ビタミンCの働きと1日の摂取量
公開日:2016年7月25日 21時44分
更新日:2023年8月17日 13時31分
ビタミンCとは
ビタミンCは、水溶性ビタミンの一つで、16世紀から18世紀にかけての大航海時代に、新鮮な野菜や果物の摂取量が極端に少なかった船員たちの間で流行した、壊血病を予防する成分として、オレンジ果汁から発見されました。
多くの哺乳動物では、体内でブドウ糖からビタミンCを合成することができますが、人の他、モルモットなどの一部の動物は、合成に必要な酵素がなくビタミンCを合成できないため、食事からビタミンCを摂取しなければなりません。ビタミンCの化学名は、アスコルビン酸で、生体内では通常還元型のL-アスコルビン酸または酸化型のL-デヒドロアスコルビン酸の形で存在しています。
ビタミンCの吸収と働き1)
ビタミンCはアスコルビン酸ともいわれ、骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成に必須の化合物です。ビタミンCが不足すると、コラーゲンが合成されないために、血管がもろくなり出血を起こします。これが壊血病です。壊血病のそのほかの症状としては、いらいらする、顔色が悪い、貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難などがあります。また、毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ働きがあるほか、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けを防ぐ作用や、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強める働きがあります。
最近はビタミンCの抗酸化作用が注目され、がんや動脈硬化の予防や老化防止にビタミンCが有効であることが期待されています。
ビタミンCの1日の摂取基準量1)2)
ヒトはビタミンCを体内で作れないため、成人では1日の推奨量が100mg(2020年版食事摂取基準)と設定されています。また、通常の食事による過剰摂取の報告はないため、耐容上限量は定められていません(表1-1、1-2)。
しかし、ビタミンCの摂取量と吸収や体外排泄を総合的に考えると、通常の食品から摂取することを基本とし、通常の食品以外の食品から1,000mg/日以上の量のビタミンCを摂取することは推奨できないとされています。
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 |
---|---|---|---|
0~5(月) | - | - | 40 |
6~11(月) | - | - | 40 |
1~2(歳) | 35 | 40 | - |
3~5(歳) | 40 | 50 | - |
6~7(歳) | 50 | 60 | - |
8~9(歳) | 60 | 70 | - |
10~11(歳) | 70 | 85 | - |
12~14(歳) | 85 | 100 | - |
15~17(歳) | 85 | 100 | - |
18~29(歳) | 85 | 100 | - |
30~49(歳) | 85 | 100 | - |
50~64(歳) | 85 | 100 | - |
65~74(歳) | 80 | 100 | - |
75以上(歳) | 80 | 100 | - |
妊婦(付加量) | |||
授乳婦(付加量) |
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 |
---|---|---|---|
0~5(月) | - | - | 40 |
6~11(月) | - | - | 40 |
1~2(歳) | 35 | 40 | - |
3~5(歳) | 40 | 50 | - |
6~7(歳) | 50 | 60 | - |
8~9(歳) | 60 | 70 | - |
10~11(歳) | 70 | 85 | - |
12~14(歳) | 85 | 100 | - |
15~17(歳) | 85 | 100 | - |
18~29(歳) | 85 | 100 | - |
30~49(歳) | 85 | 100 | - |
50~64(歳) | 85 | 100 | - |
65~74(歳) | 80 | 100 | |
75以上(歳) | 80 | 100 | - |
妊婦(付加量) | +10 | +10 | - |
授乳婦(付加量) | +40 | +45 | - |
- L-アスコルビン酸(分子量=176.12)の重量で示した。
特記事項:推定平均必要量は、壊血病の回避ではなく、心臓血管系の疾病予防効果並びに抗酸化作用効果から算定
- 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
- 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
- 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
令和元国民健康・栄養調査によると、日本人のビタミンCの平均摂取量は93.5mgです。食品群別の摂取量を見ると、野菜類からの摂取量が最も多く、次いで果物類、嗜好飲料類、いも類の順に摂取されています。
ビタミンCが不足するとどうなる1)3)
ビタミンCが不足すると壊血病、皮下出血、骨形成不全、貧血になるおそれがあります。
ビタミンCは水溶性ビタミンであり、余剰分は尿と一緒に排出されるため過剰症はないとされてきました。しかし、近年、ビタミンCの過剰摂取により、虚血状態により組織や細胞中の酸素濃度が低下した場合には、活性酸素を産生し、細胞死を引き起こす可能性が示唆されています3)。まだはっきりした結論は出ていませんが、サプリメントなどを利用する際は注意しましょう。
ビタミンCを多く含む食品3)
ビタミンCは、果実類、野菜類、いも及びでん粉類、し好飲料類に多く含まれています。バランスの良い食事を心がけていれば不足の心配はまずありません。
ビタミンCは、風邪やインフルエンザなどの感染症の時、その必要量が増加します。また、喫煙によってもビタミンCの要求量が高まります。
近年、野菜の摂取量が減少しており、不足しがちなビタミン類を野菜ジュースやサプリメントで補う人もいますが、野菜ジュースやサプリメントから摂取されるビタミンCは、通常の食事で野菜から摂取した場合よりも、排せつまでの時間が非常に短いことが知られています。
健康日本21では、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するための目標値の一つとして、野菜類の摂取量は成人で1日350gとしています。大人の両手1杯が約100g程度の野菜に相当しますので、目安として、少なくとも両手1杯の緑黄色野菜と、両手2杯の淡色野菜を毎日摂取するように心がけてみましょう。
ビタミンCは熱に弱く、加熱調理により分解されますが、じゃがいもやさつまいもなどはビタミンCがでんぷんにより保護されているため、調理後にもほとんど分解されずに残ります。
一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品からビタミンCを多く含む食品を表2から表5にまとめました。
食品名 | ビタミンC量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
アセロラ 酸味種 生 | 1,700 | 1個:6g |
アセロラ 甘味種 生 | 800 | 1個:6g |
グァバ 赤肉種・白肉種 生 | 220 | 1個:100g |
ゆず 果皮 生 | 160 | 1個:100g |
キウイフルーツ 黄肉種 生 | 140 | 1個:80g |
アセロラ 10%果汁入り飲料 | 120 | コップ1杯:200g |
キウイフルーツ 緑肉種 生 | 71 | 1個:80g |
かき 甘がき 生 | 70 | 中1個:150~200g |
いちご 生 | 62 | 1個:15g |
- 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(果実の皮や種、芯など)を除いたものです。
食品名 | ビタミンC(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
赤ピーマン 果実 生 | 170 | 1個:100g |
めキャベツ 結球葉 生 | 160 | 1個:10~20g |
ブロッコリー 花序 生 | 140 | 1株:250g |
かぶ 葉 生 | 82 | 1個:80g |
青ピーマン 果実 生 | 76 | 1個:30g |
さやえんどう 若ざや 生 | 60 | 5さや:15g |
キャベツ 結球葉 生 | 41 | 1枚:95g |
- 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。
食品名 | ビタミンC量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
じゃがいも 塊茎 皮つき 生 | 28 | 中1個:150~200g |
さつまいも 塊根 皮つき 生 | 25 | 中1個:200~250g |
さといも 球茎 生 | 6 | 1個:50g |
ながいも 塊根 生 | 6 | 1本:600~1000g |
- 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(皮など)を除いたものです。
食品名 | ビタミンC量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
玉露 浸出液 | 19 | 1杯分(100ml):16g |
せん茶 浸出液 | 6 | 1杯分(100ml):2.3g |
- 玉露浸出法:茶葉10g/60度60ml、2.5分
- せん茶浸出法:茶葉10g/90度430ml、1分
食品に含まれる成分について
食品に含まれる成分は、
から検索が行えます。食品成分データベースは、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をデータソースとして、食品成分に関するデータをインターネットを通じて提供しているものです。
下記のようなさまざまな情報を知ることができます。
- 日・月・年単位の期間内で検索の多い食品のアクセスランキング
- 各栄養素を多く含む食品成分ランキング
- 食品群名/食品名、可食部100gあたりの成分表(一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等)など食品の詳細について掲載。重量を変更し、お好みの量で表示が可能
- 日常の食生活において複数の食品を組み合わせた場合の成分値の表示が可能
複数の食品の成分を検索する方法
複数の食品の成分を検索する方法についてご紹介します。
- 「フリーワードで検索」において食品名を入力するとワードに合致する食品がチェックリストで表示されます。本来検索したい食品以外も表示される場合がありますので、該当する食品を選択してください。
- 検索結果で表示される成分項目は、一般成分の基本成分である廃棄率、エネルギー(kcal)、水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分※です。一般成分の基本成分のみの表示は、「結果を表示」ボタンを押してください。重量は変更ができますので、摂取する量を入力し重量換算を行ってください。
- ※灰分:
- 一定条件下で灰化して得られる残分で、食品中の無機質の総量を意味する。また、水分とともにエネルギー産生に関与しない一般成分として、各成分値の分析の確からしさを検証する際の指標のひとつとなる。食品成分表に記載される数値の測定規準としては、550℃で残存炭素がなくなり、恒量となるまで灰化すると規定されている。
- 一般成分に追加して表示したい成分がある場合は、「表示成分選択」ボタンから、食品を追加したい場合は「フリーワードで検索」ボタンから検索し、追加することができます。
参考文献
- 香川明夫(監修):八訂 食品成分表2021. 女子栄養大学出版部, 東京, 2021.