、身体にかかる外力(圧力・ズレ・摩擦)の強さを小さくすること、外力のかかっている時間を少なくすることです。
床ずれ防止用具とは、複数の空気の筒(エアセル)などを膨張・収縮させることによって体を支持する面を変化させたり、より広い面で身体を支えたりすることで局所への外力を分散させて床ずれを防止させる用具です。
床ずれ防止に有効な用具として、マットレス、クッション、体位変換器などがあります。
床ずれ防止用具:マットレス
マットレスは、圧切替型マットレス(図1)と、静止型マットレスの2種類があります。圧切替型は、床ずれのいずれのステージの方でも使用できます。一方静止型は、床ずれのステージⅢ(傷が皮下組織や筋肉にまで到達した状態)以降の方は使用することができません。
マットレスの設置方法は、大きく2つあります。一つはマットレスの上に敷いて使う「オーバーレイタイプ」、ベッドに直接敷いて使うマットレス不要の「リプレイスメントタイプ」があります。両方を兼用できるタイプもあります。
柔らかく体圧分散性に優れたマットレスは、床ずれ予防に適しており、空気を入れて使用するエアマットレス、ウレタンを使用しているウレタンマットレス、ゲルが入っているゲルタイプのものなどがあります。
床ずれ防止用具:クッション
床ずれ防止用具のクッションは、体が動いた時に形が崩れず、反発が少ないものを身体に挟み込んで使用します。
床ずれ防止用具:体位変換器
床ずれ防止用具の体位変換器は、体位変換時の摩擦を抑えるという目的で使用します。スライディングシートと呼ばれるものなどを使います。
床ずれ防止用具の選び方のポイント2)
床ずれ防止用具、特にマットレスにおいては、高い体圧分散効果があるため、寝返りなどのベッド上の動きに対する反力を吸収し、動きにくくしてしまうことがあります。また、圧を分散させるためにやわらかいものが多いため、寝がえりは打てるが首の動きに制限があったり思い通りに動くことが難しい方は、顔が埋まってしまい、窒息するリスクもあります。
しかし、自力で動くことができない場合であっても、その人のADLに合わせた床ずれ防止用具を選択していくことが望ましいとされています。このようなことから、床ずれ防止用具の具体的な製品の選び方のポイントは、まず利用者の状態の正確な把握が必要となります。
また、床ずれが発生する原因は、持続して圧力がかかるということ以外に、皮膚への摩擦、尿などによる濡れ、栄養状態などがあり、減圧対策以外にもこれらの原因に対する対処を行っていくことが必要です。
床ずれ防止用具の利用状況
介護保険を利用し、床ずれ防止用具を貸与する人は年々増えており、特に2006年以降は急に増加しており、その傾向は2017年まで続いています(図2、表1)。
床ずれ防止用具の貸与平均金額の推移を見ると、2001年から2009年頃まで貸与金額は上昇傾向でしたが、2009年の6,561円を境に減少、2014年にやや上昇したものの、その後は再び減少傾向になっています。2017年の貸与平均金額は、6,379円程度でした。
年 | 件数(千件) | 1件あたり平均貸与金額(円) |
---|---|---|
2007年 | 1,854.3 | 6,508.6 |
2008年 | 2,024.7 | 6,557.1 |
2009年 | 2,176.1 | 6,560.6 |
2010年 | 2,341.8 | 6,523.1 |
2011年 | 2,507.9 | 6,487.6 |
2012年 | 2,627.7 | 6,461.3 |
2013年 | 2,714.8 | 6,439.2 |
2014年 | 2,796.7 | 6,463.5 |
2015年 | 2,852.7 | 6,444.0 |
2016年 | 2,881.4 | 6,424.7 |
2017年 | 2,853.3 | 6,379.0 |