ビタミンB2の働きと1日の摂取量
公開日:2016年7月25日 21時49分
更新日:2023年8月17日 13時16分
ビタミンB2とは
水溶性ビタミンのビタミンB2は、リボフラビンという化合物です。ビタミンB2は、リボフラビンにリン酸が一つ結合したフラビンモノヌクレオチド(FMN)、またはFMNにAMPが結合したフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の形があります。これらは、どちらも消化管でビタミンB2にまで消化された後、体内に取り込まれるため、ビタミンB2の同等の生理活性を示します。
リボフラビンは黄色い色素で、着色料として食品添加物に使われることもあります。牛乳からたんぱく質と脂肪を取り除いた上澄みは黄色みをおびていますが、これはこのビタミンの色からきています。
ビタミンB2の吸収と働き1)
生細胞中のリボフラビンは、ほとんどがFADあるいはFMNとして酵素タンパク質と結合した状態で存在しています。食品の調理や消化の際に、結合している酵素タンパク質が変性してFADまたはFMNが遊離します。遊離したFADまたはFMNは大部分が小腸粘膜で加水分解されてリボフラビンとなり、小腸上皮細胞から吸収されます。食品により変換効率や吸収効率が異なりますが、平均的な食事中のビタミンB2の利用効率は約64%と推定されます。
吸収されたリボフラビンは生体内で再びFMNやFADに変換されて、糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生に関与する酸化還元酵素の補酵素として働きます。「発育のビタミン」ともいわれ、発育促進に重要な役割を果たすほか、皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関与しています。
ビタミンB2の1日の摂取基準量1)2)
一日のエネルギー摂取量が2,200kcalの健康な成人に対してリボフラビンを投与した実験の結果、一日当たり約1.1mg以上の摂取で尿へのリボフラビンの排泄量が摂取量に応じて増大することが報告されていることから、ビタミンB2の、推定平均必要量をエネルギー1,000kcalに対し0.5mgとして算出されています。この推定平均必要量の値は、半数の人が必要を満たすと推定される量です。この推定平均必要量に推奨量算定係数の1.2を掛けた値が、推奨量となり、ほとんどの人が必要量を満たすと考えられる量になります。2020年版食事摂取基準では、一日の推奨量は、女性では18~74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mg、男性では18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgとなっています(表1-1、1-2)。
水溶性ビタミンであるビタミンB2は、余剰分が尿中に排泄され体内に蓄積しにくいことから、多量摂取による過剰障害は起こり難いと考えられています。実際に過剰投与を行った研究でも、健康被害は報告されなかったことから、耐容上限量は設定されていません(表1-1、1-2)。
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 |
---|---|---|---|
0~5(月) | - | - | 0.3 |
6~11(月) | - | - | 0.4 |
1~2(歳) | 0.5 | 0.6 | - |
3~5(歳) | 0.7 | 0.8 | - |
6~7(歳) | 0.8 | 0.9 | - |
8~9(歳) | 0.9 | 1.1 | - |
10~11(歳) | 1.1 | 1.4 | - |
12~14(歳) | 1.3 | 1.6 | - |
15~17(歳) | 1.4 | 1.7 | - |
18~29(歳) | 1.3 | 1.6 | - |
30~49(歳) | 1.3 | 1.6 | - |
50~64(歳) | 1.2 | 1.5 | - |
65~74(歳) | 1.2 | 1.5 | - |
75以上(歳) | 1.1 | 1.3 | - |
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 |
---|---|---|---|
0~5(月) | - | - | 0.3 |
6~11(月) | - | - | 0.4 |
1~2(歳) | 0.5 | 0.5 | - |
3~5(歳) | 0.6 | 0.8 | - |
6~7(歳) | 0.7 | 0.9 | - |
8~9(歳) | 0.9 | 1.0 | - |
10~11(歳) | 1.0 | 1.3 | - |
12~14(歳) | 1.2 | 1.4 | - |
15~17(歳) | 1.2 | 1.4 | - |
18~29(歳) | 1.0 | 1.2 | - |
30~49(歳) | 1.0 | 1.2 | - |
50~64(歳) | 1.0 | 1.2 | - |
65~74(歳) | 1.0 | 1.2 | |
75以上(歳) | 0.9 | 1.0 | - |
妊婦(付加量) | +0.2 | +0.3 | - |
授乳婦(付加量) | +0.5 | +0.6 | - |
- 身体活動レベル2の推定エネルギー必要量を用いて算定した。
特記事項:推定平均必要量は、ビタミンB2の欠乏症である口唇炎、口角炎、舌炎などの皮膚炎を予防するに足る最小摂取量から求めた値ではなく、尿中にビタミンB2の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定。
- 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
- 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
- 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
令和元年国民健康・栄養調査における日本人のビタミンB2の一般食品からの1日の摂取量の平均は1.18mgでした。また食品群別の摂取量を見ると、乳類からの摂取量が最も多く、次いで肉類、卵類の順に摂取されています。
ビタミンB2が不足するとどうなる1)
牛乳・乳製品、動物性食品、豆類の摂取量が少ない場合、ビタミンB2が不足することがあります。ビタミンB2は皮膚や粘膜の機能を正常に保つことに関係していますので、不足すると口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、角膜炎などを起こします。
また、成長期の子どもの場合は、ビタミンB2が不足すると成長障害を起こします。エネルギー消費量が多い人ほどビタミンB2を必要とするので、活動量の多い子どもの場合、不足しないように注意する必要があります。
ビタミンB2を多く含む食品
ビタミンB2は、魚介類、肉類、藻類、豆類、乳類、卵類、野菜類、種実類などに多く含まれています。ビタミンB2は熱には強いのですが、光によって分解しやすい性質があります。また、アルカリ性(例えば重曹)で加熱すると分解してしまいます。
一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品からビタミンB2を多く含む食品を表2から表9にまとめました。
食品名 | ビタミンB2(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
魚肉ソーセージ | 0.6 | 1本:75~90g |
ずわいがに 生 | 0.6 | 足1本:40g |
みりん干し まいわし | 0.5 | 1枚:28g |
(さば類) 缶詰 水煮 | 0.4 | 1缶:180g |
しろさけ 新巻き 生 | 0.2 | 1切れ:100g |
まあじ 皮なし 生 | 0.2 | 1尾:160g |
すずき 生 | 0.2 | 1切れ:80g |
- 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(頭部、内臓、骨、ひれなど)を除いたものです。
食品名 | ビタミンB2量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
ぶた 肝臓(レバー) 生 | 3.60 | 1人前:100g |
うし 肝臓(レバー) 生 | 3.00 | 1人前:100g |
にわとり 肝臓(レバー) 生 | 1.80 | 1人前:100g |
ぶた レバーペースト | 1.45 | 大さじ1:12g |
にわとり 心臓(ハツ) 生 | 1.10 | 1個:15~20g |
ぶた 心臓(ハツ) 生 | 0.95 | 1人前:100g |
うし 心臓(ハツ) 生 | 0.90 | 1人前:100g |
食品名 | ビタミンB2量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
あまのり 焼きのり | 2.33 | 1枚:2g |
あまのり 味付けのり | 2.31 | 1人分:3g |
あおのり 素干し | 1.66 | 小さじ1:2g |
わかめ 乾燥わかめ 素干し | 0.83 | 1人分:2g |
あおさ 素干し | 0.48 | 小さじ1:2g |
ほしひじき ステンレス釜・鉄釜 乾 | 0.42 | 大さじ1:2g |
食品名 | ビタミンB2量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
糸引き納豆 | 0.56 | 1個:30~50g |
挽きわり納豆 | 0.36 | 1個:30~50g |
きな粉 全粒大豆 黄大豆 | 0.24 | 大さじ1:6g |
全粒 蒸し大豆 黄大豆 | 0.10 | 1パック:100g |
食品名 | ビタミンB2量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
ナチュラルチーズ パルメザン | 0.68 | 大さじ1:6g |
ナチュラルチーズ カマンベール | 0.48 | 1切れ:18g |
プロセスチーズ | 0.38 | 1切れ:18g |
ナチュラルチーズ リコッタ | 0.21 | 大さじ1:13g |
ナチュラルチーズ モッツァレラ | 0.19 | 1切れ:18g |
ヨーグルト 低脂肪無糖 | 0.19 | 1カップ:210g |
普通牛乳 | 0.15 | コップ1杯:200g |
食品名 | ビタミンB2量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
うずら卵 全卵 生 | 0.72 | 1個:10~12g |
鶏卵 卵黄 生 | 0.45 | 1個:16g |
鶏卵 全卵 生 | 0.37 | 1個(Mサイズ殻付):60g |
鶏卵 卵白 生 | 0.35 | 1個:35g |
食品名 | ビタミンB2量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
しそ 葉 生 | 0.34 | 10枚:7g |
ブロッコリー 花序 生 | 0.23 | 1株:250g |
切干しだいこん 乾 | 0.20 | 1食分:10g |
ほうれんそう 葉 通年平均 生 | 0.20 | 1株:20g |
バジル 葉 生 | 0.19 | 1枝:5g |
- 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。
食品名 | ビタミンB2量(mg) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
---|---|---|
アーモンド 乾 | 1.06 | 10粒:14g |
ごま いり | 0.23 | 大さじ1:9g |
くるみ いり | 0.15 | 1粒:5g |
らっかせい 大粒種・小粒種 乾 | 0.10 | 殻付き10粒:25g |
食品に含まれる成分について
食品に含まれる成分は、
から検索が行えます。食品成分データベースは、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をデータソースとして、食品成分に関するデータをインターネットを通じて提供しているものです。
下記のようなさまざまな情報を知ることができます。
- 日・月・年単位の期間内で検索の多い食品のアクセスランキング
- 各栄養素を多く含む食品成分ランキング
- 食品群名/食品名、可食部100gあたりの成分表(一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等)など食品の詳細について掲載。重量を変更し、お好みの量で表示が可能
- 日常の食生活において複数の食品を組み合わせた場合の成分値の表示が可能
複数の食品の成分を検索する方法
複数の食品の成分を検索する方法についてご紹介します。
- 「フリーワードで検索」において食品名を入力するとワードに合致する食品がチェックリストで表示されます。本来検索したい食品以外も表示される場合がありますので、該当する食品を選択してください。
- 検索結果で表示される成分項目は、一般成分の基本成分である廃棄率、エネルギー(kcal)、水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分※です。一般成分の基本成分のみの表示は、「結果を表示」ボタンを押してください。重量は変更ができますので、摂取する量を入力し重量換算を行ってください。
- ※灰分:
- 一定条件下で灰化して得られる残分で、食品中の無機質の総量を意味する。また、水分とともにエネルギー産生に関与しない一般成分として、各成分値の分析の確からしさを検証する際の指標のひとつとなる。食品成分表に記載される数値の測定規準としては、550℃で残存炭素がなくなり、恒量となるまで灰化すると規定されている。
- 一般成分に追加して表示したい成分がある場合は、「表示成分選択」ボタンから、食品を追加したい場合は「フリーワードで検索」ボタンから検索し、追加することができます。
参考文献
- 香川明夫(監修):八訂 食品成分表2021. 女子栄養大学出版部, 東京, 2021.