介護保険の福祉用具:腰掛便座
公開日:2019年2月13日 15時50分
更新日:2019年2月21日 13時43分
福祉用具の腰掛便座とは何か1)
福祉用具の腰掛便座とは、要介護者である高齢者の排泄を助けるための福祉用具で、使用者の要介護度や自宅の状況などに応じて選ぶことができます。腰掛便座は「特定福祉用具販売」扱いとなり、利用者が購入することになっています。要介護認定を受けた方は、介護保険の給付が受けられます。
腰掛便座の種類1)
腰掛便座には4つの種類があります。
和式便器の上に置き、腰掛式に変換するもの
和式便器の上に置いて腰掛式に変換するものとは、和式便器はしゃがんだ時の足腰への負担が大きいため、自宅の和式便器の上に洋式便座と同じ形の便座を置き洋式便器のように腰かけられるようにするものです(図1)。
和式便座を腰掛式に変換する腰掛便座の選び方
和式便器を洋式便器に改修できない場合、それを補うことができます。利用者の身体機能に応じて便座の高さに注意し、使用している便器に確実に固定できるものであることを確認することが必要です。
補高便座:洋式便器の上に置き、高さを補うもの(図2)
補高便座は、元々ある洋式便座の座る部分の高さを上げ、便座からの立ち上がりと座り込みを楽にするものです。これによって、自力でのトイレの使用を促進したり、介助力を軽減することができます。製品によっては補高実寸を調節できるようになっており、身長などに合わせて使用することが可能です。
補高便座の選び方
補高便座の選び方は、利用者の身体機能に応じて高さに注意し、便座にしっかりと固定できるかどうか確認することが必要です。
昇降機能付き便座:電動またはスプリング式で、便座から立ち上がる際に補助するもの
便座からの立ちあがりと便座への座り込みを助ける昇降機能付きで、モーター、スプリング、エアクッションの膨張など、利用者の立ちあがりをサポートする動力機構が内蔵されています(図3)。製品によっては、上下に持ち上げるだけでなく前方に斜めにすることで、立ち上がりをより楽にしたり、利用者の体重によって、補助する力を調整できるものもあります。
ポータブルトイレ:便座、バケツ等でできており、移動可能なもの
ポータブルトイレと呼ばれ移動可能な便座は、部屋から移動せずに用を足すために使用するものです。安定した姿勢がとれる形状であり、座り込みや立ち上がりが楽にできます。家具のような外見を持ったものは、違和感がないことから居間や寝室で使用されることもあります。基本的には便座、バケツ、全体を構成するフレームという構成ですが、外見は金属性の脚がフレームとなっているコモード型(図4)、プラスチック製のスツール形(図5)、便座の蓋の上に椅子座面をかぶせ、使用しないときは家具に見えるタイプ(図6)のものなどがあります。製品によっては、暖房便座、洗浄器、消臭器などを備えたものもあります。
ポータブルトイレの選び方
ポータブルトイレを選ぶときは、立ち上がりの際に足を手前に引く空間が十分にあるかどうかの確認が必要です。家具調のものは、トイレという違和感がないことから居間で利用されることもあります。このタイプのものは、座面の下の引き出しを開ける構造が多く、一定のスペースが必要となります。
腰掛便座はどのような人が使えるのか2)
腰掛便座は、だれでも購入することができますが、介護保険による払い戻しを受けられるのは、介護保険の対象となる人のみです。介護保険の対象者とは、65歳以上もしくは40歳以上で特定疾患などがあり、要介護認定を受けている人を指します。
介護保険とおおよその費用3)4)
腰掛便座は、特定福祉用具販売の対象用具です。要介護者が、自分の家で自立した日常生活を送れるように助ける用具を福祉用具といい、貸与による使用を基本としています。しかし他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が強い性質のものや、使用によりもとの形態・品質が変化してしまい、再利用できないものなどは特定福祉用具販売の対象用具となり、購入して使用します。対象となっているのは主に入浴や排泄に用いるもので、腰掛便座もその一つです。
腰掛便座は、利用者がいったん全額を支払った後、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割又は7割)が介護保険から払い戻されます。これを償還払いといいます。例えば、1万円の腰掛便座を購入した場合、利用者の負担額は1,000円です。
毎年4月1日から翌年3月末日までの1年間で購入できるのは10万円までです。利用者負担が1割の方の場合、最大で9万円が介護保険から給付されます。限度額を超えた部分は全額自己負担となるので注意が必要です。また購入できるのは、同一年度内で1品目当たり原則として1回となっています(図7)。