介護食の基礎と作り方のポイント
公開日:2016年7月25日 04時00分
更新日:2020年5月26日 09時27分
介護食のレベル
食べる機能は加齢や疾患によって低下します。介護食は食べる機能が低下した方に提供するお食事ですが、機能の低下など人それぞれです。安全で安心して食事をするための目安の指標として介護食のレベルがあります。
介護食のレベルについては、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013による嚥下食ピラミッド、日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード、スマイルケア食、などがあります。
嚥下食ピラミッド
嚥下食ピラミッドはすべての食事を摂食・嚥下の難易度にあわせて、普通食から嚥下食までの6段階にレベル分けし、各レベルに食物の形態や、やわらかさなどの物性条件を基準化することで、病院や施設だけでなく家庭でも安全な食事形態の目安として使いやすい指標です(リンク1参照)。
ユニバーサルデザインフード
ユニバーサルデザインフードとは、日常の食事から介護食まで幅広くお使いいただける、食べやすさに配慮した食品です。日本介護食品協議会が制定した規格基準にクリアした介護用加工食品の商品のパッケージに「ユニバーサルデザインフード(UDF)」マークの表示があります(図1)。
ユニバーサルデザインフードは、食べやすさに配慮して作られたレトルト食品や冷凍食品などの調理加工食品、飲み物などにとろみをつけたとろみ調整食品があります。
ユニバーサルデザインフードは、かむ力、飲み込む力を目安に「かたさ」や「粘度」の規格により4つに区分されているので、市販の介護用加工食品を利用したいときに、区分を参考に選びます(図2)。
スマイルケア食
農林水産省が介護食品と呼ばれてきた食品の範囲を整理したものを「スマイルケア食」と言います。
動画:新しい介護食品「スマイルケア食」(再生ボタンを押すと動画がスタートします)3)
スマイルケア食は健康維持上栄養補給が必要な人向けの食品を3色で色分けし、「青」マークは健康維持上栄養補給が必要な人向けの食品、「黄」マークは噛むことが難しい人向けの食品、「赤」マークは飲み込むことが難しい人向けの食品とし、食品のパッケージ等にマークを表示することで、それぞれの方の状態にあった食品が選べるようにしてあります。
スマイルケア食の選び方を参考に、食事をする方にあったスマイルケア食を選ぶことができます(図3)。
介護食を作るときの注意点
食事の見た目で食欲が出るか、なくなるかは変わってきます。飲み込みやすさや食べやすさを重視しすぎて、見た目や味付けが悪いと、食欲は失われてしまいます。
栄養状態を維持するためには、美味しく食事をすることです。盛り付けや彩などにも気をつけます。口の中でまとまりやすいか、飲み込みやすいかなど安全に食べられるように配慮します。高齢者は唾液の分泌量が低下するため、口に食べ物を運んだ時、水分を吸収してしまう食べ物は食べにくいです。逆に水分が多くても、むせ込みの原因にもなるので、食べやすい食材を使用し、食べやすい形状に加工します。
介護食の食材の加工方法
- 噛みやすいように、やわらかく煮る、蒸す
- 野菜や肉などは切り込みを入れ、繊維質をたつように切る
- 水分が多いものや飲み込みが難しいものは、とろみをつける
- 味付けにも工夫をする(むせ込みの原因にもなるので酸味は強くしない)
- 食べにくい食材(パサパサしたもの、上あごにくっつくもの、喉につまりやすいもの)使用しないか、食べやすい状態に加工する
介護食の調理器具
介護食は食べやすい状態にすることはもちろん、介護する側も介護食を作る負担を軽減するためにも、調理器具があると便利です。
- ミキサー
- フードプロセッサー
- おろし器
- ミルサー
- すり鉢
- 蒸し器
- 圧力鍋
- 裏ごし器
- マッシャー
- 型
介護食の特徴は柔らかく、なめらかな状態、噛みやすいサイズです。
蒸し器や圧力鍋があると火を通しても食材が固くならず、また短時間で柔らかくなります。
フードプロセッサーは水分が少量でも食材を刻む、ペーストにするなど形状に合わせて使用できるので便利です。
マッシャーやすり鉢で食べにくいものをつぶすことができます。さらになめらかにするときには、裏ごし器を使うと粒粒感がなくなります。