APOE4による血液脳関門の崩壊誘発
公開日:2020年8月 6日 09時00分
更新日:2024年8月16日 16時42分
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アルツハイマー病患者の脳ではアミロイドβ(Aβ)とタウの凝集形成が進む。これが病状の進行と認知症発症に最も重要なことは間違いない。しかし最近、それ以前に血液脳関門(BBB)の機能の崩れが指摘されている。脳内での神経変性の結果、BBBから漏れ出るニューロフィラメントなど各種神経マーカーが、認知症患者の血液で検知できる。Aβでさえ微量血液の質量分析で検出可能になった。今回、米国の南カリフォルニア大学の神経遺伝学研究所所長のズロコビックの率いるラボから、従来いわれた遺伝的危険因子のアポリポタンパク質Eが、脳海馬周辺の毛細血管壁のペリサイトと血管内皮細胞のメタロプロテイナーゼに作用することで、このBBBリークを加速すると報じている。認知症の発症のはるか前に、BBB崩壊から脳機能不全を誘発する、その新たなリスクのシナリオが見え始めた。
文献
Montagne A, et al. Nature. 2020;581:71-76
転載元
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