機能性表示食品とは
公開日:2016年7月24日 01時00分
更新日:2024年2月16日 11時57分
食品の機能
近年、食品の機能として第一の機能の生命現象を営むために必要不可欠な、エネルギー源や栄養素の補給としての、第二機能の味、におい、色、舌触りなど食べた時においしさを感じる嗜好・食感機能に加えて、第三の機能として体の調子を整える生体調節機能が注目されています。
機能性表示食品とは1)2)
機能性表示制度では、個別の審査を経て保健機能の表示ができる特定保健用食品、一定の量を含んでいる栄養成分についてその機能の表示ができる栄養機能食品に加えて、2015年4月に新しく、企業等の責任において保健機能の表示ができる機能性表示食品が加わりました。
消費者庁のHPでは、機能性表示食品は、「疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)に対し、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品」と定義しています3)。
機能性表示制度の概要1)2)
特定保健用食品は、有効性や安全性について最終製品を用いた臨床試験を行い、それをもとに消費者庁の長官が許可します。一方、機能性表示食品は消費者庁が規定した有効性や機能性・安全性の評価を行ったうえで、事業者の責任において消費者庁に届け出ることで認められます。
そのため特定保健用食品では、製品のパッケージに「特定保健用食品」と表示することができるほか、消費者庁許可のマークを付けることが出来ますがが、機能性表示食品は「機能性表示食品」と表示することが出来るだけで消費者庁許可のマークはありません。
有効性や機能性の評価
有効性や機能性の評価については、特定保健用食品の場合は、事業者が届け出をしたい製品を用いてヒトで本当に効果があるのか実際に試験をしなければなりません。安全性の確保を前提とし、科学的根拠に基づいた機能性が、事業者の責任において表示されるものです。
そのため機能性表示食品は特定保健用食品と比較して登録する時間も費用も少なくてすみます。
全ての食品が対象
また、機能性表示食品は生鮮食品を含むすべての食品が対象となっている点が、特定保健用食品と異なります。
機能性表示食品は手続きが簡便であること、また、対象となる食品が全てを対象としていることで、機能性が表示できる食品の数は大幅に増加しました。
2016年12月の時点では、サプリメント形状の加工食品231件、その他の加工食品323件、生鮮食品5件(合計559件)の食品が登録されています。また、登録されている食品については、そのすべてについて、消費者庁のWebから、有効性や機能性・安全性の科学的根拠などの届け出情報を確認することができます(参照リンク1)。
参照リンク1 機能性表示食品に関する情報 消費者庁(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
機能性表示食品の表示3)4)
機能性表示食品のパッケージの表示例を図1に示します。
パッケージには、機能性表示食品である旨を記すとともに、消費者庁のウェブサイトで確認できるように、届け出番号を記載します。名称、原材料名、内容量、栄養成分表示などの通常の加工食品と同様の表示を付けるほか、当該機能性表示食品の使用上の注意なども記載します。
また機能性については、消費者庁長官に届け出た内容が表示されます。たとえば、「本品には難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。難消化性デキストリン(食物繊維)には食事の脂肪や糖分の吸収を抑える機能があることが報告されています。」のように、健康の維持や増進に役立つ旨を表示できます。しかし機能性表示食品は医薬品ではないため、病気の治療や予防について言及することはできません。また、科学的な根拠に基づいていなければならないのはもちろんですが、美白や肉体改造など、健康の維持・増進の範囲を超えた意図的な健康の増強を標ぼうするような表現もできません。
新しく機能性表示食品の制度ができたことにより、健康の維持・増進に役立つ保健機能食品の選択肢が広がりました。しかしながら、選択肢が広がった分正しい情報をもとに正しく食品を選ぶことが必要だと考えられます。
機能性表示食品の認められる表現
- 容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨
- 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
- 身体の状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化(継続的、慢性的でないもの)の改善に役立つ旨
機能性表示食品の認められない表現
- 「診断」「予防」「治療」「処置」など医学的な表現や、疾病の治療効果や予防効果を暗示させる表現(例:「糖尿病の人に」、「高血圧の人に」)
- 健康の維持および増進の範囲を超えた、意図的な健康の増進を標ぼうする表現(例:「肉体改造」、「増毛」、「美白」)
- 科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現(例:限られた免疫指標のデータを用いて、身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現、抗体や補体、in vitro試験やin vivo試験で説明された根拠のみに基づいた表現)
参考文献
- 機能性表示食品制度の概要と現状 消費者庁