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体前屈測定の測定方法

公開日:2016年7月25日 06時00分
更新日:2019年2月 1日 15時36分

体前屈測定とは

 体前屈測定は体力の中の柔軟性を測るための方法です。この測定では主に大臀筋(お尻)、ハムストリングス(大腿の裏側)、腓腹筋(ふくらはぎ)の柔軟性をみることができます。

 測定方法は立って行う立位体前屈と、座って行う長座体前屈の2種類があります。立位体前屈が主流でしたが、立位体前屈では頭部を下げた状態で測定を行うため、血管系疾患のある方にはリスクを伴います。また、測定台に上ったり降りたりする際に落下したり、測定後頭部を持ち上げた際にふらついたりと、測定時の事故が起こる危険性があるため、近年は長座体前屈が主流になっています。座位で行う長座体前屈は安全性が高いため、高齢者にも広く用いられるようになりました。文部科学省の新体力テストでも長座体前屈が用いられています。

体前屈測定の目的・意義

 体前屈測定は下肢の柔軟性を把握することを目的に行われます。特に大臀筋、ハムストリングス、腓腹筋の柔軟性は腰痛や膝痛など傷害のリスクと高い相関があり、柔軟性が低いと腰痛や膝痛を引き起こしやすくなります。柔軟性が低い状態で運動やスポーツを行うと慢性的な痛み以外にも肉離れや靱帯損傷など急性的な傷害のリスクが高くなります。また、下肢の柔軟性が低いと関節可動域が狭くなり、大股で歩けない、転びやすいなど日常生活での活動性低下にもつながります。

 日常生活での活動性を評価するため、下肢の柔軟性を測定できる体前屈測定を行うことで、柔軟性が向上したか低下したか、年齢相応か等を客観的に観察することが可能となります。柔軟性が低いあるいは低くなったという場合はストレッチが効果的です。ぜひ毎日行ってみてください。

体前屈測定の方法

立位体前屈

 立位体前屈では、測定台の台面に0cmの基準点をとり、基準から上に25cm、下に40cmまで1cm間隔の目盛りのものさしをつけた台を用意します。

 測定対象者は、両足のかかとをつけ、足先を5cmほど開いた姿勢で台の上に立ちます。上体を下方に倒して前屈し、両手を伸ばして両手で目盛りをつけたものさしに触れます。そこからさらに何cm前屈させられるか、両手の指先が到達したポイントを測ります。このとき膝を曲げたり反動をつけたり、片手のみを伸ばしたりしないように注意します。

 両手の指先が到達した最下端のポイントの目盛りを読み取ります。基準の0cmまで達しないときは、0cmまでの距離をマイナスで示します。立位体前屈は2回実施して良い方の記録をとります。

長座体前屈1)

 長座体前屈では、幅約22cm×高さ約24cm×奥行き約31cmの箱2個と、横75~80cm×横約31cmの段ボール厚紙、ガムテープ、スケール(1m巻き尺や1mものさし)を準備します。図1のように組み立てます。手作りでもできるほか、電動の測定器もあります。

図1:長座体前屈を用いる測定器の作り方を示す図
図1:長座体前屈に用いる測定器1)
図2:長座体前屈の測定の仕方を示す図
図2:長座体前屈の測定の様子1)

 図2のとおり、測定者は靴を脱いで両足を測定器の間に入れて長座姿勢をとります。このとき壁に背中・お尻をぴったりとくっつけるようにします。手のひらを測定器に置き、両肘を伸ばして背筋を伸ばします。この状態で、スケールを測定器の横に置き、測定器の手前側に基準となる0cmを合わせます。

 測定者は両手を測定器から離さずにゆっくりと前屈し、測定器全体をまっすぐ前方へできるだけ遠く滑らせます。このとき膝が曲がらないように注意すること、測定器を最後に手だけで押さないように注意することが必要です。最大に前屈したら厚紙から両手を離します。センチメートル単位で記録し、小数点以下は切り捨てます。2回実施して良い方の記録を残します。

立位体前屈・長座体前屈の年齢別平均

 長座体前屈の年齢別平均では、男子は17歳、女子は19歳でピークとなり、その後は加齢に伴い柔軟性は低下する傾向があります。ピーク時までの6~17、19歳までは柔軟性は高いものの身長や上肢の長さによって高い数値は出ないと考えられます。

表:長座体前屈の年代別平均2)を元に作成
男子女子
6歳 26.38 28.51
7歳 27.45 29.96
8歳 29.06 31.66
9歳 30.28 33.9
10歳 32.47 36.26
11歳 34.49 39.11
12歳 39.39 42.04
13歳 43.15 43.94
14歳 46.79 45.93
15歳 47.74 45.9
16歳 49.36 46.6
17歳 51.11 47.42
18歳 48.77 47.62
19歳 49.75 47.68
20~24歳 45.7 45.69
25~29歳 43.74 44.39
30~34歳 42.81 43.6
35~39歳 42.25 43.5
40~44歳 41.2 43.3
45~49歳 40.57 42.92
50~54歳 39.81 42.77
55~59歳 38.67 41.78
60~64歳 37.9 41.68
65~69歳 37.68 40.67
70~74歳 36.03 39.77
75~79歳 34.81 37.93

体前屈の測定はどこでできるか

 体前屈の測定器は簡単に手作りすることができるので、家庭でも測定することができます。地域の体育施設でも測定器が置いてあるところだと測定可能なので、各施設に問い合わせてみるとよいでしょう。

参考文献

  1. 新体力テスト実施要項 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 年代別テストの結果 文部科学省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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