介護保険の福祉用具:手すり
公開日:2019年2月13日 17時00分
更新日:2022年11月 8日 17時56分
福祉用具の手すりとは
福祉用具の手すりとは、歩行あるいは動作を行うにあたり、手を置いて身体を支えるものです。貸与の対象となる「手すり」とは、居宅の床もしくはトイレにおいて使用することによって、身体を支えることができ、それにより転倒防止や移動、あるいは車いすへの移乗を助けるものと位置づけられます。また、手すりは取り付けに当たって、特別な工事を伴わないものに限ります。要支援1、2の方も利用できます。
手すりの材質は金属製、プラスチック製、木製があります。
手すりの種類
手すりの種類には、特別な工事を伴わない手すりには、平らな台座の上に手すり部分が平行棒型に配置されている水平手すり(図1)・天井と床の間に突っ張り棒として固定する縦手すり・L字型手すりなどの種類があります。
手すりを設置するところは様々で、歩行訓練用に廊下などで使用したり、便器を挟みこんで固定したり(図2)、左右の壁に突っ張り棒を伸ばして固定したりするものなどがあります。また、手すりのないスツール型のポータブルトイレに使用するものもあります。いずれも、立ち上がりや座り込みの動作を助けるため、体幹の安定をはかるために使用します。左右の手すりと全体を固定する構造からなっていることが特徴です。
手すりの選び方のポイント1)
手すりの選び方のポイントは、使用用途や使用場所に応じて選ぶ必要があります。
例えば、平行棒方式のものは、床に設置するスペースが必要ですし、垂直なバーは、天井の構造・材料によっては不安定となる場合があります。トイレの便器を挟んで固定する手すりは、便器を固定しているボルトに荷重が掛かるため、便器自体がしっかり固定しているかどうかを確認することが必要となります。左右の壁に突っ張り棒を伸ばして固定するものは、壁の強度の確認が必要となります。このことから設置する場所の確認は必要不可欠と言えます。
また、水平手すりは個人の障害の程度などにもよりますが、利用者本人の大腿骨大転子の高さに2~3cm加えた高さが使いやすいとされています。
太さは、握りやすさ・使いやすさに関係しますので、慎重に採寸することが必要ですが、これにおいても利用者本人の手の太さをもとにその太さを決めていきます。
具体的には、女性のように手の小さな人の場合直径2.8~3.2cm、男性の場合は3.4~4.0cm程度が程よい太さとされています。
さらに、手すりの材質はステンレスなどの金属に直接ふれるものは避けましょう。金属製は冬になると気温の影響を受けやすく、使用する人に不快感を与えてしまうからです。金属製を検討している場合には、その上に樹脂コーティングしてあるもの、すべてプラスチック製のもの、また木製のものなどを選ぶとよいでしょう。
手すりの利用状況
介護保険を利用し、手すりを貸与する人は年々増加しています。一方、介護保険にて手すりを貸与した場合の金額は、やや変動しています。
平均貸与金額は、2004年の3,462円でしたが、その後減少傾向となり、2007年には3,000円を割り込みました。2016年の平均貸与金額は2,892円、2017年には2,920円程度になっています(図4、表1)。
年 | 件数(千件) | 1件あたり平均貸与金額(円) |
---|---|---|
2007年 | 1,866.7 | 2,981.8 |
2008年 | 2,855.9 | 2,925.8 |
2009年 | 4,041.2 | 2,871.4 |
2010年 | 5,506.3 | 2,808.6 |
2011年 | 7,156.8 | 2,775.0 |
2012年 | 9,091.3 | 2,765.0 |
2013年 | 11,186.1 | 2,765.1 |
2014年 | 13,495.1 | 2,815.0 |
2015年 | 15,988.0 | 2,860.4 |
2016年 | 18,364.5 | 2,892.4 |
2017年 | 21,055.4 | 2,920.6 |