介護保険の福祉用具:歩行補助つえ
公開日:2019年2月13日 16時30分
更新日:2019年2月21日 13時40分
福祉用具の歩行補助つえとは
福祉用具の歩行補助つえとは、「転倒しやすい」状態にある高齢者に対し「歩く」動作を助ける福祉用具です。高齢になると「歩く」という動作が難しくなりますが、その理由としては、次のようなことが挙げられます(表1)。
要因 | 理由 | 歩行の状況 |
---|---|---|
感覚障害 | 麻痺、血行障害、むくみ、しびれなどにより、足の感覚に障害が起こる | 転倒しやすい |
視覚障害 | 老人性白内障や緑内障などにより、視覚に障害が起こる | 特に夕方や夜間に転倒しやすい |
筋力低下 | 変形性脊椎症、変形性膝関節症、大腿骨頸部骨折などの骨関節疾患、および脳卒中後遺症による麻痺などが原因で、筋力が低下する | 転倒しやすい(ふらつき、つまづき、滑るなど) |
バランス障害 | 老化、四肢麻痺、脳卒中後遺症、パーキンソン病などにより、バランスが保ちにくくなる | 異常歩行や、転倒しやすい状態 |
関節の可動域制限 | 五十肩、骨折、変形性関節症、骨粗しょう症などにより、肩関節、膝関節、股関節、足関節の可動が制限される | 歩行時の姿勢が悪い、歩幅が少ない、転倒しやすい |
すくみ足 | パーキンソン病、多発性脳梗塞などにより、足が上手く前に出せない | 転倒しやすい |
歩行補助つえの種類
高齢者が使う歩行補助つえ(杖)には、ステッキ型つえ、T字型つえ、多脚型つえと折りたたみつえなどがあります。
ステッキ型つえ
ステッキ型つえは、映画で有名なチャップリンが使用しているつえで、常時持ち歩いても体裁がよいとされています(写真1)。
T字型つえ
T字型杖は、ステッキ型より体重がかけやすいように、取っ手と支柱に角度がつけてあります。通常、最も多くの人に使われているつえです。
多脚型つえ
1本足のつえより、さらにいっそうの安定を求めて作られたのが多脚型のつえです。取っ手は1つですが脚部が4本または3本となっています。着地面積が広く、安定度は高いといえます。体重をかなりかけても倒れないので、立つ姿勢の悪い人の歩行訓練に適しています。脚部が大きいので狭いところでは使いにくい欠点があります。
折りたたみつえ
折りたたみつえは、T字型つえを折りたたみ、附属のケースに入れられるようにしたものです。旅行や携帯に便利ですが、軽い構造のものが多いため、やや耐久性に欠けることがあります。
歩行補助つえを選ぶときのポイント
歩行補助つえを選ぶときには、高齢により腰がまがることや、靴が変わることに対応できるように、高さを調節できる機能がついているのを選ぶとよいです。
介護保険の利用
介護保険の要介護認定を受けている場合、歩行補助つえは、介護保険を利用すると1割負担で貸与できます。ただし、一定以上の所得者の場合は、2割または3割の負担となります。