日本の食品の表示制度
公開日:2016年7月24日 06時00分
更新日:2022年4月19日 14時24分
食品の表示制度の概要1)2)
2015年4月1日から新しい食品表示法が施行されました。それまでは、食品の表示に関しては、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つの法律で決められていましたが、新しい法律の下で一元化されることになりました。
新しい食品表示法の下では、原則として販売されるすべての食品に食品表示が義務付けられています。
表示内容は、農産物、畜産物、水産物などの生鮮食品については、名称及び原産地等、米については「名称」、「原料玄米」、「内容量」、「調製年月日、精米年月日又は輸入年月日」、「食品関連事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」を表示することに定められています。また、加工食品については、「名称」、「保存の方法」、「消費期限又は賞味期限」、「原材料名」、「添加物」、「内容量又は固形料及び内容総量」、「栄養成分の量及び熱量」、「食品関連事業者の指名または名称及び住所」、「製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称」等が表示されています。
近年さまざまな食品が市場に出回っていますが、健康を維持するためには、これらの食品を上手に選ぶ必要があります。特に、加工食品は体に良くないとされる食品添加物や食品の表示を良く読んで、きちんと理解したうえで食品を選択する必要があります。
原産地表示制度3)
以前の食品表示法では漬物などの一部の加工食品のみが、原料の原産地を表示しなければなりませんでした。2017年9月に改正された食品表示法の食品表示基準では、原則としてすべての加工食品の原材料の中で最も多いものの原産地を表示することが義務化されました。図1に示すように、原材料は使われている量が多いものから順番に記載されていますので、原材料の中で一番最初に書かれている材料のあとにカッコ内に表示されます。ただし、平成34年3月31日までは、食品メーカー等が準備をする猶予期間としています。
栄養成分表示
食品表示法では、すべての加工食品について、栄養成分の表示が義務づけられました。
必ず表示しなければならないものは、エネルギー(カロリー)、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5種類です。これまでは、食塩量は、ナトリウム量として表示されていましたが、新しい制度では、食塩相当量として表示することになりました。また、任意の表示成分として、飽和脂肪酸、食物繊維、糖質、脂質、コレステロール、ビタミン・ミネラル類などがあります(そのうちの飽和脂肪酸と食物繊維は、表示が推奨されています)。
アレルギー表示4)
食物アレルギーが増加しており、アレルギーの原因となる食品による健康被害を防ぐために、アレルギー表示がなされています。これまでのアレルギー患者の症例から、特に発生数が多く重篤な症状を示す7品目については特定原材料とし、表示が義務付けられています。また、特定原料と比べると発症数も多くなく、症状も重篤でないものについては、表示が推奨されています。
アレルギー表示が義務化または推奨される食品を表1に示します。
特定原材料等の名称 | 理由 | 表示の義務 |
---|---|---|
卵、乳、小麦、落花生、そば、えび、かに | 特に発症数、重篤度から勘案して 表示する必要性の高いもの。 | 表示義務 |
いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、カシューナッツ、バナナ、やまいも、もも、りんご、さば、ごま、さけ、いか、鶏肉、ゼラチン、豚肉、オレンジ、牛肉、あわび、まつたけ | 症例数や重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数みられるが、特定原材料に比べると少ないもの。特定原材料とするか否かについては、今後、引き続き調査を行うことが必要。 | 表示を奨励(任意表示) |
特別な食品表示の種類5)
近年、食品中の特定の成分が、健康にとって良い機能を果たすことが明らかになってきています。それに伴い、2015年4月に食品の機能性を表示する新しい制度ができました。
図4に示すように、食品は大きく分けると一般食品と機能性の表示ができる保健機能食品の2つに分類されます。保健機能食品は、さらに、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の3つに分けられます。
一般食品
機能性の表示ができない一般的な食品です。「栄養補助食品」、「健康補助食品」、「栄養調整食品」といった表示で販売されている食品は一般食品です。
保健機能食品
3種類の保健機能食品については、消費者庁で以下のように定められています。
特定保健用食品(トクホ)
健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。表示されている効果や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています5)。詳しくはリンク1をご覧ください。
栄養機能食品
一日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品です。すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示することができます5)。詳しくはリンク2をご覧ください。
機能性表示食品
事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものです。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません5)。詳しくはリンク3をご覧ください。