介護保険の福祉用具とは
公開日:2019年2月13日 18時00分
更新日:2019年2月 1日 14時43分
介護保険の福祉用具とは1)
介護保険の福祉用具とは、介護が必要な高齢者の日常生活を助けるため、または身体の機能訓練のための用具のことです。要介護者である利用者が、自分の家で自立した日常生活を営むことができるよう助ける用具については、保険給付の対象となっています。
福祉用具貸与の受給者は、2007年は約85万人だったのに対し、2016年には約191万人となっており、高齢者の増加とともに年々増加しています。
福祉用具貸与について2)
2018年度の介護報酬改定に伴い、下記のような取り決めが行われました。
- 貸与価格の上限の設定
- 機能や価格帯の異なる複数商品の掲示等を行うこと
これまで福祉用具は、貸与する事業者によって価格差がありました(図1)。仕入れ価格や、搬出入点検等に係る経費に違いがあったためです。
福祉用具の価格差に対し、2018年10月からは、全国平均貸与価格の公表や貸与価格の上限設定を行うこととなりました(月平均100件以上の貸与件数がある商品について適用されます)。
さらに、貸与事業者(福祉用具専門相談員)は、貸与商品の特徴や貸与価格に加え、全国平均貸与価格を利用者に説明することが義務付けられました。また、機能や価格帯の異なる商品を複数掲示し、複数の商品の中から選択できるようになりました。
貸与価格のばらつきを抑制し、適正価格で貸与できるように、商品ごとに「貸与価格の上限」を設けています。
設定された貸与価格の上限は、厚生労働省のホームページで公表されており 、閲覧することができます(リンク1)。 この貸与価格の上限を超えて貸与を行った場合は、福祉用具貸与費は一律算定されず、受け取ることができません。
尚、公表された全国平均貸与価格及び設定された貸与価格の上限については、2019年度以降、約1年に1度、見直しが行われます3)。
リンク1:福祉用具 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
介護保険の福祉用具の対象用具4)
厚生労働大臣の告示によって、以下のものが対象種目として定められています。
原則、貸与される用具
- 車いす(付属品含む)
- 特殊寝台(付属品含む)
- 床ずれ防止用具・体位変換器
- 手すり・スロープ
- 歩行器・歩行補助つえ
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 自動排泄処理装置
販売される用具
- 腰掛便座・自動排泄処理装置の交換可能部
- 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具の部分
福祉用具貸与と福祉用具販売の違い
福祉用具は、利用者の身体状況や要介護度の変化、福祉用具の機能の向上に応じて、適時・適切な福祉用具を利用者に提供できるように、販売ではなく、貸与を原則としています。ただし、他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が強い性質のものや、使用することで、もとの形態・品質が変化してしまい再利用できないものなどは、「特定福祉用具販売」の対象商品となり、事業者が販売します。利用者が購入した費用は保険給付の対象となります。
福祉用具の貸与及び購入は、利用者に適切な価格で給付が行われるように、保険給付の公定価格を決めずに、実際に支払った費用の額により保険給付する仕組みになっています。
介護保険を使った福祉用具のサービスを受けるには5)
福祉用具を貸与、または販売する際、福祉用具貸与事業者と特定福祉用具販売事業者は、利用者である要介護者の自立の促進や、その介助者の負担の軽減のために、利用者の状態に応じて適した福祉用具を選ぶ必要があります。そのため、福祉用具の貸与や販売の前に、利用者ごとに個別サービス計画(福祉用具サービス計画)を作成することになっていますが、利用者の希望、心身の状況及びその置かれている環境が、考慮されます。
- 利用目標
- 利用目標を達成するための具体的なサービス内容
- 福祉用具の機種と当該機種を選定した理由
- 関係者間で共有すべき情報(福祉用具使用時の注意事項等)
等
つまり、介護保険を使った福祉用具のサービスを受けるには、まずは面接をし、本人や家族の思い、心身機能、医療情報、環境情報などを事業者と共有します。その後、事業者が作成したサービス計画を踏まえて利用者・家族に説明をし、同意が得られてから利用が開始されるという流れです。サービス開始後は、介護用具の使用状況についてモニタリングがなされます(図2)。
福祉用具貸与の利用者負担
福祉用具の貸与の利用者負担は、貸与価格の1割を負担します。ただし、一定以上の所得者の場合は、2割または3割負担となります。なお、貸与価格は、利用する福祉用具によって異なります。
また、要介護度別に1ヶ月間の支給限度額が決まっているため、他の介護サービスとの組合せの中で限度額に応じた福祉用具をレンタルする必要があります。