体脂肪の測定方法と体脂肪計
公開日:2016年7月25日 00時00分
更新日:2023年6月 1日 13時31分
体脂肪とは
体脂肪はエネルギーの貯蔵庫としての働きや、保温や脂肪代謝、ホルモン代謝など重要な役割をもっています。しかし、必要以上の体脂肪、特に内臓脂肪が蓄積すると脂肪細胞からアディポサイトカインという生理活性物質が分泌され、動脈硬化、糖尿病、高血圧、脂質異常症を発症・悪化させる原因となります。ただし、体脂肪が少なすぎても、皮膚や髪のつやが無くなったり、月経異常や体調不良を起こしたりする原因になります。
体脂肪の測定の目的・意義
体脂肪量は身長、体重の測定では把握することはできません。たとえ体重が重くても体脂肪量が少なく筋肉量が多い「過体重」や、体重が少なくても筋肉量が少なく体脂肪量が多い「隠れ肥満」など、体重だけでは一概に体型判定することはできません。
そこで体脂肪率を測定することで、体内の脂肪の割合が多いのか少ないのかを把握することができます。体重が軽くても体脂肪率が高い状態は、健康疾患を発症するリスクが高いといえます。自分の身体の体脂肪率を把握しておくことは健康的な身体づくりへの第一歩といえます。体脂肪率の男女別判定基準を表に示します。
体脂肪率(男性) | 体脂肪率(女性) | 判定 |
---|---|---|
10%未満 | 20%未満 | 低い |
10~20%未満 | 20~30%未満 | 標準 |
20~25%未満 | 30~35%未満 | やや高い |
25%以上 | 35%以上 | 高い |
体脂肪の測定方法の種類
体脂肪量を測定または推定する方法には、インピーダンス法、キャリパー法、水中体重秤量法、空気置換法等があります。
生体インピーダンス法
生体インピーダンス法は、体内に微弱な電流を流して電気抵抗(インピーダンス)を測定し、脂肪の割合を算定する方法です。簡単に測定できるため、一般家庭用にも広く普及しています。
キャリパー法
キャリパー法は、キャリパーという測定機器で指定された部位の脂肪をつまんで厚さを測り、体脂肪を推定する方法です。測定機器があればどこでも測定可能ですが、測定者によって誤差が生じることがあります。
水中体重秤量法(水中体重測定法)
水中体重秤量法(水中体重測定法)は、陸上と水中での体重の差から身体の密度を算出し、体脂肪率を推定する方法です。
空気置換法
空気置換法は、専用のカプセルに入り、カプセル内の空気の圧力の差から体脂肪を求める方法です。
DEXA法(二重エネルギーX線吸収法)
Dual Energy X-Ray Absorptiometry(DXA)法は二種類の異なる波長のX線を身体に照射して、透過率の差から身体組成を計測する方法です。骨粗鬆症の診断、治療において骨量、骨密度を測定するために使用されますが、同時に身体の筋肉量、脂肪量を定量することもできる方法です。
水中体重秤量法や空気置換法は最も体脂肪率を正確に測定することができるといわれていますが、コストが高く、数少ない研究機関にしか測定機器がないため一般的ではありません。
生体インピーダンス法の測定の仕組み
生体インピーダンス法とは、体内に微弱な電流を流し、電流の流れやすさ(電気抵抗=インピーダンス)の程度を計測し体脂肪率を推定する方法です。体内の筋肉や骨など電解質を多く含む組織は電気を通しやすく、体脂肪はほとんど電気を通しません。この特性を利用し、測定した電気抵抗値と身長・体重から体脂肪率を推定します。
体脂肪計の選び方
体脂肪計には、両手測定タイプ(ハンドルタイプ)、両足測定タイプ(体重計タイプ)、両手両足測定タイプがあります。両手測定タイプは服を着たまま測定することができるのでより気軽に測定することができます。両足測定タイプでは体重も同時に測ることができます。両手両足測定タイプは両手、両足から電流を流すためより正確に測定が可能ともいわれます。測定時に数秒間直立姿勢を保つことが難しい場合は両手測定タイプが適していますし、手に障害があるなどしっかりと握れない場合には両足測定タイプが適しています。体脂肪計のタイプによって値段も形状も適正環境も異なるため、測定状況や対象者に応じて選択します。
正しく測定するポイント
インピーダンス法では体内の水分量に左右されます。そのため運動や入浴などの発汗後や、水分や食事を摂った後などの時間帯は測定を避けます。そのため1回のみの測定で判断するのではなく、継続的に測定をすることでおおよそ正確な体脂肪率が把握できるようになります。測定は毎日同じ条件(時間、服装、姿勢)で測定することが正しい測定の基本です。
測定面に触れた肌から電気を流すため、足裏のゴミの付着や乾燥がないように配慮します。測定前にウェットティッシュで足裏を一拭きすると良いでしょう。
なお、体脂肪計では心臓ペースメーカーなどの体内測定機器を装着している場合は使用できません。