介護保険の福祉用具:スロープ
公開日:2019年2月13日 16時50分
更新日:2019年2月21日 11時50分
福祉用具のスロープとは
福祉用具のスロープとは、主に車いすや車輪付きの歩行器のように車輪のついた用具を使用する際に有効な段差解消の福祉用具で、福祉用具貸与の対象品目となっています。介護保険法では、「段差を解消するための福祉用具であって、取付けの際、工事を伴わないものに限る」と定義されています。要支援1、2の方も利用できます。
スロープには勾配が付けられており、いくつかのパターンがあります。勾配の目安はおおよそですが、次の通りとなります。
- 勾配5度:車いすの自走が可能であり介助者も楽に押せる角度
- 勾配8度:電動車いすの走行が可能であり、女性でも楽々と押せる角度
- 勾配15度以上:車いす走行が危険とされている
スロープの勾配は、段差の高さとスロープの長さによって決まります。つまり、大きな段差をゆるい勾配にするためには、長いスロープが必要となります。
これらのことを考えて、スロープをかけるようにするとよいでしょう。
スロープの種類1)2)
スロープをどこに設置するのかによってつけるスロープの材質や種類が異なります。スロープの材質には、金属(アルミ)製、グラスファイバー、木製、プラスチック製などがあります。敷居などの小さな段差をキャスターが乗り越える目的であれば、数センチ幅の木製、プラスチック製のものが使用されますが、屋外で用いる場合には金属性で数メートルの長さに及ぶものもあります。
また、スロープ形状は、スロープ部分が一枚板で折り畳みが可能で持ち運べるもの(折り畳み式スロープ)、車いすの車輪の位置に合わせて取り付ける2枚組のレール状のもの等があります。
ただし、敷居のような室内の数センチ程度の所に使用する三角板のスロープの場合には、住宅改修の扱いになってしまうため、注意しておきましょう。
スロープの選び方のポイント
スロープの選び方のポイントとして、スロープが必要となる段差は、家の中、家の外など、さまざまな場所にあります。スロープを置く段差がどういった場所のどの程度の高さの段差であるか、スロープ上を動く移動機器は何であるのか、介助者の能力や利用者のADLはどの程度であるのかによっても、異なってきます。
例えば、重い電動車いす用のスロープが必要な場合は、しっかりとした構造のものが必要となり、介助者が車いすを押して階段を上る場合は、車いすの車輪部分のみをのせるレール状のスロープを利用することができます。また、スロープに移動機器が進入するためには、スロープの前後に一定のスペースが必要であることも考慮しましょう。せっかくスロープを付けたのに重くて取り外しができないなど、介助者がスロープをうまく活用できなければ介護負担が増えてしまうため、注意しましょう。
スロープの利用状況
介護保険を利用し、スロープを貸与する人は年々増えており、特に2006年以降は、大きく上昇傾向が続いています。2005年までは5万件にも満たない程度でしたが、図2、表1のとおり2007年には80万件を超え、2017年には3,600万件あまりとなっています。
一方、スロープの貸与金額の推移を見ますと、2011年までは6,000円を超えていましたが、これ以降減少しており、2016年には、3,450円程度、2017年には3,150円程度と、大幅に価格が下がってきています。
年 | 件数(千件) | 1件あたり平均貸与金額(円) |
---|---|---|
2007年 | 825.7 | 6,253.2 |
2008年 | 964.4 | 6,264.6 |
2009年 | 1,083.1 | 6,260.4 |
2010年 | 1,209.5 | 6,230.9 |
2011年 | 1,338.1 | 6,136.4 |
2012年 | 1,593.1 | 5,551.6 |
2013年 | 1,941.7 | 4,856.5 |
2014年 | 2,352.3 | 4,293.1 |
2015年 | 2,781.2 | 3,808.7 |
2016年 | 3,188.6 | 3,457.2 |
2017年 | 3,646.2 | 3,153.4 |