日本食(和食)は理想的な健康長寿食
公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2021年10月21日 12時55分
日本食(和食)の特徴1)
日本食は平成25年12月に「和食;日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました1)。
日本食(和食)の4つの特徴
日本食(和食)には4つの特徴があります。
1. 多種多様な新鮮な食材が利用できる
日本は、北は北海道、南は沖縄までと南北に長く、海に囲まれている島国です。そのため新鮮な魚や貝、海藻類など海産物から野菜、果物、きのこ類と山のものと、数多くの食材を取り入れることができます。
また調理方法も煮る、蒸す、焼く、炒める、揚げるなど調理方法も豊富で、食材を生かした料理があります。
2. 四季に合わせた食材の利用
日本は春夏秋冬と四季があり、食材の旬を活かした料理があります。旬の食材は季節感を表現するだけでなく、美味しく、栄養価も高いです。
3. 理想的な食事バランス
一汁三菜と主食、主菜、副菜、汁物があるため、1食で各栄養素が補えます。
4. 行事食がある
正月や節分など年中行事と食が密接な関係があります。行事を通して、家族や親せきなどと食事をすることで絆を深めています。
日本食(和食)がなぜ健康長寿に理想的な食事か
一汁三菜と理想的なバランス
日本食(和食)の特徴は主食、主菜、副菜(2品)と汁物の一汁三菜と食事スタイルです。主食はエネルギー源となる炭水化物を多く含むご飯、主菜は肉や魚、大豆製品など筋肉や血液の材料となるたんぱく質、副菜にはお浸し、煮物、和え物などを利用することで体の調子を整えるビタミン、ミネラル、味噌汁からも野菜か海藻類が補えるため、生活習慣病の予防に役立つ食物繊維も補えます。1食で五大栄養素が補えるので理想的なバランスの良い食事です。
日本食に使用される食材の頭文字をとって「まごわやさしい」という言葉があります。
まごわやさしい
- ま:豆類
- ご:ごま
- わ:わかめなどの海藻類
- や:野菜
- さ:魚
- し:しいたけなどのきのこ類
- い:芋類
「まごわやさしい」の食材はエネルギー源となる炭水化物、体をつくるたんぱく質、体の調子を整えるビタミン、ミネラルが豊富な食材です。生活習慣病の予防、コレステロールの低下、老化予防など健康づくりに役立つ食材です。
発酵食品が補える
味噌やしょう油、酢、みりんなどの調味料、納豆、糠漬け、日本酒など数多くの発酵食品を食べています。とくに納豆や糠漬けなどの植物性乳酸菌は胃酸にも比較的強く、生きたまま腸にまでたどりつきます。発酵食品は腸内環境を整えるだけでなく、免疫力を高める働きなど健康づくりに役立ちます。
低脂肪、低カロリー
蒸す、煮る、焼く、和えるという調理方法は油の使用量が少ないため、低カロリーです。魚に含まれる油はDHAやEPAで、オメガ3脂肪酸です。これらはコレステロールを下げる働きがあり、動脈硬化を予防する働きがある脂肪として、良質の油になります。
昆布やかつお節などからとる「だし」の「うまみ」を上手に利用することで、バターやラードなど動物性脂肪の少ない食事のため、日本人の長寿や肥満防止にも役立っています。
日本食(和食)の食事のバランス(エネルギー産生栄養素バランス)は、日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、炭水化物は、18歳以上50~65%エネルギー、たんぱく質は、18~49歳13~20%エネルギー、50~64歳14~20%エネルギー、65歳以上15~20%エネルギー、脂質は、18歳以上20~30%エネルギーが理想的とされています2)。
日本食(和食)の問題点
日本食(和食)は理想的な栄養のバランスの食事ではありますが、カルシウムが少ない、食塩摂取が多いという問題点もあります。
カルシウムが少ない
カルシウムは骨や歯の材料となるミネラルです。カルシウムを多く含む食品は、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、小魚、緑黄色野菜です。日本食で小魚や緑黄色野菜は使用しますが、乳製品に比べると、カルシウムの吸収率が悪いため、カルシウム不足になってしまいます。
また、日本の水は軟水なので、海外の硬水とことなりカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含まない水のため、飲料水からカルシウムは補えません。
塩分の過剰摂取
日本食(和食)は味噌やしょう油など食塩を多く含む調味料を使用する料理が多いです。また昔から野菜や海藻類など保存食として利用されていた、梅干し、漬物、佃煮など食塩を多く含むものを食事のときに食べることにより、食塩の摂取量が多くなってしまいます。
令和元年度の国民健康・栄養調査の結果では、成人の食塩摂取量の平均は10.1gで、男性10.9g、女性9.3gです。成人の一日当たりの食塩摂取目標量は、食事摂取基準(2020版)では、2015版から0.5g引き下げられ、男性7.5g未満、女性6.5g未満となっていますので、多く摂取していることになります。また、食塩摂取と関連のある生活習慣病として、高血圧や慢性高血圧及び慢性腎臓病(CKD)が挙げられますが、重症化予防を目的とした量として新たに6g/日未満と設定されました。2)3)。