高齢者の転倒予防
公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年6月21日 12時56分
高齢者の転倒を予防するには、高齢者では下肢筋力の強化をしながら身体の活動性向上が大切です。また、転倒の危険因子を一つでも減らし、危険な生活環境を改善する必要があります。身体的要因のうち加齢、性などの改善できない要因は別として、改善できる要因に対する対処を考えるべきです。
その中でリハビリテーションを中心とした運動による転倒予防も重要です。高齢者では、下肢筋力強化を図りながら、身体の活動性を向上させることが大切です。歩行能力を維持するためには、杖、歩行器等の使用も大切です。不必要な睡眠薬や鎮静剤を減量したり、中止するなどの薬剤の調整も必要です。
また外的要因である環境の整備も必要であり、介護保険下で住宅改修や福祉用具の貸与も利用できます。
運動
高齢者では、転倒予防として下肢筋力強化を図りながら、身体の活動性を向上させることが大切です。ただ高齢者では、運動量の多い激しい筋力トレーニングが必要なわけではなく、各自が自分に合った運動をして身体活動性を維持することが高齢者にとって転倒の予防につながります。
具体的な運動としては、柔軟体操、歩行(リンク1・2参照)、ジョギング(リンク3・4参照)、エアロビクス、水泳(リンク5参照)、テニス(リンク6参照)、バレーボール(リンク7参照)、バスケットボール、ゲートボールなどがあります。
転倒予防教室
転倒予防教室は、介護予防として地方行政、市町村で、地域の希望者を募る形で行われていますし、また少数であるが、病院で転倒予防外来および転倒予防教室として、転倒しやすいもの、骨粗鬆症患者、転倒歴があるものに対して、運動プログラムを作り、取り組んでいるところもあります。
プログラムの内容には、転倒・骨折に関する講義、パンフレットによる教育的プログラムから、筋力強化を主体とした運動プログラムまで様々な取り組みがなされています。
病院が行っている転倒予防教室の例を示します。
内容は、全部で8週間のコースからなり、第1週に運動機能評価を行い、週1回5週にわたる転倒予防を目的とした運動を指導し、第7週に運動機能の再評価を行い、最後の週に評価内容の説明と今後の自宅での運動および生活指導を行います。
運動機能の評価としては、転倒および日常生活に関する問診、大腿四頭筋筋力、大腿四頭筋での反応時間、重心動揺、握力、10m歩行時間などを評価しています。
転倒予防教室の訓練内容
転倒予防教室の具体的な訓練内容は、ストレッチング訓練、下肢筋力の強化、歩き方の練習、自宅でもできる体操の指導、ビーダマを足指でつかんだり、裸足でタオルを巻取ることによる足指の練習、バランス訓練、片足立ち、ボール訓練などです。
下肢筋力強化としては、座位で可能な重垂バンドやテラバンドを用いた練習を行います。
バランス訓練としては、片足立ちの練習およびつま先立ちの練習、また継ぎ足歩行の練習、立位にてできるだけ大きく側方・前方へのステッピング、端坐位でできるかぎり離れた位置に手をついてもどる練習、四つ這い位で上下肢の挙上運動などを行います。またボールをつかった遊びも取り入れています。
歩行の指導として、前を向いて、腹を軽くしめて、歩幅を広くとるように歩き、踵(かかと)から着地し、足先で地面を蹴るように歩くように指導しています。
転倒予防教室の中では、転倒の現状や原因、転倒によって生じる骨折、運動の必要性、杖やシルバーカーなどの歩行補助具についての指導を行います。