介護保険の福祉用具:特殊寝台とは
公開日:2019年2月13日 17時40分
更新日:2019年10月 8日 14時27分
特殊寝台とは1)2)
特殊寝台とは、一般的には「介護ベッド」または「電動ベッド(ギャッチベッド)」と言われます。特殊寝台は、背部または脚部の傾斜角度が調整できる機能や、床板の高さが無段階に調整できる機能を持ったものです。
傾斜角度の調整とは、利用者が必要に応じた姿勢をとることが出来るように、ベッドの背中部分が起き上がるような構造になっています。1モータータイプは背上げができます。2モータータイプは背上げと脚上げができ、連動させることができます。3モータ―タイプは背上げ、脚上げ、背脚上げ連動、また、ベッド自体の昇降ができます。
それ以上に分割されている多機能ベッドも増えてきています。「背上げ」と「膝上げ」の両機能を持った寝台は、背上げ時に起こる体のズレ落ちをより小さくできるような工夫がなされています。利用者のベッドからの楽な起き上がりや、楽な介助を実現するための高さ調節機能が付いています。
特殊寝台付属品のマットレスには、硬さの違うものや褥創予防のエアマットや、自動体位変換機能が付いたものもあります。
特殊寝台の選び方
特殊寝台は、自宅での介護には必要な福祉用具です。「もっとも使いやすいもの」を選ぶことをお勧めします。以下のポイントを参考にしてください。
特殊寝台の大きさ1)
特殊寝台は、通常のベッドと異なりかなりのスペースを占めるため、寝室にどのように収めるかが最初の問題となります。特殊寝台は、いくつかのメーカーからたくさんの種類の製品が出ていますが、寸法に大きな差はないため、製品の選択によって解決する問題ではありません。介護者が、食事介助や体位変換、車いすへの移乗など、ベッドサイドのスペースが確保できるかを、考える必要があります。
また、ほとんどのタイプの特殊寝台は、昇降操作時に足元方向へ10センチ程度、移動しながら昇降するので、その分のスペースも確保しておく必要があります。
最近は、標準より幅が広い製品、長さが長い製品も出ていますので、利用する方(要介護者)の体格で選ぶこともできます。
特殊寝台の背上げと膝上げの動作1)
特殊寝台の背上げ(背中を起こすこと)を行うと、利用する方(要介護者)の体は、足元の方へずれます。すると、腰からお尻にかけての部分に、擦り傷ができる原因となります。そのため、この動きを抑えるために、膝上げ(膝の部分を立てた状態にすること)ができる製品の方が望ましいでしょう。
しかし、利用する方(要介護者)が小柄で、お尻から膝までが短い場合、膝上げを行うと、一番屈曲する部分がふくらはぎの位置になってしまい、足の先が浮いてしまいます。逆に、膝の位置で合わせると、上半身が足元の方へ引っ張られてしまい、体がずれてしまうことがあります。
この場合は、背上げと膝上げが一度に動くタイプではなく、それぞれの操作が別々に行える製品の方が、調整がしやすいでしょう。
特殊寝台のマットレス等付属品の選択
特殊寝台は、背上げや膝上げを行う機能がついた本体部分と、その上に敷くマットレスとを別々に選択できます。また、ベッドサイドに取り付けるサイドレール、テーブル、スライディングボードやスライディングマットなど、いくつかの付属品も併せて利用できます。
各付属品の詳細については、「特殊寝台付属品(マットレスや手すり等)」をご確認ください。
特殊寝台の介護保険の利用
特殊寝台を利用される方が要介護認定を受けている場合、特殊寝台およびその付属品は、介護保険を利用することで、1割にて貸与できます。ただし、一定以上の所得者の場合は、2割または3割の負担となります。また、要支援1・2および要介護1の方については、原則として介護保険の利用が認められていませんので、自費での貸与となります。
特殊寝台の利用状況2)3)
在宅医療への移行が進められる中、特殊寝台貸与件数は年々増加傾向にあり2017年現在では年間で1千万件を超えています。一方で、一件あたりの貸与費用は減少傾向にあり、2017年の貸与費用の平均は、8,802円となっています(図1、表1)。
年 | 件数(千件) | 1件あたり平均貸与金額(円) |
---|---|---|
2007年 | 6,126.7 | 9,850.3 |
2008年 | 6,545.8 | 9,657.6 |
2009年 | 6,994.5 | 9,495.2 |
2010年 | 7,496.0 | 9,365.2 |
2011年 | 8,047.1 | 9,266.7 |
2012年 | 8,602.3 | 9,192.1 |
2013年 | 9,086.8 | 9,119.2 |
2014年 | 9,530.8 | 9,055.0 |
2015年 | 9,967.4 | 8,990.0 |
2016年 | 10,336.2 | 8,893.7 |
2017年 | 10,725.1 | 8,802.4 |