腎不全の症状
公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年2月 1日 21時29分
腎不全・CKDの症状は人それぞれ
ひとえに腎不全、CKDといっても症状には個人差があります。一般的な経過では初期では全く症状がなく、健康診断や別の病気の検査でCKDを指摘されることもよくあります。そのまま病状が進行すると下記の様々な症状が出てきますが、現れる順番はもともと持っている病気などもかかわるため人によって異なります。
尿量の変化
腎臓は体の水分量を一定に保つ働きがあります。腎臓で濾過されて最初にできる尿を「原尿」といいますが、この原尿は1日に150リットルも作られています。しかしその後、尿として排出するまでにその99%が再吸収され、実際の尿量は1.5リットル程度に調整されます。しかし腎機能が低下すると再吸収ができなくなり、まずは尿量が増えます。そのため人によっては頻尿を訴えます。そしてさらに腎臓が悪くなると尿自体をつくることができなくなり尿量は減っていきます。そうなると体の水分量が増えるため、むくみや胸水・腹水など普段はない部分に水分が貯留します。また血管内の水分量が増えることで血圧が上昇し、心臓に負担がかかって息切れや疲れやすいといった心不全の症状が現れることもあります。
血液の変化
腎臓は血液のバランスを整えています。代表的なものはナトリウムやカリウムといった電解質(でんかいしつ)と呼ばれるものです。例えば塩(塩化ナトリウム)はナトリウムを含んでいます。普通は塩分を取りすぎると尿の中にナトリウムを多く排出して、体のナトリウム濃度は一定に保たれます。しかし、腎臓機能が低下するとナトリウムが体にたまっていきます。ナトリウムが体にたまると前述した水分貯留と相まってさらに体に水分が溜まりやすくなります。カリウムは腎臓が悪くなると増えて、高カリウム血症となります。高カリウム血症は時に不整脈の原因となります。
その他に腎臓は血液のpH(ペーハー:酸性アルカリ性のバランス)も調整しています。腎不全になると血液は酸性になります。
ホルモン減少による症状
腎臓は様々なホルモンを分泌しています。そのホルモンが増減することでさまざまな症状が現れます。
活性型ビタミンD減少による症状
ビタミンDは腎臓で活性型ビタミンDになります。ビタミンDは骨を整える成分であるカルシウムやリンのバランスを整えます。このバランスが崩れると骨がもろくなり、骨折しやすくなります。
エリスロポエチン減少による症状
エリスロポエチンは赤血球の産生を促すホルモンです。赤血球は血液の赤い成分で、主に体中に酸素を運ぶ役割をしています。この赤血球が減ると貧血になり、動悸や息切れといった症状が現れます。
レニン増加による症状
腎臓の機能が低下し尿量が減ると、腎臓はレニンというホルモンを増やして対応します。レニンは最終的に血液量を増やして、かつ血管を収縮することで血圧を上げるホルモンです。腎臓は血圧を上げることで腎臓に流れ込む血液量を増やし、尿をたくさん作ろうとしているのです。しかし血圧が上がっても尿量が増えないとさらにレニンは増やされてどんどん血圧が上がっていきます。