介護保険の福祉用具:体位変換器(ポジショニングツール)
公開日:2019年2月13日 17時10分
更新日:2019年2月21日 11時54分
体位変換器(ポジショニングツール)とは1)
体位変換器(ポジショニングツール)とは、寝返りなどの姿勢変換の介助を容易にするための福祉用具のことをいいます。
体位変換器には、動力により寝ている面全体を周期的に傾けて寝返りを促すものと、人力で行う寝返り介助を補助する用具に分類されます。動力によって動くものは、エアマットの左右の空気圧を周期的に切り替えることで体位変換を成立させるものが挙げられます。一方、人力で行う寝返りの介助を補助する用具には、様々な形状のものがあります。棒状のもの(図1)、板状、あるいは楔状のもの(図2)などがあり、これらを背中の下に差し込んで、介助者がてこの原理を利用して体位変換を行います。これらの用具を使うことにより、少ない力で体位を変えることができます。また、他にもあらかじめ摩擦の少ないシートをシーツや体の下に敷きこんでおき、シーツやシートを引くことによって体位を変えることができるものなどがあります。
それぞれには長所、短所があります。動力によって寝返りを促すものは、自動で動くことから深夜など人手が不足しやすい時間帯でも容易に体位変換をすることができる一方で、本人が不快感を訴えることもあります。人力で行う体位変換を補助する用具を使用した場合は、介助者の力の不足をカバーすることができるものの、体位変換の頻度の問題を解決することはできません。
どの用具を選ぶかは、介護者の状況と介護を必要する方の身体機能を総合的に評価したうえで選ぶことが重要です。
体位変換器(ポジショニングツール)の種類
体位変換器には、その他にさまざまな種類があります。
まくら型、スネーク型のクッションタイプのもの
まくら型、スネーク型のクッションタイプのものは、持ち手を引っ張るだけの動作で、力をほとんど必要とせずに簡単に体位変換ができるものです。体位変換を行うだけでなく体位変換した姿勢を保持することができるのも特徴です。
スライディングシート
スライディングシートは、ベッド上でサイドレールなどに固定できるもので、側臥位の一時的な保持ができます。オムツ交換などを楽に行うことができます。
バナナのような形をしたクッション
バナナのような形をしたクッションは、身体のラインに沿った形で、両端には持ちやすいグリップを設けた使いやすい形状です。体位変換後身体の下に挿入しておくことで、そのままの姿勢を保てます。
他にも、手元のボタン操作で背上げ・背下げの動作ができる、和布団専用の体位変換器などもあります。
体位変換器(ポジショニングツール)の利用状況
体位変換器にかかる費用は、使用する機器のメーカーや、自動、手動などの動力によって異なります。
手動のものではレンタルで月額1,000円~2,000円代であるのに対し、自動のものは月額9,000円~10,000円ほどかかるものもあります。
介護保険を利用し、体位変換器を貸与する人は、年々増加しており、特に2006年以降は、増加傾向が続いており、2016年から2017年にかけてはさらに増加しています(図3、表1)。
体位変換器の貸与金額の推移を見ますと、2001年5,000円を超えていましたが、徐々に金額が下がってきており、2016年の平均貸与金額は、2,000円程度まで下がっています。しかし2017年には少し上昇し、2,790円程度となっています。
年 | 件数(千件) | 1件あたり平均貸与金額(円) |
---|---|---|
2007年 | 137.7 | 3,252.1 |
2008年 | 166.1 | 3,083.1 |
2009年 | 195.7 | 2,976.4 |
2010年 | 225.8 | 2,873.9 |
2011年 | 262.7 | 2,664.1 |
2012年 | 294.1 | 2,454.1 |
2013年 | 316.9 | 2,246.1 |
2014年 | 335.7 | 2,124.8 |
2015年 | 360.9 | 2,004.2 |
2016年 | 391.1 | 2,064.1 |
2017年 | 485.3 | 2,792.6 |