運動療法
公開日:2016年7月25日 23時00分
更新日:2019年6月21日 12時50分
運動療法とは
運動療法とは、身体的および精神的な機能の回復を最大限に図ることで、自立して生活しうる能力を取り戻すことであり、病気の治療を行いながら日常生活をおこなう能力を維持もしくは向上させることです。
この目的のために、理学療法士が行う運動療法には、関節可動域訓練、基本動作訓練、筋力増強訓練、持久力増強訓練、協調性訓練、治療体操などがあります。
関節可動域訓練
関節可動域訓練としては、関節の動きを改善させることおよび拘縮(こうしゅく)の予防を目的として行うものです。
最初は、理学療法士が患者さんの上肢や下肢を動かすことにより、関節の動きを改善させていきます。そして徐々に患者自身が障害のない上肢を用いて、障害のある側の上肢もしくは下肢を動かしながら、理学療法士が少しだけ介助しながら、最終的には患者自身で上肢および下肢を動かしていきます。
基本動作訓練
基本動作訓練は、寝返り、起きあがり、ベッド上の移動、座位、立ち上がりなどの起居動作訓練と車いすへの移乗動作、歩行などの移動動作訓練からなります。よく病院で行われるリハビリテーションがこれにあたります。
理学療法士が、動き方を指導しながら、最初は介助して、寝返り、起きあがり、ベッド上の移動を行います。次に長い時間座っていられるように座位耐久性訓練を行います。
歩行の準備訓練として、椅子の前に設置されたてすりを握って、座位からの立ち上がり、立位姿勢を保持します。
歩行訓練は、平行棒内歩行訓練、平地歩行訓練、階段昇降訓練と進めていきます。
筋力増強訓練
筋力を増強するためには、通常以上の負荷をかける抵抗運動が有効で、負荷のかけ方に理学療法士(リンク1参照)が徒手を用いて抵抗をかける場合と機械・おもりを用いて抵抗をかける場合があります。
抵抗運動の種類としては、筋収縮のタイプ別に関節の運動を伴わない等尺性収縮、関節の運動を伴う等張性収縮とトルクマシーンを利用した等速性収縮によるものがあります。
たとえば関節炎症の強い場合や疼痛を伴う場合、ギブス固定中などで関節を動かすことができにくい場合、等尺性運動が選択されます。等張性運動は、たとえば自宅でダンベルを持ち上げて訓練する方法です。
持久力増強訓練
持久力増強訓練は、術後や長期間ベッドに寝ていたことによる患者さんの体力低下を改善させる目的で行われます。
高齢者では、最初ベッドサイドでの座位時間を延長させることから行い、歩行可能になったら歩行距離をのばすことにより持久性をのばしていきます。
自宅で行う全身持久力訓練としては、大きな筋群を用いたリズミカルな運動すなわち歩行(リンク2・3参照)、ランニング、水泳、自転車などが適しています。
協調性訓練
協調性訓練は、脳血管障害、脳外傷、脳性麻痺などの中枢神経障害の患者さんに対して行われるもので、個々の筋に対する随意的(ずいいてき)なコントロールおよび多数の筋による円滑な運動を行えるようにする訓練の総称で、正常な運動パターンの促通や、異常な運動パターンの抑制を行います。
治療体操
治療を目的とした体操としては、パーキンソン病体操、腰痛体操、五十肩体操などがあります。