レシチン・コリンの効果と摂取量
公開日:2016年7月25日 01時00分
更新日:2021年6月14日 10時58分
レシチンとは1)
レシチンはフォスファチジルコリンとも呼ばれ、約13%のコリンを含むリン脂質(リンを含む脂質)の一種で、細胞膜の主成分です。脳神経や神経組織を構成します。レシチンなどのリン脂質が不足すると、細胞膜が正常に働かなくなったり、コレステロールが蓄積することもあります。またレシチンの働きは水と油を混ぜ合わせる乳化作用、酸化防止作用、保水作用などがあります。
コリンとは
ビタミンではないが、ビタミンに似たような働きやビタミンを助ける働きがあります。体内に入ると細胞膜や神経組織を構成するレシチンの材料になります。
レシチン・コリンの効果
レシチンの効果
アルツハイマー型認知症を予防
アルツハイマー型認知症の原因の1つに脳内神経伝達物質であるアセチルコリンの量が減ることです。アセチルコリンはコリントアセチルCoAからできていますが、コリンはレシチンからできています。材料であるレシチンやコリンが不足すると、神経伝達物質が生成されなくなってしまうため、徐々に記憶力の低下や認知症などを引き起こします。
動脈硬化の予防
動脈硬化の原因はLDLコレステロールが血液中に蓄積したことによっておこりますが、レシチンの性質である乳化作用によって、血液中のコレステロールが溶け、余分なコレステロールが血管壁に溜まるのを防ぎ、血液中のコレステロールの量をコントロールします。さらにレシチンが多いと、HDLコレステロールが増えるため、LDLコレステロールコレステロールが減ります。
肝臓の機能を高める
レシチンは細胞膜を活性化する働きもあるので、肝臓の細胞も活性化させ、肝機能を保護する働きがあります。脂肪肝は肝臓に脂肪が蓄積された状態なので、レシチンによって脂肪の代謝がアップすると肝臓の機能も高まります。
脂質の代謝を活発
レシチンの構成成分であるコリンは肝臓で行われる脂質の代謝に必要です。肝臓での脂質が蓄積されるのを防ぐため、脂肪肝などを予防します。
美肌効果
レシチンの乳化作用によってコレステロールが血液中から排泄されるため、血流が良くなり、酸素や栄養素が全身に行き渡るため、肌に必要な栄養素がいき美しい肌が維持できます。
また、レシチンの乳化作用は脂溶性ビタミン(油に溶けやすい性質)である、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの吸収も助けてくれます。
コリンの効果2)
コリンは、脂質代謝を促して体脂肪の分解を助け、コレステロール値を減らす働きがあります3)。
- 高血圧の予防
- 脂肪肝の予防
- コレステロールの抑制
レシチン・コリンが多く含まれる食品
レシチンは大豆レシチンと卵黄レシチンの2種類があり、大豆レシチンは大豆や大豆製品、卵黄レシチンは卵黄に多く含まれています。
大豆レシチンの特徴は必須脂肪酸(体内で合成されないので、食品から摂取する必要がある脂肪酸)が多く、コレステロールを含んでいません。
卵黄レシチンは神経系に関与するホスファチジルコリンが多く含まれ、神経伝達にかかわるアセチルコリンの前駆体であるコリンを含んでいます。
コリンは牛、豚、鶏のレバーや卵、大豆、ささげに多く含まれています。
レシチン・コリンの摂取量4)
レシチン及びコリンの摂取量は食事摂取基準(2020年版)では決められていません。またJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でも添加物として利用する際も制限なしとなっています。
大豆レシチンは大豆から抽出しているので、大豆アレルギーの方は摂取を控えます。食事から大豆レシチンを補う量は問題ありませんが、サプリメントや健康食品から摂取するさいは、表示に記載されている1日当たりの摂取量を守ります。
コリンは脳の発育に必要な栄養素であるため、日本の食事摂取基準では摂取量は決められていませんが、海外では目安量が決められています。
参考文献
- 新しい栄養学と食のきほん事典 監修者 井上正子 発行所 株式会社西東社