老化脳での認知能低下:酸化ストレスに抗する新メカニズム
公開日:2018年1月12日 09時55分
更新日:2022年12月 2日 14時16分
老化脳での認知能低下、それは主として海馬ニューロンの可塑性低下による。その主因は従来、いわゆる酸化ストレス説が有力とされてきた。今回、中国、北京のZhangらは一酸化窒素(NO)を介した新たな機構にS-ニトロソグルタチオン還元酵素(GSNOR)の関与を指摘している。ヒトでもマウスでもGSNORの発現は老化脳で高い。それが海馬で機能するCaMKIIαのS-ニトロシル化を抑制、海馬ニューロンの機能低下を引き起こす。従来の酸化ストレスという非特異的なターゲットではなく、CaMKIIα上の特定のシステインの化学修飾で機能変化を説明する。老化脳制御がピンポイントでできる可能性をはらんでいる。
文献
Zhang Y, et al. J Neurosci 2017;37:9741-9758
転載元
公益財団法人長寿科学振興財団発行 機関誌 Aging&Health No.84