フラボノイドの種類と効果と摂取量
公開日:2016年7月25日 02時00分
更新日:2019年2月 1日 17時39分
フラボノイドとは
ポリフェノールの一種で天然に存在する有機化合物群の植物色素の総称です。植物の葉、茎、幹などに含まれており種類は4,000以上あります。最近では人の体の特定の生理調節機能に働きかけるので、機能性成分として注目されています。
フラボノイドは植物自身が紫外線による活性酸素から身を守る抗酸化作用や種子を害虫から守るために抗菌作用や殺菌作用など、多くの自己防衛機能のためにつくり出している物質で、野菜や果物などの色素や苦み成分にもなっています。
フラボノイドの種類
フラボノイドには狭義と広義の意味があり、狭義では化学構造の違いによって、フラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノール、フラバン、イソフラボンなどに分類されます。
広義では化学構造で2つのベンゼン環が炭素3つで結合された基本構造をもつものをフラボノイド系といい、緑茶に含まれるカテキンや赤ワイン、ブドウの果皮に含まれるアントシアニン、ごまに含まれるセサミンもフラボノイド系に分類されます1)。
フラボノイドの効果
フラボノイドはポリフェノールの一種であるので抗酸化作用、デトックス作用、アンチエイジング、ストレス緩和、がん抑制、免疫を整える、血液サラサラなど様々な効果があります。
野菜や果物に含まれるフラボノイドによって働きも異なります。
抗酸化作用
活性酸素は老化やシミ、しわ、動脈硬化などの生活習慣病を引き起こします。抗酸化作用がある食材を取り入れることで、活性酸素の除去に働きかけます。
大豆やきな粉に含まれるイソフラボン、赤ワインや黒豆などに含まれるアントシアニン、緑茶や抹茶に含まれるカテキンに抗酸化作用があります。またごまのセサミノールには悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の進行を抑える働き、セサミン自体には抗酸化作用はありませんが、肝臓で代謝され生体内で抗酸化活性をあらわします。
免疫力を整える
免疫力が高すぎても、低すぎても病気を引き起こします。免疫力が低いと風邪をひきやすくなったりもします。また免疫力を高めることでがん細胞の増殖を抑える働きもあります。
緑茶や抹茶のカテキン、紅茶のテアフラビン、玉ねぎのケルセチンにはがん細胞の増殖を抑える働きがあります。
また、柚子や温州ミカンのヘスペリジンは皮の内側の白い部分や筋に多く含まれており、抗アレルギー作用があります。ピーマンや春菊、しそのルテオリンはアレルギー反応を引き起こす物質であるロイコトリエンの産生を抑え、抗アレルギー、抗炎症作用があります。
アンチエイジング
アンチエイジング(老化防止)は美容だけでなく、健康面にも役立ちます。眼の老化に関係するポリフェノールは赤ワインやブドウの果皮、ブルーベリーのアントシアニンは眼精疲労や目の老化を解消、予防、ほうれん草やブロッコリーのルテインは網膜上で発生する活性酸素を消去し、加齢性網膜黄斑変性症を改善し、水晶体上では白内障を改善します。
また、いちごのフィセチンは記憶力を改善、紅茶のテアフラビンは加齢にともなう認知症を予防します。
ストレス緩和
パセリやセロリのアピインには神経の鎮静作用で過敏な神経を和らげ、抗不安作用や精神安定作用があります。
血液サラサラ
ブルーベリーや黒豆、赤ワインのアントシアニンは血小板凝集抑制作用、血管強化作用があり動脈硬化を予防します。たまねぎのケルセチン、そばのルチンにも血小板凝集抑制作用があるため動脈硬化を防ぎます。
フラボノイドが多く含まれる食品
- イソフラボン...大豆、きなこ
- ケルセチン...たまねぎ、りんご、エシャロット
- カテキン...緑茶、抹茶、小豆、ココア
- アントシアニン...赤ワイン、ブルーベリー、黒豆
- セサミン...ごま
- テアフラビン...紅茶
- ヘスペリジン...柚子、温州ミカン、レモン
- ルテオリン...ピーマン、春菊、セロリ
- ナリンギン...グレープフルーツ、はっさく
- タンニン...れんこん、お茶
フラボノイドの摂取量
日本人の食事摂取基準ではフラボノイドの摂取量は決められていませんが、フラボノイドは野菜や果物、大豆製品に多く含まれているので、バランスの良い食事を心がけます。また1度に大量に摂取するのではなく、毎食野菜料理を1~2皿取り入れるようにします。
野菜はほとんど食べない、野菜や果物の摂取量が少ない方は積極的に補うようにしていきます。
参考文献
- ファイトケミカル 病気を治す いのちのレシピ 著者 高橋 弘 発行所 株式会社主婦と生活社