神経変性疾患へのアンチセンスオリゴ治療のパワー
公開日:2018年1月11日 09時47分
更新日:2022年12月 2日 14時17分
今までは治療といえば酵素などの蛋白質を阻害する薬剤に頼るのが普通だが、例外的には遺伝子の直接的な変革による治療もあった。ところが最近、遺伝子と蛋白質のはざまで働くRNAに直接作用するアンチセンスオリゴで有効な治療効果が期待できることがわかってきた。まだマウスでの結果だが、脊髄小脳失調症のSCA2のアンチセンスで、このアタキシアのみならずTDP-43の変性凝集を呈する筋萎縮性側索硬化症(ALS)をも治癒できる。そんな可能性が開けた。SCA2のオリゴで2つの神経変性疾患を治してしまう。まさに一石二鳥の新戦略である。米国の西海岸の複数の研究施設からの報告。
文献
- Becker LA, et al. Nature 2017;544:367-371
- Scoles DR, et al. Nature 2017;544:362-366
転載元
公益財団法人長寿科学振興財団発行 機関誌 Aging&Health No.84