介護保険の福祉用具:認知症老人徘徊感知機器
公開日:2019年2月13日 16時20分
更新日:2019年2月21日 11時49分
認知症老人徘徊感知機器とは1)
認知症老人徘徊感知機器とは、認知症である高齢者が屋外に出てしまうことを防ぐ目的で、センサーを利用して感知し家族等に知らせるものです(図1)。
認知症老人徘徊感知機器の種類
認知症老人徘徊感知機器は、様々な種類があります。
- ドアや玄関を通過した時、知らせてくれるもの
- ベッドから離れた時、知らせてくれるもの
- 利用者本人が携帯し、知らせてくれるもの
家の出入口に赤外線などのセンサーを設け、ドアの前を横切った時やドアを開閉した時に知らせるもの、ベッドの下や寝室の出口の床面に重量センサーなどを設けることによって人間の動きを感知して離れた介助者へメロディーや光で知らせるもの、小型の認知症老人徘徊感知器を身につけた対象者がセンサーの近くを通ると発信機の電波を受信部が感知する設計のものなどがあります。
用途によって使い分けることは可能ですが、介護保険の利用を考えた場合、要支援1、2の方、要介護1の方は、このサービスを利用することはできません。
認知症老人徘徊感知機器を利用するメリットとは
認知症老人徘徊感知機器を利用するメリットは、徘徊の1番初めの予兆を知らせることができるため、徘徊をして行方が分からなくなるということを未然に防ぐことが可能です。「ベッドを下りる」「部屋を出る」など初期の段階で発見することができるため、家族の心労や疲労を最小限に食い止めることが可能です。
また、特に歩行が安定しない方の場合では、転倒するリスクが高まります。認知症老人徘徊感知機器を利用することでケガを未然に防ぐことができます。
認知症老人徘徊感知機器の選び方のポイント
認知症老人徘徊感知機器の選び方のポイントは、本人の見守りがどの段階で必要なのかを検討することが必要です。ベッドから離れた瞬間なのか、あるいはドアまで行った時なのかを検討しましょう。これは本人の介護度やADLだけでなく、住環境によっても異なります。また、機器によって知らせ方も異なり、チャイム、メロディ、光るランプなど様々な方法があります。利用者がこのアラームに気づいてしまっては意味を成しません。利用者が気付かず、かつ介助をする側がすぐに気づけるようなものを選択するようにしましょう。
携帯型小型発信機の場合は、利用者が外してしまわないように衣服に縫い付けるなど、それとわからないように工夫する必要があります。アラームだけでなく認知症老人徘徊感知器そのものに気づいてしまう方もおり、電源を抜いてしまう、小型の発信器をどこかに捨ててしまうという事例もあります。なるべく目立たないようなデザインにし、電源をコンセントタイプだけでなく電池タイプにするかどうかの検討も必要です。
さらに、発信器と受信機の電波到達の有効距離は100m程度のものが多いのですが、住宅事情によっては電波が届きにくいケースもあり、センサー自体を外部から引くことが必要になることもあります。
認知症老人徘徊感知機器の利用状況2)
介護保険を利用し、認知症老人徘徊感知機器を貸与する人は年々増えてきています。2005年までは千件台程度でしたが、2007年には3.8万件近くにのぼり、2010年には10万件を超えました。その後も上昇傾向が続き、2017年には39万件を超えています(図2、表1)。
一方、認知症老人徘徊感知機器の貸与金額は、2001年ごろは10,000円程度でしたが、年々と減少しており、2016年、2017年ともに、平均貸与金額は6,200円程度となっています。
年 | 件数(千件) | 1件あたり平均貸与金額(円) |
---|---|---|
2007年 | 37.9 | 8,026.1 |
2008年 | 51.4 | 7,993.0 |
2009年 | 73.8 | 7,534.8 |
2010年 | 103.4 | 6,981.3 |
2011年 | 134.7 | 6,678.5 |
2012年 | 173.0 | 6,484.6 |
2013年 | 221.5 | 6,253.1 |
2014年 | 272.2 | 6,220.5 |
2015年 | 317.5 | 6,177.7 |
2016年 | 358.6 | 6,194.8 |
2017年 | 391.6 | 6,220.3 |