ウォーキングの効果と方法
公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年8月 5日 16時03分
ウォーキングとは
日常生活の歩きや散歩とは異なり、"健康のため"という目的をもって行う歩きをウォーキングといいます。ウォーキングは必要な道具や環境を必要とせず、「いつでも」「どこでも」「誰でも」行うことができる最も手軽な運動です。
ウォーキングの目的
ウォーキングの健康効果は多岐に渡ります。そのため人によってウォーキングを行う目的は様々です。多くは"健康のため"という目的で行われます。ウォーキングは有酸素運動の代表的な運動として挙げられ、主に体脂肪燃焼や体質改善、生活習慣病予防に効果的な運動です。
ウォーキングの効果
習慣的なウォーキングは身体にとって良い効果がたくさんあります。
高血圧の改善
ウォーキングにより、血中の血圧を下げるタウリンやプロスタグランディンEという物質が増加します。
心肺機能の強化
ウォーキング習慣のある人ほど心血管疾患のリスクが低下することが明らかになっています。
骨の強化
カルシウムは運動による適度な刺激で吸収が高まります。また太陽を浴びることで、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが体内で造られます。
肥満の解消
ウォーキングなどの有酸素運動は体脂肪をエネルギー源として利用するため体脂肪の減少につながります。
脂質異常症・動脈硬化の改善
ウォーキングは血中の中性脂肪を分解する酵素を活性化させるといわれています。
肝機能の改善
ウォーキングをしている人ほど、AST(GOT)やALT(GPT)が低値であることが明らかになっています。
糖尿病の改善
ウォーキングは血中のブドウ糖を利用し血糖値を下げる効果があります。
腰痛の改善
正しいフォームでウォーキングを行うことで、筋力や関節可動域が高まり筋バランスが整いやすくなります。
リラックス効果
ウォーキングを一定時間続けることでリラックスさせるセロトニンという神経伝達物質が分泌されます。
社会的効果
ウォーキングで屋外に出ることで人と関わる機会が増えたり交友関係が広がったりすることが期待できます。
ウォーキングの消費エネルギー
厚生労働省「健康づくりのための指針2013」では、ウォーキングは3メッツの運動強度に相当し、安静時の3倍のエネルギーを消費するといわれています。同じウォーキングでも大股歩きや速歩ではエネルギー消費量は変わってきます。
正しいウォーキング方法
健康のためのウォーキングは、普段の歩きや散歩とは異なり、フォームを意識しながら歩くことが大切です。視線は自然に前を向き、頭を天からつり上げられているような気持ちで高くして背筋を伸ばします。肘を曲げて腕を振り、足は後ろ足のつま先で地面を踏み込むようにして重心を前に移動させます(図)。
一歩一歩進むときの足裏の働きもとても重要です。自然に足を踏み出すとかかとから着地します。意識的にかかとから地面につけるのではなく、自然に足を出せばかかとからつくはずです。着地したかかとから重心をつま先へ移動させ、最後につま先で地面を踏み込みます。かかとからつま先まで自然に重心が移動することを足裏のローリングといいます。つま先で地面を踏み込むときは、第1趾(足の親指)~第5趾(足の小指)まですべての指が働くようにします。外反母趾の人は第1趾側、内反小趾の人は第5趾側に重心が乗りやすいので、注意が必要です。
ウォーキングの注意点
ウォーキングは危険性の低い有酸素運動といわれていますが、普段から運動習慣が無い人は医学検査を実施し運動禁忌がないことを確認することをおすすめします。また体力測定や運動負荷試験で運動中の血圧や心拍数、心電図の変化を把握し、今の自分にとって適切な運動強度の設定ができるようにしておくと安全かつ運動の効果が得られやすくなります。
ウォーキングでは以下の事項に十分注意して行ってください。
ウォーキングの注意点(まとめ)
- 自分の体調や体力に合わせてマイペースで行いましょう。
- 体調がすぐれないとき、天候の悪いときは無理に行わず中止しましょう。
- あまり距離や時間にこだわりすぎずに行いましょう。
- ウォーキングの前後にウォーミングアップとストレッチを行いましょう。
- 屋外を歩くときは、思わぬ事故やけがが起こらないよう注意しましょう。
- 適度な水分補給を心がけましょう。
- 医学検査や体力測定を受けて、運動に耐えられるかを確認しましょう。
参考文献
- 日本ウオーキング協会 公認ウオーキング指導員養成講座テキスト