ポリフェノールの種類と効果と摂取方法
公開日:2016年7月25日 04時00分
更新日:2023年8月 3日 11時36分
ポリフェノールとは
ポリフェノールは、ほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分で、自然界に5,000種類以上あると言われています。ポリフェノールは抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があり、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立ちます。
ポリフェノールは抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEと同様に強い抗酸化作用があります。また、ポリフェノールの種類により、独自の機能があります。水に溶けやすい性質があるので、比較的短時間で作用しますが、長期間効果は持続しないので、毎日こまめに摂取します。
ポリフェノールの種類1)
ポリフェノールは化学構造の違いによって、いろいろな種類があり、人への健康効果も様々です。代表的なポリフェノールには以下のようなものがあります。
代表的なポリフェノール
- アントシアニン
- カテキン
- カカオポリフェノール
- ルチン
- フェルラ酸
- コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)
- クルクミン
- ショウガオール
ポリフェノールの効果
アントシアニン
視力回復
網膜に存在するロドプシンというタンパク質はアントシアニンによって再合成が促され、目の機能の改善が期待できます。
カテキン
カテキンの効果についてはリンク1を参照ください。
カカオポリフェノール2)3)
血圧低下
カカオポリフェノールを含むチョコレートには血管を広げる作用があります。血管に炎症があると血管が狭くなり血液の流れが悪くなりますが、カカオポリフェノールを摂取することで血管の炎症が軽くなり、血管が広くなるためです。
動脈硬化予防
カカオポリフェノールにLDLコレステロールの酸化を抑える働きがあります。さらに血管のしなやかさが増します。ポリフェノール量の増加に伴い、HDLコレステロールも増加するため、動脈硬化の予防に働きます。
美肌効果
しみやそばかすなどの原因は紫外線による活性酸素です。カカオポリフェノールには抗酸化作用があるので、活性酸素を除去し、肌のダメージを保護します。
アレルギーの改善
カカオポリフェノールにはアレルゲンに対して抗体がつくられるのを防ぎ、肥満細胞からヒスタミンが放出されるのを防ぎ、アレルギーの発症を防ぎます。また好酸球の働きを抑えるなど、アレルギー症状を防ぐためにいろいろ働きます。
ルチン4)
毛細血管強化作用
そばなどに含まれるルチンには毛細血管を強くする働きがあり、血流も良くなります。脳卒中の予防などに役立ちます。
クルクミン5)
クルクミンは、カレー粉の主成分であるターメリック (ウコン) に含まれる黄色の色素で、スパイスや、食品添加物 (着色料) として利用されています。「抗酸化作用がある」「肝臓に良い」「発がんを抑制する」などと俗に言われていますが、人において信頼できる十分な情報が見当たりません。今後の研究が期待されます。
イソフラボン6)
更年期症状の緩和
大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをする成分です。40~50代に入ると、女性ホルモンの分泌が低下し、耳鳴りやほてり、めまいなどの症状が現れますが、大豆イソフラボンを摂取することで、更年期症状が緩和されます。
フェルラ酸7)
美容作用
フェルラ酸の構造がアミノ酸の一種であるチロシンに似ています。メラニンの生成抑制はチロシンとの拮抗作用なので、フェルラ酸も同様に考えられます。メラニンを抑制できることでシミやシワ予防ができ、美白が期待できます。
コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)8)
脂肪の消費
コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)を摂取することで脂肪の消費量がアップすることで、内臓脂肪が低減します。
ポリフェノールが多く含まれる食品
代表的なポリフェノールが多く含まれる食品は以下の通りです。
ポリフェノールが多く含まれる食品
- アントシアニン...赤ワイン、ブルーベリー、なす、カシス、ブドウ
- カテキン...緑茶、紅茶
- カカオポリフェノール...ココア、チョコレート
- ルチン...そば、かんきつ類、玉ねぎ
- フェルラ酸...玄米
- イソフラボン...豆類
- クルクミン...ターメリック
- ショウガオール...生姜
- コーヒーポリフェノール...コーヒー
主な食品の100gあたりのポリフェノール含有量は下記のとおりです(グラフ1、表1)。
食品 | 食品100gあたりのポリフェノール含有量(mg) |
---|---|
赤ワイン | 230 |
コーヒー | 200 |
緑茶 | 115 |
紅茶 | 96 |
トマト・野菜ジュース | 69 |
ココア | 62 |
ごぼう | 49 |
ほうれん草 | 42 |
ウーロン茶 | 39 |
豆乳 | 36 |
ブロッコリー | 35 |
フルーツジュース | 34 |
大豆 | 15 |
ブドウ | 12 |
麦茶 | 9 |
ポリフェノールの摂取方法10)
ポリフェノールについては様々な研究が行われています。しかしながらポリフェノールの有効性や安全性については、信頼できる十分な情報が見当たりません。また、1日あたりのポリフェノールの摂取量について厳密な基準はなく、日本人の食事摂取基準2020ではポリフェノールの目安量は記載されていません。今後の研究の進展が待たれるところです。
健康のためにポリフェノールを含む食品を摂取する際には、過剰な量の摂取は避け、適切な量を摂取するように心がけましょう。また、ポリフェノールを含む様々な食品から摂取することは栄養バランスの観点においても大切です。
また、ポリフェノールは水に溶けやすい性質です。そのため、比較的短時間で作用しますが、長期間効果が持続しません。毎日こまめに摂取することが効果的です。
参考文献
- 「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」についての報告会が開催されました 愛知学院大学
- Fukushima Y et al., J Agric Food Chem 2009; 57: 1253-59.